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第1175話

Auteur: 小春日和
黒澤は白井など眼中になく、倒れている真奈のことだけを案じていた。すぐさま駆け寄って真奈の身体の傷を確かめ、外傷がないとわかると、ようやく安堵の息をついた。

黒澤は低く問うた。「毎回俺をこんなに心配させて、嬉しいのか?」

「今回は……わざとじゃないの」

白井は黒澤と真奈を見つめ、自分がまるで笑いもののように思えた。

「遼介、瀬川、あなたたちが私の口からあの背後の人間の正体を知ることは、永遠にないわ」

白井は悲しげに笑い、二歩後ずさると、廊下の手すりにもたれかかった。そしてそのまま身を仰け反らせ、五階の高さから落ちていった。

ドンッ!

その音を聞いた瞬間、真奈を探していた立花も思わず階下へ視線を向けた。

血の海の中に、白井が倒れていた。全身が血に染まっている。

その光景に、立花は楠木静香のことを思い出した。

楠木静香も、こんなふうに死んだのだ。

彼女たちはきっと、自殺すれば愛する男の心に少しでも後悔や哀れみを残せると信じていたのだろう。

だが現実は違う。男たちは冷たく蔑むだけだ。

自分の命さえ大切にできない、自らを卑しめるような人間を、どうして誰が哀れむことができ
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