All Chapters of (改訂版)夜勤族の妄想物語: Chapter 311 - Chapter 320

377 Chapters

4. 「異世界ほのぼの日記2」129

-129 動き出した隣国- 許せないからと言ってまさか結愛をパシリに使うとは、好美はかなり肝が据わっていて度胸があるらしい。ただ、一応その人、大企業の社長なのだが。好美「だって本当に許せないんだもん!!」結愛「と言うか「一応」って何だこら、俺はちゃんとした社長だぞ。」 す・・・、すんません・・・。また聞こえてやがった、怖い怖い。・・・ゴホン。 所有するビルの最上階にあるプライベートプールに突如モーターボートが現れ、そこら辺がびちゃびちゃになったので好美が怒るのも分からなくもない。まぁ、正直言って過去に誰も経験した事が無いはずなのだが。最低でも俺(作者)は経験なし。結愛「ほら、持って来たぞ・・・。」好美「結愛も入んの!!」 どうやら一緒に呑みたかったらしい、ただ素直に「呑みたい」とは決して言わずに今回のハプニングをチャンスに変えようとしている様だ。 結愛自身にとったら予想通りなのだが、一先ず改めて旦那に連絡を入れておく事にした。結愛(念話)「今回の事件に義弘は関与無し、義弘派閥の(元)株主2人やクァーデンもシロみたいだ。さっき言った通り俺は一時離脱する、今日は好美んちにいるからそのつもりで。」光明(念話)「分かったぁ・・・、後は任せろぉ・・・。」結愛(念話)「お前、どうした?」光明(念話)「俺は大丈夫だぁ・・・。」 『念話』での様子から見てどうやら出来上がってしまっているらしい、結構強い酒を犯人グループに呑まされているのだろうか。まぁ、作戦の内だろうと許容した結愛は脱衣して湯に浸かった。 一方、今夜は王宮での夜勤が休みの好美はビル1階部分にある「暴徒の鱗」、そして「コノミーマート」の両店舗共に人数が足りているとの事でヘルプに入る必要もなく今日は心置きなく呑むつもりらしい。ただ1人で呑むのもつまらないと思っていた所に丁度良く結愛が出現した、これは好美にとって絶好のチャンスだった。 日の光が差し込み、別の方向では虹が出ているビル屋上の露天風呂で2人は缶ビールを開けて一気に煽る。因みに冷蔵庫に在庫はたっぷりあるので『転送』を使えばお代わりし放題だ。 その頃犯人グループの洞窟にいる光明たちは「お頭」らしき人物が現れないままリーダー達に今でも呑まされているらしい、そんな中で野郎だらけの中でマスクをした女性らしき人物が1人副社長に気付いてにこや
last updateLast Updated : 2025-08-04
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4. 「異世界ほのぼの日記2」130

-130 お頭- 「潜入作戦」と言う名の宴に警部補と副社長が戻った時、プレハブの前では最高潮と言っても良い位に盛り上がっていた。 犯人グループのリーダーは戻って来た光明(ここではハンジ)とドーラを見つけると、すぐに絡み酒を始めた。リーダー「お前ら別グループ同士なのに偉く仲が良いんだな、連れションか?」 何故か顔を赤らめ、マスクを上げるドーラ。その横で光明がフォローする様に返事をした。光明(ハンジ)「偶然トイレの前で出くわしただけですよ、俺が長かったからずっと待ってくれてたんです。ほら呑みなおしましょう。」リーダー「分かっているじゃないか、ほら2人共開けろや。」 例の「お頭」が来るまであまり酔わない様にセーブしておこうとしていたが、ここで断るとリーダーに何を言われるか分からない。と言っても先程の『念話』で結構酔っていた気もするが。 自分達を犯人グループの一員だと勘違いしている内にリーダーを酔い潰し、改めて作戦会議をしようと考え始めた潜入メンバー達。 そんな中、リーダーは嬉しそうに語っていた。リーダー「お頭絶対喜ぶぜ、何せ上物のヘルハウンドといつもの倍の量のミスリル鉱石が手に入ったんだからな。」 夜中に渚達が洞窟で救出したミルとカランの事だと思われるが、この言葉を聞いたデカルトが怒りでビールの缶を潰しかけているのを見てドーラが何とか落ち着かせた。今はとにかく堪えるべき時だ。 光明は下級魔獣達を捕まえ、ミスリル鉱石を手に入れてどうするのかを聞きたかったが何も知らないのかと疑われそうなのでやめておいた。 それから1時間程経過しただろうか、外が完全に明るくなっている。全員昨晩からずっと呑んでいたのでつい時間を忘れてしまっている。リーダー「おっと、もうこんな時間か。そろそろいつも通り拉麵で〆て寝ておこう、昼間にはお頭達が来るはずだ。」 リーダーの言葉を聞いて皆プレハブの中からカップ麺と寝袋を持って来た、ただ潜入メンバーのお陰でカップ麺は大丈夫だが寝袋が足らなくなっている。リーダー「あらら、どうしよう。」光明(ハンジ)「俺達は大丈夫ですよ、もうちょっとだけ呑んでいたいし。」リーダー「皆、お前ら良いやつだな。俺からのお礼だ、これも呑んでくれ。でも早く寝ろよ?」 作戦会議の為とは言え、受け取らない訳には行かない。 一先ず受け取ったビールを片手
last updateLast Updated : 2025-08-04
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4. 「異世界ほのぼの日記2」131

