LOGIN彩は編集作業の為自室へこもった。
昼食を食べ追えてから、霧香と恵也は彩の部屋へ向かう。「レンレンとハランって、全然違うよなぁ」
恵也の『理解出来ない』という一言に、霧香は首を傾げる。
「そりゃあ、違う人なんだし……」
「そうだけど、こう……俺が言いてぇのは、二人ともスペックとかレベル的には同じくらいじゃん ? ファンの数もそう変わんねぇだろ ?
顔付きは違うけど、イケメンレベルが同じくらいって言うか」「ケイって凄い『イケメンイケメン』って言うよね」
「だってイケメンじゃん」
「整ってるとは思うけど……。ヴァンパイアとか天使なんてそう造られてるだけで人間みたいな親しみないよ。
だからサイとかケイのイケメンとは、味が違うじゃない ? 」「え !? 俺 !? 」
霧香の中で、自分もイケメン認定されている事に恵也は今、嬉しさの前に大きくどうようした。
「お、俺は違くね !? 」
「そうかな ?
わたしが思うに、悪魔や天使の綺麗な顔より、人間の美男美女の方が価値が高いと思うんだ。 サイは印象薄い感じだけど、儚げで鬱陶しくないし、ケイは身体とバランス取れてるじゃん。ハランみたいな顔でその筋肉だったら気味悪いよ」「その人に合った顔って事かぁ」
「うん」
とは言え、悪魔や神が人に化けるにしても、見た目を選べない事が普通だ。人間を唆す事に特化した悪魔なら別だが、単純に『人に化ける』としか魔法をかけられない。
「おーい、サイー」
中から「どうぞ」と声がする。
「進んでる ? 」
「そんなすぐ出来ない。こないだのシャドウの写真立て事件がかなりトラウマ。何か映り込んでないか、あちこち観ちゃう。撮る場所って統一するの大事だなって実感してる。
問題発言とかは無かったし……と思うんだけど」「問題かぁ&he
ダークブラウンと薄紫色で統一された部屋のソファに、本を読むディー · ニグラムの姿があった。 ディーは霧香に気付いてはいるが、さも興味無さげに、脚を組み本から目を離さず忠告する。「不敬だぞリヴァイエル。ここは俺の自室だ」 霧香は真っ向から喧嘩を売りに来た。 そう、喧嘩っ早いのは元からだ。 何とかモノクロのイメージの為にと、港の不良の一件以来、温厚な態度を取って来たが、猫に戻されたシャドウを見た時、抑えきれなくなってしまった怒り。「うちの契約者に随分な仕打ちをされましたね」「教育の範囲内だが ? 」 ディーはそういうと、ようやく本を閉じ霧香を見る。「どうした ? 護衛も連れず。俺と戦争でもしに来たのか ? それとも他の悪魔に泣き付きにでも行くのか ? 」「あはは。戦争なんか ! まさか ! 」「……」「素敵なテラス。外の景色を観ても ? 」「構わんが」 美しい石造りの街。 しかし文明としては、やはり水が無いせいか土も壁も渇き、緑が無い。唯一農園だけはあるようだが、水は他の領土に住む水系の悪魔から輸入し真水にする大掛かりな魔法をかけている。「俺の首を捕りにでも来たか ? 」「あ、それもいいですね ! 」 霧香は笑い手をポンッと合わせる。「でも……わたしなら音楽魔法で暗示をかけます魔力を最大限まで使って歌えば……ヴァンパイア領土を手にすることなんて……」「簡単だと ? 馬鹿げている。王族や民衆を暗示にかけたところで、それはただの砂の城だ」「ですよね。わたしもそう思います」「何が望みだリヴァイエル。第三者機関に言われ、契約者の記憶を戻す魔術の確認をしていたところだ。 今回は俺の方が手を引けと糾弾された。 だが、消して忘れるな。皆、お前が恐ろしいから言っている。 お前には情の
