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第578話

Autor: ドドポ
澪の目の前に立っていたのは、スーツ姿の洵だった。

洵がこれほど安っぽいスーツを着ているのを見たのは、澪にとって初めてのことだった。

馬子にも衣装とはよく言ったものだが、生地も仕立てもシルエットも決して良くないその安物のスーツでさえ、洵が着ると「服が人に引き立てられる」という現象が起きていた。

同じスーツ姿でも、今の洵は以前のようにポマードで髪をオールバックに撫でつけることはせず、爽やかな短髪を自然に下ろしていた。

そのせいか、彫刻のように鋭く冷たかった顔の輪郭が、まるで宝石が滑らかに磨き上げられたかのように、信じられないほど柔らかく穏やかな印象に変わっていた。

彼の瞳は相変わらず夜の星のように輝いていたが、かつてのような人を射抜く鋭利さは消え失せ、まるで少年のように澄み切って瑞々しい光を宿していた。

澪は口の中のコーヒーを飲み込んだが、その味はすっかり変わってしまっていた。

洵が自分のアシスタントに応募してくるなど、夢にも思っていなかったのだ。

「あなた、どこまで私に付き纏うつもりなの?」

澪は社長用の革張りの椅子に座ったまま腕を組み、顎をツンと上げて洵を睨みつけた。
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神無月しん
なんかちょっと斬新な展開かも…
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