-131 神様のミス- 光明と結愛には盲点があったようだ、確かに義弘や義弘派閥、クァーデンは関与していない。しかし日本の貝塚学園で義弘と共謀した奴の事を完全に忘れてしまっていた。光明「あいつはラルク・・・。まさかアイツの顔を見る事になるとは、しかしどうやってこの世界に来たんだ。」 そう、「お頭」の正体は当時国際的に指名手配されていた凶悪犯のラルクだったのだ。 光明が頭を抱えていると潜入メンバー全員の脳内に聞き覚えのある声がして来た、どうやら『念話』と同じシステムの様なので犯人グループ達には聞こえていないらしい。声(念話)「すまない、私のミスなんだ。」光明(念話)「もしかして、神様ですか。」神様(念話)「嗚呼・・・。普段は善良な日本国民に第2の人生をと思って、この世界での便利な生活をプレゼントしていたんだ。ある日、とある日本人を送った際に霊魂として現れた奴が紛れ込んでしまってな。お前は駄目だと必死に止めようとしたんだが、速すぎて止める事が出来なんだ。ミスとは言え、こちらの世界では善良に生きてくれると信じていたんだがな。これに関しては私に責任がある、私もこやつの逮捕に協力させてくれ。そうだ、私が警部として地上に降りて奴を逮捕しよう。すぐに行くから待っていてくれ。」 作戦の為、失礼も承知で神様を必死に止める光明。光明(念話)「神様、申し訳ございません。お気持ちは嬉しいのですが、実は敢えて泳がせて奴らの目的と証拠を押さえてから逮捕しようと思っていたのですが。」神様(念話)「そうか、しかし洞窟側の犯人グループ達が逮捕されては泳がせても仕方がない上に証拠の為の下級魔獣達も渚達が解放してしまったぞ。ミスリル鉱石も王国軍が回収しておるみたいだ、その場で逮捕するのが最善策では無いのだろうかと思うぞ。光明よ、今ならまだ逮捕できる、決意を決めるのだ。」ドーラ(念話)「それにしても神様もミスをするものなんですね。」 神様が返事をしようとすると、ある女神の声がした。どうやら神様同士だと言うのにかなり家庭的な原因でお怒りの様だ。女神(念話)「お父様、脱いだ服はちゃんと裏返してから洗濯に出す様にいつも言っているでしょう。」神様(念話)「すまぬ、娘よ。明日からちゃんと守るから。」女神(念話)「もう、今度やったら皆にビール1本ずつ奢って貰いますからね。」 そう言うと
last updateLast Updated : 2025-08-17
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4. 「異世界ほのぼの日記2」132