霧香はタンスからハランのタオルを漁りながら風呂の準備を進める。「そう言えば、皆んな、恵也をケイって呼ぶようになったね。レンもわたしをキリって呼んだよね ? あれ ? でもいつからだろ ? サイにはいつも呼ばれてるから、すぐに気付かなかったな〜」「キラに川遊びの時言われたろ ? 呼び名がメンバー内で違うのは見てる方は混乱するって。一理あるなと思っただけだよ」「そうだね。わたしもキリに統一しようかな ? 今はインスタは『キリカ』、XとYoutubeはは『KIRI』なんだよな。 サイはSAIだから表記以外はいいとして、ケイもXは『恵也』のままだったはず」「あいつは……。 ほら、お兄さんの関係で、今でもファンとか関係者から連絡来ることあるみたいだから」 そう言われて思い出す。恵也の兄の死。「あれ……一年前……。人間って、ブッキョーの人はなにか集まるんじゃないの ? 」「一周忌な。命日だよ。 確かもう終わってるよ。あれ初夏だったもん。七月頭あたり」「嘘……。ケイ、なんで言ってくれなかったんだろ」「身内の事件だし。お兄さんは俺も会ったことあるけど、お客さんだしな。知り合いって訳じゃないし。 呼ばないし誘わないって事は、家族でだけやったんだろ。今、そういうの小規模じゃん。まして実家が本職だし」「そんなもんかなぁ ? 」 霧香がソッと蓮の膝に乗る。「呼ばなくても、行ってくるって一言も無いなんて……」「……どうかな。事件が事件だったし、あまりお前に恐怖感を与える事はしたくなかったのかも。 モノクロだってVEVOの話も来てたし、動画も好調だったし、波に乗ってきたから暗い話題を避けたのかもな。 ……あいつ馬鹿っぽいけど、意外と男らしいんだよ…&hell
そこで樹里が咲に声をかける。「あんたの部屋ダメなの ? 」「うえ !? え、えーと……今は……その。どど同居人が……」「へ ? 」 突然の恋の気配。「嘘 !? いつの間に !? あんたあたしに紹介も無し !? 」「そ、それは置いといて ! お、お姉さんだってそんな事もあるもん ! 」 咲は何故かモノクロにバツの悪そうに取り繕う。「俺たちは何も言ってないですよ。咲さん、お幸せに。 ケイとサイは ? こういう状況だし、仕方ないさ。お前らも俺の実家に住むか ? 」「ロイさんに悪いしなぁ」 遠慮する恵也に希星が畳み掛ける。「ケイ、うちに来るの !? やった !! 」「ま、まだ決まった訳じゃねぇし……」「いつまでもそんな生活してられないだろ ? サイもだぞ」 ハランにいわれた彩は首を横に振る。「俺はしばらく今の生活しようかな。 あそこにいると観光地が近いからカップルが多いんだ。遠出のカップル。 気が済むまで、いてもいい ? 」「お前な……」 生活の心配で皆動いているのに、彩はかたくなに創作に全振りの生活である。 咲が状況を整理する。「ゲソ組のお金は……キラ君がスマホ返して、リーダーは解決ね。 あとは……車かな ? リーダー、流石に寝る時は場所を変えてどっかに泊まるのよ ? なんて言うか、モノクロの印象や評判ってものがあるし、常識の範囲内で行動してね ? 」「ええ」「今回のVEVOの生放送の出演で少し入ってるはずだし……。 あとは……霧香さんのお財布か……。どうする ? スマホも無いのか。えっと&helli
かなり離れた町の道の駅にいた三人は朝から出発となる。 霧香は熱心にサブスクでオペラ全般を聴いていた。「キリ、まだ決まったわけじゃないし。あの楽団はそういう曲やらないよ。お祭りの会場だし、一般受けするものしかやらないと思う。真理さんがふざけただけ」「あ〜、確かにな。普通、ダンススクールとかなぁ。お祭りのステージってそういう、明るい元気なのが上がるイメージ」「そう。ガチガチのオーケストラなんてやらないよ。まして屋外だし……カルテットくらいの編成だと思う」 霧香は彩にスマホを返すと、難しい顔をして溜め息を付く。「オペラかぁ〜。かっこいい〜。 