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第16話

Author: ラクオン
時間を見ると、すでに深夜2時を回っていた。

彼はアナと一緒に退勤したはず。

なのに、どうして伊賀たちと飲んでいるの?しかも、伊賀の話ではアナはその場にいなかった。

もう一度電話をかけるが、電源が切れていた。バッテリーが切れたのだろう。

仕方なく、私は着替えてタクシーを呼び、彼らがよく集まる馴染みのプライベートクラブへ向かった。

到着すると、店内はすでにほとんどの客が帰っていた。

個室には、伊賀と時雄の二人だけが残っていた。

──それと、もう一人。高級オーダースーツに身を包み、長い脚を優雅に組んだまま、

ソファに寝転んで、気持ちよさそうに眠っている宏も。

私の姿を見るなり、伊賀は肩をすくめ、困ったように言った。

「南さん、宏さんが今日どうしちゃったのか分かんないけど、時雄を巻き込んで無理やり飲ませまくってたんだよ。止めても聞きゃしない」

「……」

理由は、だいたい察しがついた。

彼は今でも、私と時雄の間に何かあると疑っている。

男って、結局みんなそうなのかもしれない。自分は好き勝手しても、妻がほんの少しでも裏切る可能性があるのは許せない。

たとえ、それが根拠のない思い込みだったとしても。

私は隣に座る時雄へ視線を向けた。彼は端正な顔立ちのまま、少しぼんやりとした瞳でこちらを見ている。

「先輩、大丈夫?酔い覚ましの薬を持ってきたけど、飲みますか?」

おそらく相当飲まされたのだろう。目がうるうるした。

「……もらうよ」

少し意識を取り戻したのか、彼は静かに頷いた。頬が赤く染まり、まるで飴を待つ子どものような表情だった。私は薬を手のひらに乗せ、グラスの水を差し出した。

「すみません、こんなに飲まされてしまって」

「いや、俺が言ったのもなんだけどさ……時雄も、なんでそんなに頑固なんだよ?宏さんが飲ませるたびに、俺たちが止めても、結局全部飲み干してさ!」伊賀がぼやきながら言った。

伊賀は私に車のキーを差し出した。

「運転、大丈夫?」

「うん」

宏の横にしゃがみ込み、酒の臭いを我慢しながら、手を伸ばして彼の頬を軽く叩いた。

「宏、起きて。家に帰るよ」

彼は眉をひそめ、しばらくすると、うっすら目を開いた。私を認識した途端、突然、バカみたいな笑顔を浮かべた。

「……ハーニー」

そう言いながら、大きな手で私の手を包み込んだ。

冷たい――。

伊賀はますます笑いを堪えきれない様子だった。「南さん、ほらな?俺がアナを呼ばなくて正解だったろ?あの女がこれ見たら、血管切れるぞ」

隅の席で、時雄は静かに視線を伏せたまま、一言も発さなかった。

私はそっと宏の手を引こうとしたが、酔った彼の力は想像以上に強く、まるで岩のようにびくともしない。

……仕方ない。

伊賀が手伝い、何とか彼を車に乗せた。

その後、彼はまた部屋に戻り、時雄を迎えに行った。

車に乗り込むと、まず最初に窓を全開にした。

普段なら酒の匂いはそこまで気にならないのに、今日は妙に耐えがたい。吐き気がこみ上げてくる。

深夜の道路は空いていて、スムーズに進む。

だが、私の気分は最悪だった。寝ているところを呼び出され、ただでさえ不機嫌なうえに、昼間の出来事も重なり、無性に苛立ちが募った。

アクセルとブレーキを強めに踏み込むと、宏が不機嫌そうにうめいた。

「加藤、スピード落とせ……」

「落とせるわけないでしょ」

無意識に返すと――

「……うっ……」

「ちょっと!吐かないでよ!」

思わずゾッとした。

「……うっ……」

「飲み込んで!」

私は全身に鳥肌が立った。昔から、人が吐くところを見るのが大の苦手だった。ましてや今は妊娠中。

もし彼が本当に吐いたら、私も間違いなく今日の夕飯を全部吐き出してしまうだろう。

「……げっ……」

彼はしゃっくりを一つした後、ようやく静かになった。それを確認して、私は安堵のため息をついた。

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Comments (2)
goodnovel comment avatar
chiks
ゲロwwくそうけるwww
goodnovel comment avatar
かほる
何やってんだ この男 自分の始末出来ないくせに 南を困らせるな そんなに執着するなら アナをなんとかしろ
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