-132 逮捕- 数人の部下(らしき人物)達が先程から囲んで足止めしているラルクに上からのしかかり動きを制限している中にビクターも参戦し始めた、胸ポケットから警察手帳らしき物を取り出している。ご立派にも中にはしっかりと制服姿で撮影したと思われる写真が入っていた。ビクター「天界警察のビクターだ、ダンラルタ王国における外界への違法で不当な下級魔獣とミスリル鉱石の売買及びバルファイ王国での魔学校生誘拐と婦女暴行、そして殺人未遂と人身売買容疑で逮捕する(※スラスラと台詞を言っていますが天界警察というものはございませんので悪しからず)。」ラルク「くっ・・・、どこで見てやがった・・・。」 上から部下(らしき人物)たちが体重をずっとかけているので苦し紛れに質問する元国際指名手配犯、そのラルクを自らのミスでこの世界に送ってしまった上級古龍は力を強めながら答えた。ビクター「俺含め天界にいる者をナメてんじゃねぇ、お前がこの世界に来た時からずっと空から見張ってたんだ。」ラルク「「この世界に来た時から」だと・・・?!」ビクター「「お前は行っては駄目だ」と止めたのに制止を振り切って無理やりこの世界への門に飛び込んだだろう、私の顔を覚えていないか。」ラルク「やっぱり見覚えあると思ったら、あの時の・・・。」ビクター「思い出したか、ミスとは言えこっちの世界では善良な市民として真面目に生きてくれると信じていたのにいとも簡単に裏切りやがって・・・。」ラルク「俺を信じてくれていたのか・・・、そんな奴は初めてだ。くっ・・・。」 ラルクは顔を背けて涙を流し始めた、体が小刻みに震えている。ラルク「長くなるが、昔話を語って良いか?」ビクター「何だ、聞こうじゃないか。」ラルク「俺は幼少の頃に親からの虐待を受けた挙句に捨てられてな、1人泣きながら真っ暗な夜道を歩いて毎晩の様に公園で寝泊まりしていた。流石に怪しまれたさ、そして警察に保護されて施設に入った。ただそこの奴らも担当教師も親を失ったボロボロの俺の言葉を誰一人信じてくれなかった、それどころか口を開けば罵倒される日々だったんだ。俺は何度も施設を飛び出そうとした、その度にまた警察の世話になって施設に戻される。施設長は俺の顔を見る度に怒り、そして俺を殴った。そしてずっと「お前は信頼できない」と言われ続けた、施設長が担当教師や他の奴らと共
last updateLast Updated : 2025-08-17
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4. 「異世界ほのぼの日記2」133

-133 軍隊長の表裏- 光明が親子の再会を目の当たりにして干渉に浸っている横で、後から合流したプニ率いるダンラルタ警察とムカリト達王国軍の手によって犯人グループ達が逮捕されていった、ただ主犯格(リーダー)のラルクはビクターが連行するとの事だった。 一先ずドーラがプニに大丈夫なのだろうかと尋ねてみたのだが・・・。プニ「流石に「一柱の神」である上級古龍(アーク・エンシェント・ドラゴン)に逆らう訳にはいかないだろ。」 との一言だった。 これは後から分かった事なのだが、ラルクは元の世界で犯し続けた犯罪の事もあるので天界にあるこの世界で最も厳重とされる牢獄の奥深くに幽閉される事が決まったそうだ。その厳重さにはネルパオン強制収容所など足元にも及ばない。この世界での最高神の集まりとも言える「一柱の神」の意志に背きこの世界に無理矢理転生し、犯罪を繰り返していたのだから当然の罰とも言えよう。ラルク「なぁ警部さん、1つ質問して良いか?」ビクター「どうした?」 元国際指名手配犯は未だ警部の姿をする上級古龍に質問した、ラルクは未だにビクターの事を本物の警部だと思い込んでいる。ラルク「天界ってのは・・・、あの世の事なのか?俺はやっとあの世でゆっくりと過ごせるのか?」 上級古龍はあまりこういった質問をされた事が無かったので少し考え込んだ。ビクター「うーん・・・、難しい質問だな・・・。ただあの世ではないと思うぞ、この世界での死者が天界へと向かう訳ではないからな。」ラルク「そうか・・・。」 ラルクの両手首に手錠を取り付け、ふんわりと浮かび上がって天界へと連行して行くビクター達を地上の王国軍隊や警察官たちが敬礼しながら見送った。「一柱の神」と共に大きな一仕事を成し遂げた事を誇りに思っているのだろう、プニやムカリトを含めた数人は感動の涙を浮かべていた。ムカリト「これで世界が救われるんだな、神に感謝だ。」プニ「そうだな、兄貴。」ムカリト(変声解除)「馬鹿、「姉貴」だって言ってんだろ。俺は女だぞ。」 プニはムカリトの事を未だに男性だと勘違いしているままの王国軍隊員もいるだろうと気を遣ったつもりだったのだが、姉からすれば自らの性別などもうどうでも良い事らしい。軍隊長は『変声』を解き、軍帽を脱いで堂々とした姿で立っていた。ただ、ムカリトが女性だと発覚したが故に驚愕した王国
last updateLast Updated : 2025-08-17
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4. 「異世界ほのぼの日記2」134

