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第357話

Author: 風羽
子供のためとはいえ。

何年か夫婦として過ごした二人。夫婦生活の全ては、互いに教え合ったものだった。あの情熱的な夜を、どんなに憎み合っていたとしても、簡単に忘れられるはずがなかった......

今夜、再びあの頃の記憶が蘇ったのだ。

藤堂沢はベッドの傍らに立ち、九条薫が服を着るのを見ていた。彼女も彼を避けることはなかった。もう見せるべきところは見せてしまったのだ。今さら隠すことなど何もない。

帰る時、彼のシャツの襟が曲がっているのに気づき、無意識に直してやった。

すると、藤堂沢に手を掴まれた。

彼は底知れぬ黒い瞳で彼女を見つめ、訳の分からないことを言った。「他の男にも、こうしてシャツを直してやるのか?」

他の男?

九条薫が答える前に、藤堂沢は彼女の手を離し、先にエレベーターに乗り込んだ。

九条薫は、彼が誤解しているのだと分かった。

考えてみると、彼が奥山と勘違いしているのだと気づいた。最近、彼とパーティーに一緒に出席したし、小林颯のことで、彼が深夜に自分のマンションを訪ねてきたこともあった......

エレベーターの中で、九条薫は何も説明しなかった。

藤堂沢も、彼女
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