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第1562話

Auteur: 桜夏
透子は親友の気持ちが切り替わったのを察し、それ以上その話には触れず、別の話題に付き合った。

同じ頃、瑞相グループ国内支社、社長室にて。

雅人はパソコンの画面に向かい、電子決裁の書類を確認していた。時折キーボードを叩き、承認コメントを書き込んでいく。

一見すると、いつも通り真剣に仕事をこなしているように見える。だが、もしスティーブがこの場にいれば、社長の仕事の効率が明らかに落ちていることに即座に気づいたはずだ。普段なら一目十行で片づける男が、今日は二行読むごとに手が止まっていた。

それだけではない。一ページ確認し終えてスクロールするたびに、視線の端が――無意識のうちに――デスクの上に置かれたスマホへと向かってしまうのだ。

あの通話が終わってから、すでに十分が経過していた。

――聞かなかったことにしよう。何も起きなかったことにする。そうすれば、次に会った時に理恵さんも気まずい思いをせずに済むだろう。

……

透子の一家は海外移住を取りやめることになった。理恵は透子との電話を切ったあと、すぐに兄の聡へメッセージを送った。

【お兄ちゃん、海外赴任の申請、取り下げて大丈夫だよ。私
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