-134 犯人逮捕の影響- 王国軍の軍隊員が軍隊長カップルに呆れかえっている中、光明が親子たちの感動の再会をずっと眺めて感傷に浸っていた。光明「子供、親子、家族か・・・。」 今思えば結愛と結婚して以来仕事ばかりの日々がずっと続き夫婦らしい事をした覚えが全くない。 正直、そろそろ自分達も家族を持つべきでは無いかと少し考え始めた。それを『察知』したのか、好美と屋上の露天風呂での入浴を続けながら酒に酔った妻から『念話』が。結愛(念話)「おい光明・・・、今「子供」とか考えていなかったか?」光明(念話)「確かに、少し考えていたな。」 光明は『念話』で話しながら少し顔を赤らめている、まだ酒が抜けていないのだろう。結愛(念話)「今夜・・・、いや今からどうだ?丁度、俺今「ピー(自粛)」で「ピー(自粛)」だぜ。」光明(念話)「今、結愛が・・・。」 良からぬ想像をしてしまった光明は1人鼻血を出していた、正直満更でもない気分だったという。光明(念話)「ば・・・、馬鹿野郎。何言ってんだよ、お前。」結愛(念話)「欲しいんだろ、構わねぇぜ。」 結愛も酒に酔っているので満更でもない気分だったそうだ、ただその『念話』を横から聞いてしまった好美が妨害した。好美(念話)「馬鹿!!そう言う話は家でして、私だって「ピー(自粛)」で「ピー(自粛)」なんだから守と・・・。」 同刻、豚舎で豚の餌をせっせと作っていた彼氏は好美の思考を『察知』したが故に何故か悪寒がしていた、彼女の方からあの様な台詞が出たのは珍しかった上に非常に久々だったので正直焦っている。 隣で一緒に餌の準備をしていたケデールが守の異変に気付いた。ケデール「守、顔色が悪いぞ。何があった。」守「店長、今夜辺り雪が降るかも知れません。いや吹雪が来ます!!」ケデール「おいおい、こんな暑い日に有り得ん事を言うな。」守「そうですね、俺もバスタオルを用意しておきます。色んな意味で。」ケデール「馬鹿か。」 そんな中、好美達が露天風呂を楽しむビルの1階にある「暴徒の鱗 ビル下店」では先程までずらっと並んでいた客を捌き切った店長のイャンダと結愛の兄である海斗が賄いを食べ、一服しながらテレビで流れたニュースの速報を見ていた。 「下級魔獣違法売買の元国際指名手配犯逮捕、貝塚財閥副社長と拉麵屋台店主達に感謝状か」との内容だ
last updateLast Updated : 2025-08-17
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4. 「異世界ほのぼの日記2」135

-135 お楽しみ後の祝勝会- 好美が予約を入れた19:00、イャンダの予想通り「暴徒の鱗」には行列が出来ていた。しかし今夜の好美達には関係の無い事だ、好美と守は一足早く『瞬間移動』で店に到着して「予約席」と書かれた札が置かれた屋外のテーブル席に座ろうとしたのだが・・・。イャンダ「好美ちゃん、何で2人とも少し汗ばんでんの?しかも顔が赤いし。」守「腹空かせる為に運動してたんだよ・・・、な?」好美「そうそうそう・・・。」イャンダ「ふーん・・・、でも主役は渚さんと光明君だろ?」好美「いいじゃん、別に。」 オーナーが少しいじけかけているので急いで宥める店長。イャンダ「悪かったよ。ほら、特別にビール1杯サービスするから許してよ。」好美「全員にも1杯ずつなら良い・・・。」 少し笑顔を見せながら答えた好美、どうやら現金な女性に育ってしまったらしい。イャンダ「好美ちゃんには頭が上がらないや、分かったよ。」 イャンダの言葉を聞いたデルアは結構な量を仕入れたつもりだったが足りるかどうかが正直不安だった、何も聞かなかった事にして店内で食事したり順番待ちで並んでいる客を捌きつつ酒の肴の準備に入る。 調理場にイャンダも加わり、ホールには魔学校生のバイトのみとなった。そして出来上がった肴と酒を持ったバイトが屋外テーブルにやって来た。バイト「お待たせしました、自家製叉焼とビールです。」 好美が涼しい顔をして仕事をこなすバイトに感心していた時、『瞬間移動』で今夜の主役の1人を連れた大企業の社長がやって来た。ただこの2人も先程の好美達と同様に顔を赤らめさせ汗ばんでいた、不自然にも衣服が少し崩れている。結愛「腕立て伏せと腹筋をしていたんだよ、呑み食いの前のいつもの習慣なんだ。な?」光明「そうそう、お陰で腹減ったよ。早く座ろうや。」デルア「いらっしゃい、みつもんのニュース見たよ。凄かったね。」 知らぬ間に仲良くなっている2人、一緒に遊びにでも行った事があるのだろうか。ただ不自然な点が・・・。デルア「これは俺からのサービスね。」光明「ありがとよ、というかさっきから聞きたかったんだけど何で鎧なの?」 店にはちゃんと制服があるのでデルアの不自然さが物凄く目立っている、焦った副店長は言い訳を考えた。デルア「コ・・・、コスプレ・・・。」 実は先程仕込みをしていた際
last updateLast Updated : 2025-08-17
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4. 「異世界ほのぼの日記2」136

