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第14話

Author: クチナシ
美夕から届いた手紙の内容を思い出し、恭子はしばらくためらった末に口を開いた。

「準一、もう美夕のことはそっとしておきなさい。彼女には新しい生活があるし、これから先、明るい未来も待っているんだから。あなたたち二人は……もう、元には戻れないのよ」

しかしそのときの準一には、どんな言葉も耳に入らなかった。手にしていたリンゴを慌ただしく置くと、くるりと向きを変えて自分の部屋に駆け込み、荷物をまとめ始めた。

「母さん、どうしても美夕を見つけて謝らなきゃいけない。きっと俺を許してくれる!」

玄関まで来たところで、彼は立ち止まり、振り返って恭子を見た。その瞳には揺るぎない決意が宿っていた。

恭子は息子の背中を見つめ、どうしようもない思いでため息をついた。

「願いが叶うといい……」

飛行機は雲を突き抜け、ミラノ空港に着陸した。準一がターミナルを出た途端、スマホが鳴った。病院からの電話だった。

「須藤さん、河野さんは流産後、情緒が非常に不安定で、ずっとあなたに会いたいと騒いでいます。お時間をいただけますか?」

準一は一瞬のためらいもなく通話を切り、スマホをバッグに押し込むと、すぐに美夕
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    美夕から届いた手紙の内容を思い出し、恭子はしばらくためらった末に口を開いた。「準一、もう美夕のことはそっとしておきなさい。彼女には新しい生活があるし、これから先、明るい未来も待っているんだから。あなたたち二人は……もう、元には戻れないのよ」しかしそのときの準一には、どんな言葉も耳に入らなかった。手にしていたリンゴを慌ただしく置くと、くるりと向きを変えて自分の部屋に駆け込み、荷物をまとめ始めた。「母さん、どうしても美夕を見つけて謝らなきゃいけない。きっと俺を許してくれる!」玄関まで来たところで、彼は立ち止まり、振り返って恭子を見た。その瞳には揺るぎない決意が宿っていた。恭子は息子の背中を見つめ、どうしようもない思いでため息をついた。「願いが叶うといい……」飛行機は雲を突き抜け、ミラノ空港に着陸した。準一がターミナルを出た途端、スマホが鳴った。病院からの電話だった。「須藤さん、河野さんは流産後、情緒が非常に不安定で、ずっとあなたに会いたいと騒いでいます。お時間をいただけますか?」準一は一瞬のためらいもなく通話を切り、スマホをバッグに押し込むと、すぐに美夕の行方を探し始めた。彼はフランス語が話せず、たどたどしい英語で通行人を呼び止めては繰り返し尋ねた。「瀬戸美夕をご存じですか?リスタートシリーズのデザイナーがどこにいるか知りませんか?」準一は出発して以来、すでに二十時間以上、食事も水も口にしていなかった。美夕を見つけたいという思いだけが彼を支えており、これまでの疲れを感じることはなかった。しかし今、通りかかる人に何度も首を振られ、断られるうちに、身体の疲れと現実の厳しさが一気にのしかかってきた。最後の通行人に尋ね終えた瞬間、準一の脚から力が抜け、街角に崩れるように座り込んだ。瞳は虚ろで、微かな光さえ消えようとしている。その時、遠くからカーキ色のトレンチコートを着た人影が歩いてくるのが見えた。微風が彼女の長い髪を揺らし、そのたびに繊細な横顔がのぞいた。準一の視界の中で、すべてがスローモーションのように感じられた。人影がすぐ傍を通り過ぎようとした瞬間、彼ははっと我に返る――美夕だ!拳を握りしめ、思わず声をあげた。「美夕!」美夕の足が止まり、彼女は振り返った。そこには地面に座り込む準一の姿があった。

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