30分後、誠健は慌てて書斎に駆け込んできた。彼はその小さな物を電子機器の上に置いた。すぐに、智哉の幼い声が聞こえてきた。「妹ちゃん、僕は智哉兄さんだよ。早く大きくなってね、大きくなったら僕が君を嫁に迎えるよ。このネックレスは僕が君に送る愛の証だよ、絶対にずっとつけててね」その後、女性の声が続いた。「私はお母さんだよ。このネックレスは玲子叔母さんがデザインしてくれたものだよ、しかも智哉兄さんの声もこっそり編集してくれたんだよ。君が大きくなったら、これを取り出して、智哉兄さんと話している気分を味わってね。お母さんは君たちが一緒に成長して、結婚して幸せな家庭を築いてほしいと願っているよ。智哉、君は約束を守って、私の宝物を大切にしてあげてね。彼女が成長しても、絶対に傷つけないようにね。二人の幸せを祈っているよ」その言葉を聞いた佳奈は、すでに涙が止まらなかった。これまで、彼女は母親の写真やコンサートの動画を見てきたが、実際に話している動画はほとんどなかった。これは彼女が初めて母親の声を聞く瞬間だった。その声はとても優しく、温かくて、聞いているだけで幸せな気持ちになった。佳奈は服の裾をぎゅっと握りしめ、涙で濡れた目を清司に向けた。「お父さん、これ、母さんだよ。母さんが私にメッセージを残してくれた。智哉と一緒に幸せになってほしいって」清司は彼女を優しく抱きしめ、「これで安心だろう。君のお母さんはずっと君と智哉が一緒にいることを望んでいたんだよ」と慰めた。佳奈はすぐに涙を拭き取り、「他に何か見つかった?」と尋ねた。誠健はコンピュータのデータを見ながら言った。「これはミニ録音装置で、位置情報システムも内蔵されている。おそらく、このネックレスをデザインした人は、君の安全を小さい頃から守ろうとしていたんだ。もし君がこのネックレスをつけていれば、どこに行っても見つけられるんだ。ただ、この秘密に気づいた者はいなかった」その言葉を聞いて、佳奈はまるで一瞬で全ての繋がりが解けたように感じた。彼女は設計図を手に取り「奈津子おばさんのデザイン図では、このダイヤモンドは他のものと違うし、実物ともぴったり合ってる。玲子のはどれも同じだ。だから、このデザインは本当に玲子と私の母だけが知っているものだってこと。母さん
Read more