-136 きっかけを思い出す- 真希子の突然の登場により動揺しつつ乾杯の音頭という大役を務めた結愛は冷えたジョッキの生ビールを煽りながら自らの席に戻った、着席するなり肴として提供されている揚げたての鳥のから揚げを頬張り冷えたビールで流し込んだ。結愛「ああー、やっぱりこういった祝いの席で呑むビールは格別に美味ぇな。」光明「おいおい、お前が主役みたいになってんじゃねぇか。」 今日の主役のはずの夫はジョッキ片手に顔をヒクヒクさせている、目の前では真希子が豚の角煮に壺から辛子を出してつけようとしていた。 小さな匙でちょっとずつ加えていく。真希子「あんたら結婚してからも相変わらずだね、高校時代とちっとも変わらないじゃないか。」結愛「おば・・・、おば様。私達はいつまでも私達ですから、変わらなくて当然だと思いますよ。」真希子「そうなのかね、という事はうちの守はいつまでもド変態という事だね。」 母の言葉が聞こえてしまった息子は鼻からビールを吹き出しかけた、隣で好美が首を縦に振っている。彼女が言うのだから間違いない。守「母ちゃんも好美も皆の前で何言ってんだよ。」好美「だって本当の事だもん。」 テーブルを囲む全員が好美の言葉で爆笑していた、良い話のネタになった様だ。結愛「あはは・・・、あいつら相変わらずだよな・・・。それにしても光明、どうしてラルクが犯人って分かったんだ?義弘とパントリー・クァーデンの事は疑わなかったのか?」光明「そうだな、この事件が発覚する前にリランから会社に理不尽な電話があったの覚えているか?」 魔獣保護養育施設の事で言い掛かりの電話をして来たことを嫌々ながら思い出した。結愛「嗚呼・・・、あの面倒くせぇクレーム電話な。」光明「義弘は未だに豚箱ン中だし、クァーデンは刑が軽くなって釈放されているけど義弘と共謀してまで娘の為に動いた奴だぞ、娘が疑惑を持ち始めたのに犯行を続けると思うか?それに刑務所ン中で更生したって聞いているし、ただ勿論あいつらの事は信用してないけどな。」結愛「でもラルクがこっちに来てたなんて思いもしなかったぜ。」光明「そうだな、神様もミスするんだな。何か親近感湧くぜ。」 すると天界から聞き覚えのある声が、あのビクター・ラルーだ。ビクター「だから悪かったって言っているだろう、約束通りラルクもちゃんと幽閉しているん
last updateLast Updated : 2025-08-18
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4. 「異世界ほのぼの日記2」137

