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第百八話

Autor: marimo
last update Última actualización: 2026-01-02 13:40:38

蓮が壇上から降りると、父である柊晴臣が満面の笑みで待ち構えていた。

 「蓮、よくやった!!」

 晴臣は勢いよくシャンパングラスを掲げ、誇らしげに息子と軽く合わせる。

 黎明コーポレーションが“第八席”に入った。

 これは、どんな大企業でも一朝一夕に得られる立場ではない。

 晴臣にとっても、これ以上ないほどの名誉だった。

 蓮もグラスを傾けながら、静かに微笑んだ。

 だが、その笑顔の裏で、周囲の視線を敏感に感じ取ってもいた。

 ――羨望、興味、嫉妬、警戒。

 さまざまな感情が混ざり合った視線が、蓮にも晴臣にも突き刺さってくる。

 そんな中――

 ふと、蓮のテーブルにひとりの令嬢が近づいてきた。

 「柊さん」

 柔らかい声に振り返ると、白いマーメイドドレスを身にまとった、まるで映画のワンシーンから抜け出したような美女が立っていた。

 背筋はすらりと伸び、宝石のような瞳が静かに蓮を見つめている。

 蓮も席を立ち、礼儀正しく手を差し出した。

 「はじめまして。失礼ですが、どちらのご令嬢でしょうか?」

 彼女は蓮の手を取ると、上品に微笑んだ。

 「橘商事の社長の娘、橘紗季(たちばな さき)と申します。

  本日はご挨拶させていただきたくて……」

 柔らかな声、完璧な笑顔。

 彼女は間違いなく、この会場の“華”の一人だった。

 「先ほどのご挨拶、とても素敵でしたわ。『心に決めた方がいる』……あの言葉、とても印象的でした」

 蓮は少し照れながら、曖昧な笑みを浮かべる。

 ――嫌な予感がした。

 彼女は蓮の反応を確認しながら、一歩近づいた。

 「でも……まだご結婚はされていないのでしょう?

  でしたら、私にも……少しだけ、チャンスをいただけませんか?」

 その声は甘く、周囲の空気を変えるほどの美しさがあった。

 晴臣も思わず目を丸くする。

 蓮は一瞬だけ息を呑んだが、次の瞬間にはもう表情を整えていた。

 「……申し訳ありません。実は、近いうちに正式にプロポーズをする予定なんです。ですので……お気持ちは嬉しいのですが、お受けするわけにはいきません」

 令嬢の瞳から、一瞬で光が消えた。

 「……そ、そうですか……。大変失礼いたしました!!」

 青ざめた顔で深く頭を下げると、そのまま踵を返し、逃げるように去っていった。

 周囲の客が小さくざわめき、ちらりと蓮の
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  • 黎明の風と永遠の指輪ー夜の世界で出会った二人、危険で甘い約束ー   第百十七話 ―再会

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