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第6話

Author: ショコラちゃん
すでに傷だらけだったリオラの心は、もはや痛みすら感じないほどに麻痺していた。

五年前、アルバートが彼女を連れて結婚の許しを請いに来た時、両親の前に跪いて誓った言葉を突然思い出した。

「お義父さん、お義母さん、どうか安心してください。今はまだ階級の低い一兵卒に過ぎませんが、命に代えてもリオラを守り抜きます。必ず軍で名を上げ、お義父さんたちにも、決して苦労などさせませんから!」

両親は貧しさを咎めることもなく、感動して喜んでいた。

父は家に大切に保管してあった上等な小麦粉を取り出し、母は夜なべして仕上げた手縫いの革靴を彼の手の中に押し付けた。

両親はアルバートに真心を尽くした。だがこの五年間、アルバートから恩返しなど一度もされたことはない。

それどころか今、父の命まで彼の人質にされ、屈服を迫られているのだ!

とっくに気づくべきだった。

フィオナを前にしては、自分が悪いのかどうか、いくら釈明しようが反論しようが、真実が何であろうと……アルバートにとっては全てどうでもいいことなのだ。

彼は愛する女のためなら、どんな非道なことでも平気でやる。

リオラはフィオナを真っ直ぐに見据え、深く頭を下げた。

「ごめんなさい。

あなたに嫉妬するべきじゃなかった。あなたの子供を傷つけるべきでもなかった。すべて私が悪かった。

お願い、父を釈放して。罪はすべて私が被るから」

フィオナは得意げに頷いた。

「物分かりがよろしいようで何よりですわ。ですが、口先だけの謝罪など、誰も信じませんよ」

彼女は一枚の紙を机に叩きつけ、意地悪く目を光らせた。

「血で謝罪文を書きなさい。二度と私の息子を傷つけないと誓っていただきますから」

アルバートの眉間が寄った。

前回の爆発事故で、リオラは大量に出血し、ひどい貧血状態にある。

血で書かせるのはやりすぎではないかと言いかけたが、リオラはすでに自分の指を噛み切り、血で一文字一文字、誓いの言葉を書き始めていた。

粗い紙が指の傷口を何度も擦り、リオラの白い指はあっという間に血まみれの無残な有様になった。

血がすぐに止まってしまい、リオラは二本目の指を噛み切った……

アルバートは目を細め、微かな憐れみを覚えた。

だがリオラは眉一つひそめない。

相変わらず物静かで優しげだったが、その瞳にはアルバートには理解できない決意のようなものが宿っているように見えた。

アルバートは言葉にできない違和感を覚えていた。リオラが……以前とはどこか違ってしまったような気がすると。

子供の件のせいか、それとも父親の一件で、自分がやりすぎたからだろうか?

「リオラ……」

胸の内に微かな不安がよぎり、口を開きかけた時、フィオナに遮られた。

彼女はリオラの書き上げた謝罪文を受け取り、アルバートを見つめた。

「リオラさんも深く反省しているみたいだし、今回のことはもう水に流すわ。

それより、あなたの家、爆発で当分は住めないでしょう?しばらく私の家にいらして……もしよかったら、一緒にリオラさんのお部屋の片付けを手伝ってもらえないかしら?」

アルバートは目を伏せているリオラと、期待に満ちたフィオナを交互に見比べ、最終的に頷いた。

まあいい。

埋め合わせは後からでも遅くはない。

アルバートの命令により、トーマスはすぐに釈放された。

一晩にして白髪交じりになり、見る影もなくやつれ果ててしまった父の姿に、リオラは胸が張り裂けるほどの後悔と罪悪感に苛まれたが、今の彼女にはどうすることもできなかった。

アルバートから渡された銀貨で両親に服と滋養薬を買い、実家まで送り届けるしかなかった。

その後、アルバートの副官に連れられ、フィオナの家へと足を踏み入れた。

邸宅のエントランスから中を見渡すと、あたたかく家庭的な調度品で飾られたその光景は、まるで鋭い針のようにリオラの胸に深く突き刺さった。

家を彩るすべての布置が、かつてアルバートが彼女に約束し、決して果たされることのなかった言葉の残骸だった。

アルバートは言っていた。自分たちの館ができたら、彼女のためにひまわりを育てようと。

リオラが夢見ていたその花は今、フィオナのバルコニーで咲き誇っている。

アルバートは言っていた。一流の画家に二人の肖像画を描かせ、広間の一番目立つ場所に飾ろうと。

今、壁には何枚もの絵が飾られているが、それはすべて彼らが子供を抱き寄せる、まるで「三人家族」のような肖像だった。

アルバートの声には、微かに気まずさが混じっていた。

「俺たちが住むはずだったこの邸宅をフィオナに譲ったのは、彼女が夫を亡くして塞ぎ込んでいたからなんだ。気にしないでくれ、軍団には俺たちのために、もう一つ別の邸宅を割り当てるよう申請を出してあるから……」

リオラは静かに視線を戻し、彼の言葉を冷たく遮った。

「必要ないわ」

もうすぐ、ここを発つのだ。

彼が用意する邸宅になど、二度と足を踏み入れることはないのだから。

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