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第298話

Author: ドドポ
千雪は、洵の祖父が心臓発作で入院したことを航から聞いて知った。

洵からは一切連絡がなかった。

そのこと自体は、彼女にも理解できた。

厳は昔から彼女を嫌っていた。道理から言っても彼女に知らせないのが正解だし、洵の普段のやり方にも合致している。

「洵、私のことを気遣ってくれたのは分かってる。でも、航から聞いてしまった以上、知らないフリはできないわ……」

千雪は洵のデスクの前に立ち、一つの紙袋を彼の前に差し出した。

「お爺様が私に会いたくないのは分かってる。でも、それでもお爺様のために何かしたくて……これ、高価なものじゃないけど、あなたからお爺様に渡してくれないかしら」

洵は千雪の手から紙袋を受け取った。

紙袋は高級感があったが、特定のブランドロゴは印字されていなかった。

洵はそのまま紙袋を開け、中身を取り出した。

ここ何年もの間、千雪はずっと厳に認められようと必死だった。

だが、彼女がご機嫌を取ろうとすればするほど、厳は彼女を嫌った。

洵は、もし今回千雪が持ってきたのが価値のつけられないような高級ブランド品であれば、突き返すつもりだった。

厳は受け取らないだろうし
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