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第2話

Author: 匿名
それから三十分後、悠真が部屋に戻ってきた。ベッドに横たわる紗季が静かな寝息を立てているのを見て、彼は安心したように息を吐いた。

出かける前、彼はそっと彼女に布団をかけ直し、額に優しく口づけを残した。

それから、一片の迷いもなく背を向けた。

静まり返った夜に、彼がドアを開け閉めする音だけが妙に響いた。

そして彼が立ち去った直後――紗季は静かに目を開けた。かつては理知的で冷静だった瞳に、今は深い哀しみが沈んでいた。

そっと身を起こしながらドアの方を見やった。その目は虚ろで、表情はどこか色を失ったように暗かった。

薬を飲んだあと、紗季はなんとかトイレに行き、指を喉に入れて無理やり吐き出した。

それでもなお、起き上がろうとするとき、身体はふらつき、手足の感覚は鈍かった。

薬の強さを物語っていた。

紗季の唇に苦笑が浮かんだ。どこかで、まだ悠真に望みを託していた自分が、ひどく愚かしく思えた。

――まさか、そんなことをする人じゃない。

――あんなに私を愛してくれた人が、そんな……

その一縷の希望は、現実という名の平手打ちによって叩き潰された。

しばらくじっと耐えたあと、紗季は服を着替えて部屋を出た。そして、遠ざかっていく悠真のあとをつけた。

尾行の技術など持ち合わせていなかったが、彼女の足取りを阻む者はなく、悠真の目的地――あるバーへとたどり着いた。

記憶の中の彼は、彼女がアルコールや煙草の匂いを嫌うことを気遣い、自らも断っていた。

けれど今、紗季に初めてわかった。

――それはすべて「演技」にすぎなかったのだ。

紗季の知らない場所で、彼は本性を解き放ち、欲望のままに生きていた。

悠真が個室に入っていくのを見届けたあと、紗季は十分ほど間を置き、静かに扉へと近づいた。

ドアの小窓から中を覗くと、そこに広がっていたのは――想定をはるかに超える光景だった。

黒い革張りのソファの上で、男と女が激しく絡み合っている。

まるで世界にふたりしかいないかのように、時間も空間も忘れてむさぼり合う姿。

その男こそが、紛れもなく――畑川悠真だった。そして彼の腕の中にいたのは、紗季の教え子でもある――桑原美玲(くわばら・みれい)。

息を切らし、紅潮した顔で、媚びるように目を細めながら美玲は悠真を押しのけ、甘えた声で言った。

「悠真さん、またこんなに……私とじゃないと、満たされないんでしょ?」

彼女がボタンを一つずつ外していくたび、露わになる肌に、悠真の視線は貪欲に吸い寄せられていった。

「……この小悪魔め……」

低く唸るように言いながら、美玲の腰を抱き寄せ、その唇を再び貪るように塞いだ。

――その瞬間。

ドアの外で、すべてを見ていた紗季の胸が、張り裂けそうなほど痛んだ。

圧迫されるような苦しさに、思わずその場にしゃがみこみ、口を押さえて吐き気を堪えた。

五年間の結婚生活。彼は常に穏やかで優しく、ベッドの中でも彼女の気持ちを第一に考えてくれていた。

彼は情事に淡白なのだと、彼女は信じていた。それが「愛」だと――

だが今、すべてが崩れ去った。

「愛」は彼女のために、「欲」は他の女に――そう、彼は分けて使っていただけだった。

紗季はこの場で騒ぎを起こすつもりはなかった。

ただ、震える手でスマホを取り出し、何枚か証拠写真を撮って、その場を離れた。どうやって帰宅したのか、記憶は曖昧だ。だが、家に着いた瞬間――激しい腹痛が彼女を襲った。

痛みはあまりにも鋭く、全身に冷や汗が吹き出した。まるで魂が引き抜かれるような感覚だった。

最後の力を振り絞ってスマホを手に取った。しかし、そこに入力された悠真の番号は、もう発信されることはなかった。

すぐに救急車が駆けつけた。

意識が薄れていく中、紗季は手術室へと運ばれた。眩しい手術灯の光が、まっすぐに彼女の瞳を照らしていた。

そのそばで、誰かが静かにため息をついた。

「……まだ二ヶ月か。もう、ダメかもしれませんね……」

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