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血指手
血指手
Penulis: 空蝉ゆあん

冒頭

Penulis: 空蝉ゆあん
last update Terakhir Diperbarui: 2025-10-29 02:46:17

 流れる血を止める事は出来ない。

 右手を左手で庇いながら、爛れ行く肉の進行を止める事は虚無。

 溶岩のような状態に進行していく自らの肉体は崩れて、涙と嗚咽が口から零れる。

 痛みなどない、熱さなど感じないように冷静に振舞おうと、演者になろうと試みるが

 それを止める事は、今の自分にも、他人にも出来ない真実。

 「わ…たしは……」

 言いたい言葉が出て来ない。『痛い』なんて言いたくないという自分のプライドが優先して言葉を止める。

 唸り声は豪雨のように心を突き刺し、この現実をかき消そうと動いてる。

 ゴウゴウと雑音が私の耳の鼓膜を刺激し、心を崩して、廃人に変えてゆく。

 (私はまだ失いたくない、醜くなりたくない…)

 心の音は隠せない。強がる表と裏腹に反対の呟きを音にして、心に刃を立ててゆく。

 赤い血潮があふれ出すように…。私の強さを浸食していくように…。

 これは私の物語。私が『快楽』に溺れる前の物語。

 美しいものを愛でながら『異常者』に変貌する前の、昔の話を君たちに送ろう。

 榀る『手』を見つめながら、羨ましさ、嫉妬、後悔、そして…『美しさ』を見つけてしまう。

 そんな私の表裏を君達に届ける為に…。

 夢は夢で終わり、はじまる。現実は現実で終わり、幻想へと階段を上るように変異してゆく。

 『人間』とは面白くもあり、儚く美しい。

 夢の私は水面≪みなも≫に揺れながら『快楽殺人』を夢見る。

 現実の私は血と指と手を愛でながら『幻覚』に溺れて、現在の私が構成される。

 肉はヘドロになり

 炎に包まれながら

 床にボタリと落ちる。

 堕ちる、堕ちていく。

 私の大事な『右手』がただの『肉の塊』になってゆくのだ。

 正常な『時』の私の旋律が君たちの心に響くと信じて…。

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  • 血指手   前段階

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  • 血指手   誰なの

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     I found a loved one I can't keep my usual look That is the beginning of the collapse and the beginning of the regeneration. 愛する人を見つけた 俺はいつもの表情を保てなくなる それが崩壊のはじまりで再生の始まりだ。 昔の事を思い出す名前、それが『しおり』だ。俺はその名前を聞いた瞬間に自分の実験が上手く行った事を知る。彼女が生前の時の行動、考え方、そして人間性をイシスに組み込んだのだ。彼女の複製を作る為にイシスと言う存在を利用したに過ぎない。 副社長……いや、蒼生と呼べばいいだろう。もう彼女は俺の上司の立場ではないのだから。イシスの器として落ちた彼女はもう人間と呼べない物体なのだ。それでもそこにしおりは生きている。元の体の持ち主の意思を押さえつけて君臨しているのだ。 「……君に会いたかった」 ふと零れたのは本当の心。自分の中で消化していたつもりだったが、やはりこうもしおりに生き写しになり、自分の名前をそう呼ぶ声も、俺が唯一愛した彼女と同じなのだから、感情も揺さぶられてしまうだろう。 「私は貴方を見ているとイライラするわ、何故かしら?」 「ははっ。再会したのに、冷たいな」 「貴方に会った事ないはずなのに……」 「ふふっ。何も混乱する事なんてないんだよ、しおり」 俺がしている事は残酷な事なのかもしれない。死した者の細胞さえもイシスに取り込んでしまったのだから、完全な偽物ではないんだ。一部でも彼女の鼓動がある、そう考えれば満足に近いものを得られた。 「どうして私を呼び覚ましたの?」 「君が必要だからだよ」 先ほどまでイシスとしての口調が強かったのに、だいぶ馴染んできたのだろう。少し時間が経てば、しおりそ

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