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第4話

Autor: ご飯ちょうだい
司は私の冷え切った目を見つめた。心臓が何かに強く掴まれたように、かつて味わった事のない鋭い後悔が激しく込み上げてきた。

「俺は……」

司は反射的に弁解しようとした。だが私は彼にその機会を与えなかった。満たされたワイングラスを手に取り、卑猥な目で私を見ていた佐久間社長の方へ歩いて行った。

私がワイングラスを佐久間社長に向けたその瞬間――

司の手が私の手首を激しく掴み、もう片方の手で、私のグラスを叩き落とした。

「まだ用事がある。失礼する」

そう言うと、司は私の手を無理やり引っ張り、個室から連れ出した。

車のドアがバンと閉まる音がして、初めて司は私の手を離した。

車内は死んだような静寂に包まれた。

司の視線が、彼に掴まれて赤くなった私の手首を掠めた。何度も口を開きかけたが、最終的にはきつく唇を結んだ。傲慢なプライドと見知らぬ感情が彼の内で争っている。

彼は説明したい。だがどこから話せばいいか分からない。まして自分の顔をつぶすわけにもいかない。

私は突然少し笑いたくなった。

これは何だっていうの?鞭で叩いてから飴を与えるつもり?

残念だけど、遅すぎた。私はもう、窮地から助けられただけで、命がけであなたを愛した神谷夕ではない。

私から先にこの息苦しい沈黙を破った。

「実は分かっているの、司。私は自分の立場をとっくに理解してるの。私はただの身代わり、影、時間潰しの遊び道具なの。

司があの時、私を庇ったと思ったのは、私の勘違いだった。私は思い違いをして、あなたに猛烈にアプローチした。

この三年間、司の『お世話』のおかげで、衣食に困らず、母も大切に世話をして頂き、本当に感謝している。

でも若葉さんがもうすぐ帰国するわ。早く別れたほうがいいと……」

司は、自分がさっき珍しくプライドを捨てて私を助けたのに、まだ懲りずに別れ話を持ち出す私に呆れたようだった。

怒気を含んだ声で脅そうとした。

「まだ駄々をこねているのか!

夕、お前がどうしても自分を貶めたいなら、俺たちの間も……」

私は彼の言葉を遮り、嘲るように笑った。

「本当に私たちの間に愛があると思っているの?

司の私への態度は、恋人のそれではないわ。まるで小さな猫や犬を飼うかのよう。少しでも私に敬意を払ったことがある?

私はただ、ペットなんてでいたくないだけよ。私が間違っていると思う?」

私の言葉はあまりに鋭く、あまりに聞き苦しかった。

司は完全に激怒し、私を見つめる目は不気味なほど恐ろしかった。

「三年間も一緒にいて、お前は俺のこと、そう思っていたのか?

夕、最後のチャンスをやる。今言った言葉を撤回しろ!

さもなければこの車を降りた瞬間、俺たちの関係を完全に終わりにする!」

私は彼の怒りの眼差しに向き合い、穏やかに微笑んだ。

「その必要はありません。司と若葉さんが末永く幸せになりますように」

司は怒りで笑い出しそうになり、何度も頷いた。

「よくやってくれたな」

激怒のあまり、司は小切手帳を取り出し、素早く数字を書き込むと、小切手を乱暴に私の方に投げつけた。

「この金を持って行け!消えろ!」と怒鳴った。

「二度と俺の前に姿を見せるな!」

私は黙ってその小切手を拾い、ポケットに入れた。小切手の金額に免じて、柔らかく別れの言葉を告げることさえできた。

「ありがとう。これで、私たち清算完了ね」

そう言って、私は車のドアを押し開け、振り返ることなく夜の闇へ消えた。

翌日、司はオフィスに座り、指で苛立たしげに机を叩いていた。司は昨夜の私が一時の意地を張っただけで、遅くとも今日の午後には電話をかけてきて泣き言を言い、謝罪し、許しを乞うだろうと思っていた。

いつもそうだったから。

だが今日、司の携帯は異様なほど静かだった。

どれだけ時間が経ったか分からない。司は待ちきれなくなった。自らインターホンを押し、アシスタントに命じた。

「夕に電話しろ。24時間以内に別荘に置いてある荷物を全部運び出せと伝えろ」

司は少し考え、また指示を追加した。

「お前が直接見張れ。あいつの物を一つも残すな。気持ち悪い」
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