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第302話

Author: ラクオン
星華は一瞬、顔をこわばらせたが、すぐに冷たく鼻で笑った。

「そうよ。私が自分で切ったの。それがどうしたの?」

その言葉を聞いた瞬間、もうこれ以上、彼女に言葉を重ねる気が失せた。

私はただ、藤原奥さんに視線を向ける。

「……藤原さん。もう帰ってもいいですか?」

彼女はただ娘のために怒っているだけだと思っていた。

けれど、今や真実ははっきりした。私には何の関係もなかった。

まさか、藤原奥さんは星華の頬をつまむようにして、柔らかく言った。

「どうかしてるの?自分の名誉を捨ててまで、彼女を陥れるなんて」

星華は唇を尖らせ、甘えた声で笑った。

「ごめんなさい、お母さん。でも、この人は何を言っても通じないの。仕方なかったのよ」

「もういいのよ」

藤原夫人は穏やかな声で言う。

「部屋に戻りなさい。あとはお母さんが片づけるから」

その声音には一切の叱責がなかった。

世の中に、これほどまで子どもを甘やかす母親がいるだろうかと思うほどだった。

星華はぱっと笑顔を見せた。

「お母さん、やっぱり一番優しい!」

軽やかな足取りで階段を上っていく。

奥さんはその背中を、慈しむ
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