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第820話

Penulis: 風羽
一分間ほど、唇を重ねていた。

彼女は体が小刻みに震えた。

清水智治は彼女の細い腰を抱き、彼女の肩口に顔をうずめて浅く息を繰り返した。そして......彼は水谷苑が好きなんだ。彼女が美しく着飾るのも好きなんだと恋人同士の言葉を囁いた。

それでも、彼は彼女を尊重していた。

二人とも一度結婚を経験していたが、それでも彼は、お互いの初めてを新婚初夜までとっておきたかったのだ。

彼は少し落ち着きを取り戻すと、車に乗り込み、去っていった。

......

物陰で、九条時也は小さなケーキを持っていた。

水谷苑が好きなケーキだ。

彼はわざわざ香市から空輸してもらったのだ。

彼女に渡して、驚かせ、喜ぶ顔を見たかった。しかし、彼女は男とデートをしていた。男の車から降りた。そして、男からプレゼントされたドレスは、数千万円するだろう。

それに比べてみれば、自分はなんて見劣りするんだろう。

しかし、このケーキは今の彼が出せる精一杯のものだった。

彼は静かに立ち尽くしていた。

恋人たちを邪魔するつもりはなかった......

彼はケーキを、彼女がよく座っている月桂樹の木の下に置いた。そこ
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