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2-1:夕食

Autor: 琉斗六
last update Data de publicação: 2026-11-04 20:54:48

 夕食の席に現れたアーサーは、濃いグレーの服に身を包んでいた。

「なぁ、あれ、昼間の服となんか違うの?」

 テオは、後ろに立っているハティに、こそっと尋ねる。

「服は着替えさせたと、アンナから報告は上がってますよ」

 ハティも、こそっと返した。

(服飾に興味があるわけじゃないが……。なんか喪服みたいに見えるんだよな……)

 オメガと言っても、アーサーはアルファと見紛う立派な体格の持ち主だ。

 それが、オメガ向きのレースやフリルがふんだんに使われた服を着ていれば、シュールに見えることは理解できる。

 だからと言って、かっちりとした軍服紛いの、喉元までぴっちり閉まったカラー付きなんて、見てるこちらの喉まで締まりそうだ。

「本日は、コカトリスでございます」

 使用人が皿を運び、それぞれの前に置く。

 脂の乗ったコカトリスのもも肉をグリルし、その周りにぎっしりじゃがいものソテーが乗っているメインディッシュだ。

「王都と違って、この辺りは葉野菜が流通していなくてな。食事と言えば魔物肉と根菜だ。馴れないかもしれないが、我慢をしてくれ」

「大変なお振る舞い、感謝いたします」

 スッとカトラリーを取る仕草も、操る動きも優雅で隙がない。

 フォークで押さえ、ナイフで肉を切る──それだけなのに、実に礼儀正しく美しい所作だった。

(ありゃ、一朝一夕で身につくもんじゃない。子供の頃から行儀作法を、よほどしっかり仕込まれたんだろうな……)

 テオは、自分が手を止めて、ただジッと彼を見つめていることに、全く気づいていなかった。

 アーサーは、切り分けたコカトリスの一片を、淀みのない動きで口に運び──

 意外にも、まるで歓びを得たように、口の端を微かに上げた。

 じっくりと噛み締め、細部まで味わい尽くすように飲み下し、それから突然、我に返ったようにハッとする。

 ばっちりとテオと目が合ったが、二度ほど瞬きをしただけで、表情は崩さなかった。

「……なにか?」

「あ……、いや……。口に合わなかったら言ってくれ。善処するから……」

「……とても、腕の良い料理人ですね」

 返された答えに、テオは「伝えておく」と返したが。

(どうやら、気に入ってもらえたようだ……)

 受け答えは淡泊だったが、しかし彼が、初めて本心から口にした言葉のような気がした。

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