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第7話

Author: 念ちゃん24時
家庭に入ってからというもの、凛音がこんな自身の姿を目にするのは久しくなかった。

彼女の五年間は、そのすべてが柊夜へと捧げられていたのだ。

柊夜はなおも、最後の説得を試みようとした。

「凛音、もう気は済んだだろう?本気で、法廷で俺を敵に回すつもりか?」

柊夜はかつて、帝都で最も恐れられる敏腕弁護士であった。

でなければ、至誠法律事務所を業界トップにまで押し上げることなどできなかったはずだ。

だが、家庭に入る前、凛音自身もまた事務所を代表する看板弁護士であったのだ。

凛音は無表情のまま、柊夜の手を冷たく払いのけた。

「今の私たちは敵同士なんだよ。自分の立場をわきまえなさい」

柊夜の顔がさっと曇り、隠しきれない苛立ちが露わになった。

「俺と瑠奈の間には何もないと、何度も言っているだろう!最初から、俺は彼女に優しい顔一つ見せたことすらない。これ以上、何が不満なんだ?」

そうだ。確かに柊夜は肉体的な不倫こそしていなかったし、瑠奈に甘い顔を見せたこともなかった。

だが彼は、裏から手を回して瑠奈を釈放させ、彼女が私の家族を蹂躙するのを黙認した。

瑠奈のために、自らの手であの真紅の薔薇の花畑を造り上げた。

瑠奈を守るためなら、私と敵対することすら厭わなかったのだ。

彼の肉体は貞操を守っていたかもしれない。

だがその心は、とうの昔に何千何万回と裏切りを重ねていた。

法廷で、凛音と柊夜は相対し、激しく火花を散らした。

一方、ふんぞり返って座る瑠奈は、勝ち誇ったような視線を凛音に向けていた。

結末は、火を見るより明らかだった。凛音は敗訴した。

柊夜の持つ強大な人脈と権力は、今の凛音が到底太刀打ちできるものではなかった。

彼が誰かを守ると決めた以上、勝ち目のない裁判など存在しなかった。

凛音は抜け殻のように失意のどん底で帰宅した。

だが、家に着くや否や、病院から一本の電話が入った。

「凛音さん、お母さんの容態が急変しました。ただいま救急救命室に運ばれまして……」

凛音の頭の中が真っ白になり、激しい耳鳴りがした。彼女はパニックに陥りながら、慌てて病院へと駆けつけた。

病院に着いて初めて、彼女は事の顛末を知った。瑠奈が病院に押しかけ、純子を激昂させて発作を起こさせたのだ。

病院の廊下で、瑠奈は目を赤くし、唇を噛み締めていた。

「裁判が終わったから、おばさんに『当たり屋の件はもう気にしなくていいですよ』って伝えに来ただけで……」

凛音には痛いほど分かっていた。瑠奈が最近の出来事をすべて純子に吹き込み、そのショックで純子を再び発作に追い込んだに違いないのだ。

怒りで両目を血走らせた凛音は、瑠奈に向かって猛然と飛びかかった。

「瑠奈、もし母さんに万が一のことがあったら、絶対にただじゃおかないから!」

そばにいた柊夜が凛音を力ずくで制止し、瑠奈に向かって怒鳴りつけた。

「病院の外へ出て跪いていろ!俺が許すまで絶対に立つな!」

瑠奈の顔はさっと赤く染まり、最大の屈辱を受けたかのように顔を上げ、目に涙を溜めた。

「また凛音のために、私を罰するの?」

瑠奈は凛音に向き直った。

「凛音、これで満足でしょ!」

そう言い捨てると、瑠奈は病院から走り去った。

凛音は分かっていた。柊夜が瑠奈を外へ追い出したのは、怒っているふりをした別の形の「庇護」に過ぎないということを。

もし母が死ねば、柊夜、あなたを一生、絶対に許さない。

凛音は柊夜の腕の中で、人形のように無感覚なまま抱かれていた。彼女の心は、暗く冷たい海底へとゆっくり沈み込んでいくようだった。

間もなく、外は土砂降りの雨になった。

豪雨の中、瑠奈は病院の外で跪いていた。全身ずぶ濡れになりながらも、依然として意地っ張りに顔を上げていた。

病院の中では、柊夜がずっと凛音のそばに付き添い、外の瑠奈には一瞥もくれなかった。

だが、時折窓の外へ向けられる彼の視線が、現在の焦燥感を如実に物語っていた。

やがて、純子が救急救命室から運び出された。

それと同時に、外にいた瑠奈もついに豪雨の中で気を失って倒れた。

「凛音、お義母さんはもう無事だ。ちょっと外の様子を見てくる」

柊夜は結局、衝動を抑えきれず、振り返ることもなく外へと飛び出していった。

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