第429話

蓮司は唇を噛み、シーツを固く握りしめた。だが、力が入らず、ただ虚しく握るだけだった。

彼はかすれた声で返した。「分かってる……だから、贖罪して、償って、一生をかけて……」

新井のお爺さんは彼の言葉を遮った。「もうよい」

「本当に贖罪したいのなら、金を多くやり、不動産でも与えればいい。お前自身に何の価値がある？新井グループを離れて、お前にまだ価値があると思うのか？」

蓮司は言葉に詰まった。

お爺さんの言葉は胸に突き刺さるが、確かに……それもまた一つの事実だ。

新井のお爺さんはまた言った。「わしがお前のために財産分与を改めて作成し、離婚の際に、まとめて透子に支払ってやる」

そう言うと、彼は横を向いて執事を見て、命じた。「あやつの名義の財産、会社の株式などをすべて洗い出せ。足りなければ、わしの分から回せ」

執事は頷いて言った。「かしこまりました」

新井のお爺さんはまた蓮司に向かって言った。「金銭的な償いが済めば、今後は透子のことを完全に忘れ、二度と付きまとうな。お前たちの間の恩讐は、すべてご破算だ」

お爺さんがすべてを自分の代わりに決めてしまったのを聞き、蓮司は歯を食いしばり、横を向いて彼を見た。その表情は悲しみと悔しさに満ちている。「いやだ……諦めきれない、手放したくない……」

新井のお爺さんはただ彼を凝視し、その表情は険しく、厳かだ。

「お爺様……俺が悪かったのは分かってる。でも、透子を手放したくないんだ……

愛していると気づく前に彼女を傷つけ、最も傷つけた時に、自分が彼女を誤解していたことに気づいた。たくさんの過ちを犯してしまった……」

愛し、憎み、長年絡み合ってきたのならまだしも、互いに手放すこともできただろう。

しかし、自分は始めることすらできなかった。その上、透子を誤解し傷つけ、償いさえできていない。

ひどく後悔し、諦めきれない。自分が万死に値し、八つ裂きにされても足りないことは分かっている。

だが……手放すことなど、できはしない。

透子は自分を愛していない。だが、自分は彼女を愛している。彼女が自分の愛に応えようと応えまいと構わない。たとえ一生憎まれようと、ただそばにいてくれさえすればいい。

「その考えは、捨てた方が身のためだ」

新井のお爺さんは、苦痛と後悔、そして諦めきれない思いと葛藤に満ちた孫の顔を見て、唇を引き結び