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第4話

작가: クチナシ
どれほど眠っていたのかもわからないまま、美夕はかすかな物音に目を覚ました。

ゆっくり目を開けると、寝室はもう暗くなっていて、窓の外から差し込むわずかな明かりが床に細い光の筋を作っていた。そのほのかな光が、部屋の片隅をかすかに照らしている。

美夕はがらんとした部屋を見つめながら、まるで胸の奥まで少しずつ空洞になっていくような感覚を覚えた。

そのとき、静まり返った寝室に突然、スマホの着信音が鳴り響いた。

準一からの音声メッセージだ。その声には、どこか不自然で、作りもののような優しさがこもっていた。

「美夕、昼間は怒らせて悪かった。お詫びにサプライズを用意したんだ。迎えの者を手配したから、もうすぐそっちに着くよ」

音声が途切れるとほぼ同時に、外から騒がしい声が聞こえてきた。

美夕がリビングへ向かうと、準一といつもつるんでいる友人たちが勢いよく部屋へ押し入ってくるのが見えた。彼らは美夕を真ん中に囲み、からかうような笑みを浮かべた。

「瀬戸さん、ぼうっとしてないで。準一さんが向こうで待ってるぞ!」

美夕は着替えをしたいと言う間もなく、左右から二人に腕を取られ、半ば引きずられるようにして玄関の方へと連れ出された。

腕を掴まれたところが痛くて、彼女は必死にもがき、振りほどこうとした。しかし、そのうちの一人が苛立ったように彼女を押した。

「ぐずぐずすんなよ、瀬戸さん。準一の気持ちを無駄にするな」

車は猛スピードで走り抜け、瞬く間に豪奢な内装の会員制クラブの前で止まった。

車から引きずり降ろされると、男たちは美夕の抵抗を押し切り、そのまま個室の前へと連れて行った。

次の瞬間、そのうちの一人が勢いよく扉を開け、美夕の背を押して中へと押し込んだ。

状況を理解する間もなく、耳元で一斉に破裂音が炸裂した。風船の破片がぱらぱらと顔に降りかかり、その音は鼓膜を突き破るかのように響いた。美夕はその場に凍りつき、耳鳴りの中に人々のどっと湧く笑い声が混ざり合った。

「ようこそ、瀬戸さん!これは俺たちが特別に用意した歓迎のプレゼントだ!」

準一が口元に微笑を浮かべながらゆっくりと歩み寄り、指先で彼女の髪に絡んだ破片をそっと取り除いた。

「みんながただふざけてるだけだよ。お前が穏やかな性格だって知ってるから、つい調子に乗ってしまったんだ。気にしないで」

その言葉が終わらないうちに、周りの人々は目配せを交わしながら一斉にスマホを取り出し、指先でせわしなく画面を操作し始めた。

準一は美夕の手を引いて空いた席に腰を下ろし、自分もスマホを取り出してうつむき加減にメッセージを打ち始める。

美夕は何気ないふりをしながら、ちらりと彼の画面を覗いた。

【まったくつまらないな、失明者と一緒じゃ、いちいち解説役でもつけてやらなきゃならないんじゃないか?ははは】

【そうだよな、あんな調子で、ベッドの上で相手が変わっても気づくのかね?】

個室の一同は、堰を切ったように嘲笑が沸き起こった。

準一はまるで何も見なかったかのように、スマホを卓上に放り出し、眉間に皺を寄せながら言った。

「もういいだろ、やりすぎだ。お前ら二人、俺と一緒に車に行って荷物を取ってこい」

美夕は喧噪に包まれながらも、ただ体の芯まで冷えていくのを感じていた。

彼女はテーブルに手をついて立ち上がり、出口へと歩き出そうとした。

一秒たりとも、ここにはいたくない。

「ねえ、行かないでよ、美夕さん!」

玲子が慌てて彼女の前に立ちはだかり、言葉をかけながら、美夕の手にそっと寿司を乗せた。

「たとえ準一さんのことがどんなに腹立たしくても、自分の体を粗末にしちゃだめよ。少しでもいいから食べなきゃ」

玲子がそう言い終えると、残りの数人に目配せをすると、後ろの人たちはすぐに冗談半分に騒ぎ立てた。

「そうだよ、瀬戸さん、少しは食べなよ」

「そうそう、低血糖なんか起こしたら大変だぞ」

彼らの顔には悪意が隠そうともなく浮かんでいたが、美夕はまるで見えないふりをして、そのまま出口へ向かって歩き出した。

しかし一歩踏み出したところで再び数人に行く手を塞がれた。玲子の声には挑発めいた響きが混じっていた。

「美夕さん、せっかく来てくれたのに、すぐ帰るなんてさ……私たちと一緒にいるの、楽しくない?」

美夕は視線の端で寿司の上のエビを捉え、氷のように冷たい声で言った。

「それを食べたら、帰してくれるの?」

玲子は口元に得意げな笑みを浮かべ、瞳の奥には冷たい計算が光っていた。

「あなたの体が心配なのよ、美夕さん。食べたらもう帰っていいわ」

言葉が宙に消えるより早く、美夕は寿司を一口で飲み込むと、いきなり玲子を押しのけた。後ろも振り返らず、ためらうことなく扉に向かって歩き出す。その背中には、一片の逡巡もなかった。

個室の扉を出た途端、美夕は指先を喉に押し当てた。胃液が逆流し、喉元に灼熱感が走る。体は意志とは無関係に震え始め、止めようがない。

壁に身を寄せると、顔が青ざめていくのを感じた。幾度かむせ返るように嘔吐を催したが、空っぽの胃が痙攣するだけで、何も出てこない。

皮膚の下を無数の蟻が這いずり回るような、疼くような感覚。やがて腕に、ぽつりぽつりと赤い発疹が浮かび上がってきた。

全身の力が抜け、美夕は壁にもたれたまま、ゆっくりと崩れ落ちるように床に座り込んだ。小さく身を丸めると、意識は次第にかすみはじめる。

耳元で響いていた玲子や周囲の嘲りの声は、遠くへと消えていった。残されたのは、耳鳴りのようなかすかなざわめきだけ。身体は鉛のように重く、意識が完全に闇に沈むその瞬間――

彼女の目の前に、準一の顔がふっと浮かび上がった。あの懐かしい呼び声が、まるで現実のように、しっかりと響きわたる。

「美夕!」
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