動きは、やたらと早かった。三十分も経たないうちに、下ごしらえまで全部済んでいた。ただ、私はじゃがいもの炒め物を食べたいって言ったのに、どう見ても彼はフライドポテトを作る気満々だった。……まあ、ポテトなら何でも美味しいからいいけど。ソファに寝転がってスマホをいじっていると、エプロン姿の鷹が出てきた。普段はどこか偉そうな若様が、頭をかきながら妙におずおずと口を開いた。「なあ、先に風呂入らね?」「ご飯食べてからでいい」「風呂入ってからのほうが、スッキリして美味しく食べられるぞ?絶対そっちがいいって」真剣な顔で勧めてくるもんだから、こっちはますます怪しい。「……」何を企んでんのかは知らないけど、そこまで言うなら譲ってやってもいいか。飯作ってもらってる立場だし。私は部屋に戻って着替えを取り、バスルームへ。風呂から出た頃には、食卓にはもう料理が並んでいた。鷹はキッチンで何かをゴソゴソしていて、私の気配に気づいた瞬間、ちょっとだけ動きがぎこちなくなった。それでもすぐ平静を装って出てきた。「飯、できたぞ」「うん!」席についた私は思わず感心した。「……意外。あんた、こんなに料理できるとは思わなかった」四品にスープ一品。見た目はレストラン顔負けだった。なんでこんなに何でもできるんだろう、この人。椅子を引いてくれる彼が、得意げに眉を上げる。「ちゃんと見とけよ。俺の長所、前の旦那より全然多いからな」「……」私は苦笑いしつつ、ふと顔を上げて訊いた。「……あれ?フライドポテトは?まだ揚がってないの?」鷹は隣にだらっと腰を下ろしながら言った。「……は?フライドポテト?」「さっきポテト切ってたじゃん。てっきりポテト揚げるのかと」「……チッ」彼は舌打ちしながら、あごでテーブルを指し示した。「見りゃわかるだろ、ポテトの千切り炒めだ」「?」私はチラッとキッチンのゴミ箱を見て、すぐに合点がいった。――なるほどね、すり替えたな。それでさっき、風呂入れってやたら推してきたのか。私は素直に褒めた。「……いや、すごいね」このレストラン、味も最高だった。どの料理も味加減も火の通し方もパーフェクトで、食べていて心地よかった。私の満足げな様子を見て、鷹は
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