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0052-定義の話

Auteur: chocho
last update Date de publication: 2026-03-07 16:21:29

図書室の窓際の隅は、いつもほかの場所より少し静かだった。

午後の光が高い位置から斜めに落ちてきて、ガラスの縁をなぞるようにゆっくりと滑っていく。まるで誰かにそっと押されているみたいだった。

空気の中には細かな埃が漂っていて、光の筋の中でふわふわと浮かび、ゆっくり、静かに、行き先もなく揺れている。

窓に沿って並んだその一列の机は、ほとんど固定の拠点みたいになっていた。

航平は、そこに座っていた。

ノートは机の上に開かれている。

表紙は、仁野が整理してくれた新しいバージョンだ。白いカバーの上には一枚のラベルが貼られていて、整った控えめな字でこう書かれている。

『腐女子観察記録 23-A』

いかにも仁野らしい命名だった。

几帳面で、しかもどこかさりげない冗談が混ざっている。

航平は一ページ目をめくった。

紙が擦れる音が、かすかに響く。

けれど、文字は本当の意味では視界に入ってこなかった。

文章は目の前にあるのに、まるでガラス一枚隔てているみたいだった。

思考が途中で途切れる。ブラウザのページが読み込み途中で固まってしまったみたいに。

理由は、分かっていた。

数日前のあの言葉が、まだ頭の中に
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