-137 恐怖が始まる- 店前で古龍がまた降りて来て店前で並んでいる客がざわついていたので、調理場での作業を離れたイャンダが行列の整理に向かっていた。イャンダ「お客様、落ち着いてお並び下さい。従わない方には麺1本も売りませんよ。」 馬鹿な台詞を吐く店長に拳骨をする副店長、どっちが上の者なんだか。デルア「脅してどうするんだよ、お客様申し訳ございません。他のお店の迷惑にならない様に端によってお並び頂きます様、ご協力お願い申し上げます。」 2人が行列の整理とお客の抑制を済ませた横で先程降りて来た2体目の古龍が『人化』していた、手に財布を持った「三つ巴の三姉妹」の次女であるセリー・ラルーであった。セリー「お父様、先程お代を全部持つと仰っていましたが財布を忘れては1円も払えないではないですか。」ビクター「私とした事が、面目ない。」セリー「もう、この前の洗濯物と言い、今回の忘れ物と言い、最近ケアレスミスが目立ちますわよ。」ビクター「お恥ずかしい限りです。」 この世界でも父親は娘にタジタジな様だ、古龍と言う存在を少しだけだが身近に感じた。 セリーから財布を受け取ったビクターは改めて席に着いた、ちょうど次女のバイトが休みで助かったとほっとしている。 父親は礼がしたいらしく娘を自らの隣に誘うと、セリーは好美の方をチラッと見た。セリー「オーナーさん、宜しいのですか?」 勿論新規のお客様は歓迎だし、神様が呑み食いしに来たとなると心から自慢できる事実となるだろう、断る理由などない。好美「勿論です、すぐにお席をご用意致しますね。」 素面だと言える位に冷静な判断をする好美、ただ呑みに来ただけだというのに従業員の1人の様に対応する。ただいつになったら落ち着いて呑めるのだろうか、ただ渚と光だけは何もなかったかのように親子の盃を交わしている。 騒ぎが落ち着くと全員屋外のテーブル席に着席したが知らぬ間に酒の肴の殆どが減ってしまっており、代わりに何故か茶碗が何重にも積まれている。好美「どういう事?」 理由は即座に発覚した、渚に光、そしてナルリスがいるのだ。そうともなれば・・・。光「ごめん、夕飯代が浮くと思ってガルナス呼んじゃった。」 好美含めた「暴徒の鱗」のメンバーは愕然としていた、今現在の在庫不足と以前の事を思い出したからだ。友人であるマーメイドのメラがいな
last updateLast Updated : 2025-08-18
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4. 「異世界ほのぼの日記2」138

-138 試練の後はまた試練- 先程から滝の様に溢れ出て来る伝票の注文を2人で手分けして何とか捌いていくイャンダとデルア、しかしその勢いはとどまる事を知らない。それもそうだ、この大忙しのタイミングで大食いである女子高生2人が馬鹿食いしているから当然の結果といえよう。 明朝の時点での在庫について全く考える余裕も無く、2人はずっと包丁を握り中華鍋を振りまくっていた。ただデルアは知らぬ間に制服に着替えていたのだが。 勿論追加の白飯も間で用意する、ただ決して余裕を持って行えているとは言えない。多分外では空っぽの炊飯器がズラッと並んでいるに違いないので、合間を縫ってバイトに取りに行く様に頼んでいた。 厨房で数台もの炊飯器が同時にフル稼働している様子は中々見ない光景だ、ただその光景を見る余裕など全く持って無い。 その2人に新たな試練がやって来る、何処からどう見ても他の客からの注文とは言えない伝票を見て副店長は愕然としていた。デルア「屋外テーブルに五目炒飯⑩、焼豚炒飯⑤、キムチ炒飯⑤だって?!どんだけ飯食うんだよ。」バイト①「副店長、炊飯器2台持って行きます。」デルア「まさか、おかず扱いか?!」 しかしそれ所ではない、普段炒飯には一度冷まして水分を飛ばした白飯を使っているのだが元々白飯を用意出来ていなかったので当然の様にそこまで出来ていない。イャンダ「仕方ない、これを使うか。火力強くしたら大丈夫だろう。」 目の前の炊飯器に手を延ばす店長、ただその炊飯器をバイトが目の前でひょいっと持ち上げてしまった。バイト②「店長持って行きます、後屋外テーブルの五目炒飯⑩急ぎだそうです。」イャンダ「そのご飯だけは・・・。」バイト①「店長大丈夫ですって、まだ数台炊けてますから。」 しかし疲労で倒れそうなイャンダから見れば炊飯器までの距離が近くて遠く感じる、店長は1口水を飲んで炊飯器を取りに行った。普通は炊飯器の所に白飯を取りに行くのだが、今日だけは炊飯器ごと運ばないと正直追い付かない。 ただ水分を多く含んだ炒飯がパラパラになるのだろうか、現在コンロ限界の火力で調理しているので十分な強さだと思われるがやはり弱く感じたのかイャンダは悩みに悩んだ末に中華鍋と飯の焦げ覚悟で最終手段(と言うより賭け)に出た。 熱々のはずの中華鍋を右手で掴んで左手を差し出す。デルア「お前、
last updateLast Updated : 2025-08-18
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