すべての期待が一瞬で打ち砕かれ、頭の先から足の先まで冷え切ってしまった。絶望とは、きっとこういうことを言ったのだろう。私は電話を握りしめたまま、長い間何も言えなかった。何かを問いただしたい気持ちはあったが、それに何の意味があるのだろうとも思った。彼がどこにいるのか、言わなくてもわかる。もう次はないって、彼にはっきり伝えたはずなのに。つまり、彼はすでに選んだということだ。違うのだろうか? 大人に、選択も損得の計算もできない人間などいない。そして私は、彼の中で何度も何度も天秤にかけられた末、切り捨てられる側になったのだ。無意識にお腹をそっと撫でながら考える。この子を、本当に産むべきなのだろうか。もし産んだら、彼との関係は完全に断ち切れなくなる。子どもの親権、それだけでも大きな問題だ。そのとき、電話の向こうから彼の声がした。「南?」「……うん」それ以上、何も言った気になれなかった。いや、正確には、もう彼に対して余計な言葉をかける気力すらなかった。朝食を済ませた後、一人で車を運転し病院へ向かった。彼を誘ったのは、サプライズをしかったからだ。それなのに、どうして佐藤さんを巻き込む必要があった?私だって、まだお腹が大きくて動けないわけじゃないのに。思考が混乱していたせいか、突然目の前に割り込んできた車に、全く反応できなかった。「ガンッ!」衝撃とともに、視界がぐるぐると回る。本能的に、残った力を振り絞って宏に電話をかけた。結婚して最初にしたことは、彼を緊急連絡先に設定することだった。――宏は、私の夫になった。それだけで、私はとても嬉しかった。彼との関係を何か形にしたくて、考えに考えた末の答えが、緊急連絡先の登録だった。でも、それを彼は知らない。独りよがりの喜びだったのだ。そして今、その電話は、いつまでも鳴り続けたばかりで、誰も出ない。お腹が痛み出した。子どものことを考えた瞬間、強烈な恐怖に襲われた。宏、電話に出てよ! ようやく、電話が繋がった。だが、聞こえてきたのは彼の声ではなかった。「南?何か用?宏、今日はあなたの相手をする時間なんてないって言ってたでしょ?」アナの柔らかい声が、鋭い刃のように心を貫く。息が詰まり、涙がこぼれ落ち、指先が震えて止まらなか
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