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第303話

Author: 風羽
藤堂沢は藤堂言をベビーベッドに寝かせた。

彼は後ろから九条薫を抱きしめ、薄い唇を彼女の耳元に近づけ「君へのプレゼントは見てくれてないのか?気にいるかどうか開けてみたらどうだ?」と、低い声で囁いた。

九条薫は彼の触れ方が好きではなかった。

彼女は優しく彼から離れ、箱を開けた。中には、淡いピンク色のマフラーが入っていた。

藤堂沢は彼女にマフラーを巻き、静かに言った。「よく似合っている」

彼が最後に彼女に触れたのは、もう何日も前のことだった。最近の彼女は体調もよくなってきていて、自然と彼の中には彼女に触れたい想いが芽生えていた......それに、今夜はクリスマスイブ、彼の心の中にも少しだけロマンが宿っていた。

彼は後ろから彼女を抱きしめた。

熱い息が彼女の耳にかかり、彼の声はさらに嗄れていた。「薫、もう一度試してみよう。もし気分が悪くなったら、すぐに止めるから」

そう言って、彼は彼女をソファに運んだ。

片手はソファーの背もたれに預け、もう片方の手で彼女の頬をそっと撫でながら、優しく唇を重ねた。そして、彼女の唇に囁くように言った。「満足させてやる」

九条薫の黒い髪は、白い背
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みかみわかこ
白川と聞くだけで、気分が悪くなる。 何ほど図々しいと、思っています。 その状況がわかってない藤堂沢は、男として最低。いつになったら、目が覚めるのかな。 期待するだけ無理かな?
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カネゴン
藤堂沢は本当に気持ち悪い。 欲を抑える薬でも飲んだら! 薫はバイオリンを毎日 弾いて(病院で流した曲も)精神を落ち着かせ、美しく元気な姿取り戻して! ところで薫って今いくつ?
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