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第3章:6

Author: 社菘
last update Huling Na-update: 2025-07-21 18:00:54

そしてもう一つ、ロレインはシルヴァンに話しておきたいことがあった。

「あの、陛下……今後の俺の立場についてですが」

「はい、何でしょうか?」

「表向きは、このまま『リリア皇后』として振る舞い続けたいと俺は思っています。陛下が納得してくださっても、国民は違うでしょうし……このことに関して今は黙っているべきかと……」

「そうですね……ヴァルモン魔国との件に片がついたら、それから考えましょう」

引き続きたくさんの人を騙してしまうことにロレインの胸は痛んだが、一番理解してほしいと思っていたシルヴァンが受け入れてくれたので心が軽くなった。これからはシルヴァンも協力者となってくれるので、今までより上手く『リリア』を演じられるようになるだろう。

「ロレイン。俺からもお願いがあります」

「何ですか?」

「俺が……狼の完全体になれることは、誰にも言わないようにしてください」

「本来の姿になれるのは稀なことなんですか?」

「そうです。確かに元々は獣の姿からアストライア帝国の歴史は始まりましたが、人間と大差ない形に変化を遂げた今はほとんどの者が完全なる本来の姿になることは叶いません。ただ、俺は……少し特殊でして。近しい者にしか事実を告げていません」

シルヴァンが難しそうな顔をしながら話すので、よっぽど秘密にしたいことなのだなと理解した。ロレイン自身もリリアではないことを知られるのと同じくらい、シルヴァンにとっては大事なことなのだろう。ロレインが「必ず約束を守ります」と言うと、彼はほっと息を吐いた。

「それと、もう一つだけお願いがあります」

「はい、何でしょう?」

「二人きりの時は、『ロレイン』として振る舞ってもらえませんか? 公の場では『リリア皇后』として、でも俺たちだけの時間では本当のあなたでいてほしいんです」

ロレインの胸が温かくなった。シルヴァンは本当の自分を受け入れてくれるだけでなく、大切にしてくれるのだ。

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    そしてもう一つ、ロレインはシルヴァンに話しておきたいことがあった。「あの、陛下……今後の俺の立場についてですが」「はい、何でしょうか?」「表向きは、このまま『リリア皇后』として振る舞い続けたいと俺は思っています。陛下が納得してくださっても、国民は違うでしょうし……このことに関して今は黙っているべきかと……」「そうですね……ヴァルモン魔国との件に片がついたら、それから考えましょう」引き続きたくさんの人を騙してしまうことにロレインの胸は痛んだが、一番理解してほしいと思っていたシルヴァンが受け入れてくれたので心が軽くなった。これからはシルヴァンも協力者となってくれるので、今までより上手く『リリア』を演じられるようになるだろう。「ロレイン。俺からもお願いがあります」「何ですか?」「俺が……狼の完全体になれることは、誰にも言わないようにしてください」「本来の姿になれるのは稀なことなんですか?」「そうです。確かに元々は獣の姿からアストライア帝国の歴史は始まりましたが、人間と大差ない形に変化を遂げた今はほとんどの者が完全なる本来の姿になることは叶いません。ただ、俺は……少し特殊でして。近しい者にしか事実を告げていません」シルヴァンが難しそうな顔をしながら話すので、よっぽど秘密にしたいことなのだなと理解した。ロレイン自身もリリアではないことを知られるのと同じくらい、シルヴァンにとっては大事なことなのだろう。ロレインが「必ず約束を守ります」と言うと、彼はほっと息を吐いた。「それと、もう一つだけお願いがあります」「はい、何でしょう?」「二人きりの時は、『ロレイン』として振る舞ってもらえませんか? 公の場では『リリア皇后』として、でも俺たちだけの時間では本当のあなたでいてほしいんです」ロレインの胸が温かくなった。シルヴァンは本当の自分を受け入れてくれるだけでなく、大切にしてくれるのだ。

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