藤原家のリビング。いつの間にか、大きな窓の外ではまた雪が舞い始めていた。ひらひらと旋回しながら落ちてきた雪は、地面にうっすらと白く積もっている。室内は十分に暖かいはずなのに、藤原夫人の冷たい視線と目が合った瞬間、背筋がぞくりと冷えた。彼女たちは、私のことを調べ上げていた。鹿児島に来る前のことまで──だからこそ、あの物置に閉じ込め、わざわざ電気まで切ったのだ。たかが元妻一人を排除するために、そこまで手間をかけるとは。藤原夫人は茶を一口啜ると、私を見下ろすように言った。「鹿児島を離れる件、もう一度考えてみたら?」私は背筋を伸ばしたまま問い返す。「今回の理由は、なんですか?」前回は、脅しと取り引き。今回は、果たして──「あなたが起業して最初に出したドレス。それが、こんな騒ぎを起こすなんてね」藤原夫人は皮肉げに口角を上げた。「このまま会社を続けていけると思ってる?海外にでも行って、数年しっかり勉強してきたら?その費用は、私が持つわ」私は無意識に、手のひらをぎゅっと握った。──あの日、藤原家で、宏も同じことを言った。「海外に行け」と。まるで、皆が私を国外に追いやろうとしているようだった。藤原夫人はさらに続けた。「でも、その前にSNSで正式に謝罪してもらうわ。あなた自身の名前で、『意図的に星華を晒し者にした』って、ちゃんと書くの」「……もし、それを断ったら?」私は苦笑を浮かべ、ゆっくりと顔を上げた。そして、毅然とした声で問う。「それに……ドレスのトラブルが本当に私のせいだと、どうして断言できるんですか?」その瞬間、藤原夫人の顔色が変わった。手に持っていた茶碗が、石のテーブルの上で甲高い音を立てて跳ねた。「……あなた、何が言いたいの?まさか、星華が自分でわざとそんな恥をかいたとでも言うの?」「その可能性が、一番高いと思います」私は一語一語、はっきりと答えた。藤原夫人は勢いよく立ち上がり、ヒールの音を鳴らして私の前へと歩み寄る。そして突然、顔を掴んできた。鋭く整えられたネイルが、じわじわと私の頬に食い込んでいく。「じゃあ証拠は?清水南、あなたのその証拠って何なの?」逃れようにも、両肩と腕は二人の屈強なボディーガードにしっかりと押さえられていて、びく
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