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第6話

작가: クチナシ
準一は美夕の手からウエディングドレスを受け取り、彼女の腕をそっと支えながら食卓へと導いた。

彼の声にはわずかに後ろめたさが漂い、できるだけ優しい口調を装っている。

「美夕、どうしてひとりで帰ってきたんだ?薬膳スープを買って来たら、お前がもう退院したって聞いて、慌てて戻ってきたんだよ。ひとりで何かあったらどうする?」

そう言いながら、彼は温かい薬膳スープを美夕の前にそっと押し出し、さらにスプーンを取って彼女の手に渡した。

「病み上がりなんだから、まずはこれで体を温めて。体が完全に回復したら、お前の好きな料理を作ってあげるよ。ドレスは俺がしまっておくね」

そこで少し間を置いてから言い続けた。

「美夕がこのドレスを纏ったら、きっと誰よりも美しい花嫁になるぞ」

美夕が何も言わず、ただ静かに食事をしているのを見て、準一はそれ以上声をかけず、そっと寝室へと向かった。

美夕のあの青ざめた顔色を思い浮かべると、準一の胸の奥に後からじわりと罪悪感が染み渡ってきた。

明後日は俺と美夕の結婚式だ。この二日間は、せめて彼女のそばにいてやろうか。

そう心に決めながらクローゼットの扉を開けた瞬間、準一は息をのんだ。

そこに並んでいたはずの美夕の服は、すっかり姿を消していた。中には、かつて自分が買い与えた三、四着のワンピースだけが寂しく掛かっている。

クローゼットの横にはスーツケースが置かれていた。準一は近づいて、その蓋を開けた。中には衣類や、様々な書類がきちんと整理されていた。

ここ数日の美夕の冷たい態度を思い返すと、胸の奥からどうしようもない不安が湧き上がってきた。ウェディングドレスをかける間もなく、準一はよろめくようにダイニングへ駆け込み、美夕の両肩をぎゅっと掴んだ。声には焦りがにじんでいた。

「美夕、荷物をまとめてどうするつもりだ?どこに行くんだ?何かあったのか?」

美夕は海外に出る話で騒ぎを起こしたくなくて、心の中の動揺を押し殺し、できるだけ穏やかな声を装った。

「落ち着いて。あと二日で私たちの結婚式でしょう?そのとき慌てないように、先に新婚旅行の荷物をまとめておこうと思ったの」

そう言って、彼女はそっと手を上げ、準一の手の甲を軽く叩いた。

「それに、今の私には何も見えないのよ。あなたがそばにいなければ、どこへ行けるというの?」

掌に伝わる温かな感触が、準一の胸の中の不安を少しずつ溶かしていった。彼は心の中で思った。

「そうだな、今の彼女は俺がそばにいなければ、どこへも行けないだろう」

かつて自分が階段から落ちた時、美夕は一瞬のためらいもなく駆け寄り、自分を盾にして受け止めてくれた。そのせいで彼女は傷を負い、目が見えなくなってしまった。それなのに、彼女は一度も俺を責めることなく、ただ静かにそばに寄り添い、惜しみない愛情を注ぎ続けてくれた。

そのことを思い出すと、準一の唇に確信を帯びた微笑が浮かんだ。彼はそっと腕を伸ばし、美夕を抱き寄せ、柔らかな声で言った。

「美夕、心配しないで。俺は約束しただろう、一生お前の目になるって。これからお前がどこへ行きたいと思っても、俺が一緒に行くよ。

明後日は俺たちの結婚式だ。そのとき、みんなの前で誓う。お前はこの世で一番大切な人だって。一生、お前を守り続けると」

美夕の胸はその瞬間、かすかに震えた。だがすぐに静けさを取り戻した。

準一とは、結婚式も、未来もないのだ。

その後の数時間、準一はまるで昔、彼女に優しかった頃に戻ったかのようだ。

彼は美夕と一緒に新居を飾りつけ、慎重に彼女にウェディングドレスを試着させた。ドレスはすでに形を崩していたが、彼は絶えず褒め言葉を口にした。

「きれいだよ。美夕は世界で一番美しい花嫁だ」

そんな穏やかな時間は夕暮れまで続いた。突然、準一は上着を手に玄関に立った。

「美夕、家で待ってて。ちょっと牛肉買ってくる。お前の大好きな牛肉の煮込み作ってあげるから」

彼が背を向けて去っていく姿を見送りながら、美夕の胸の奥には、ただ空しい笑いしかこみ上げてこなかった。どうして、元カノとの甘い時間を楽しんだ後で、まるで何事もなかったかのように今の彼女に優しくできるんだろう。

その偽りの優しさが、美夕には胸がむかむかするほど不愉快だった。

準一が出かけたばかりで、美夕のスマホが鳴った。玲子からのメッセージだった。開いてみると、挑発するような内容が目に飛び込んできた。

【美夕さん、準一さんがこの前、私にペンダントをくれたの。あなたには見えないかもしれないから、親切に教えてあげるね。翡翠でできたペンダントで、とても上質なの。裏にはあなたの名前が刻まれているの――美夕って。ねえ、覚えてる?】

音声を聞き終えた瞬間、美夕の身体は凍りついた。

それは亡きおばあちゃんが彼女に遺した大切な形見だ。以前、準一がそれを見て「大事に預かるよ」と言っていたのに、今、そのペンダントは玲子の手の中にあるとは――
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