そう考えると……ガラスのチェロはますます早く取り戻したいなぁ〜」「あれだって弓は毛だし。雨天で濡れたら弾けない」「うむ〜ん」 恵也がハンドルを握り、もそもそし始める。「……なんか俺のスマホぶるぶるしてる。サイ、見てくんね ? 」 彩がガチガチに固まった姿勢で運転している恵也のズボンからスマホを抜き取る。「誰ってなってる ? 」「……南川さんだ。 あ、俺に先に着信来てた。キリ、言えよ」「頼むぜ、そーゆーのちゃんと出てくれよ」「仕事用のスマホ、キラに貸しっぱなしなんだよな」「それこそちゃんとしてくれよ……」 着信の切れてしまったスマホからかけ直す。「おはようございます、モノクロの深浦です。着信に気付かず大変申し訳御座いませんでした」『いやいやいいんだよ。 あのさ、凛さんから広告の事で霧香さんをメインに使いたいから写真撮りたいとかって話が来ててさぁ。 凛さんに番号教えていい ? っていうか、スケジュールどう ? 忙しい ? 』 完全に暇である。「夏祭りに弦楽で地方のステージに立つかもしれなくて16日の午前に…
ま、まさか連載する事になるとは。それもこの子達もお引き取り頂いて、本当に感慨深いんです。何がと申しますと、この主人公キリを中心としたレン、ハラン、サイ、ケイヤ、さらに後日追加キャラになるキラという5人の関係性及びストーリーは高校生の時に執筆した大元の作品があり、それから何度も名を変えジャンルを変え挑戦してきました。まさに私にとって作家人生で初めて産んだ子供達でした。更にプロトタイプは公募にも出さず、ファンタジーやSFという概念を経て生きてきた彼らですから少し『バンドもの』や『恋愛もの』と言うより『日常系』という括りに収まったのかなと思います。これから、配信者活動をゲーム企業から公式配信となった彼らですが、どうぞ引き続きよろしくお願いいたしますm(_ _)m2025 !! 担当様、閲覧してくださった方、また私がGNにたどり着くまで支えてくださった読者様と同業の皆様。本当にお世話になりました ! 良いお年を !!
全員が樹里の事務所で合流する日。 蓮はやっと儀式の準備を済ませた部屋で、王政区の者と連絡がついていた。『そうですか。ではこちらの審査次第またご連絡いたします。 こちらでもニグラム様に聴取をして、リヴァイエル様の生活環境の見直しを図りますので』「ありがとうございます。 あの……本当に……。音楽だけは彼女から取り上げないで下さい。 あいつは攻撃の為に魔法を使ったり、戦いに身を置く様な者ではありません」『それはレン様の感情的な物差しにしか過ぎません。 ……ですが、確かに人間の就職活動も大変だと言いますし、それで生活していけるのなら……第五契約者もいるようですし他の悪魔からみを守れるなら、人目に付く行動も……。人間界は法律もありますし、比較的治安のいい国にいるとは聞いていますので』「あとは、屋敷を護る動物契約者もいたんです。勝手に記憶を消されてしまって……どうにか……どうかお願いします」『その場合、動物の記憶は消した本人……つまりニグラム様自身に戻して貰わないといけません。こちらでも説諭してみます』 交信が途絶える。 正直、あの暴君な兄が説諭だけで「はい、分かりました」と言うわけが無い。 蓮は不安なまま、結局シャドウを元に戻せないまま霧香と合流する事になった。 気分が落ち込む。 シャドウの事を「また記憶戻せるかもしれないんだ」と希望を持たせる甘い言葉か、「同じ個体なら記憶が無くなってもシャドウだから」という夢を持たせるか。 蓮が一人掛けソファに垂れていると、突然ドアノブがガタガタ言い出した。「…… ?」 魔法が満足に使えない今、敵襲は困る。だが自分を襲うとしたら、それは自分の身内のヴァンパイアである。この銀製品の多い部屋で中まで侵入出来るとは思えないと決めつけた。