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第41話(7)

Author: 北川とも
last update publish date: 2026-07-27 14:00:45

 そしてもう一つ、夜更けにもかかわらず、里見の部屋に誰かが訪れた気配を、和彦は電話越しに感じ取ったことがあったが、おそらく英俊だったのだろう。

 それぞれの出来事は他愛なく、気にかけるほどでもなかったが、積み重ねていくことで、和彦から否定の言葉を奪ってしまう。

 どうしてそんなことを自分に告げるのかと、すがるように俊哉を見る。すでに、いつもの穏やかな笑みを口元に湛えた俊哉だが、口にしたのは苛烈きわまる内容だった。

「――わたしは、里見がお前に向ける恋着と執着を買った。お前をこちらに連れ戻すには、相応の〈情〉が必要だろう。それを持っているのが、里見だ。子供だったお前を大事に守りながら、大人にもした特別な男だ。お前も、彼には特別な想いがあるだろう」

「だからって、里見さんを巻き込むなんて、危険すぎるっ」

「綺麗事を言う前に、考えてみたらどうだ。大事な男を、さんざんお前を痛めつけてきた英俊に奪われていいのか?」

 俊哉の囁きには、異様な力強さと熱がこもっていた。和彦の中から、どす黒い感情を引きずり出そうとしているかのように。<
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