Semua Bab (改訂版)夜勤族の妄想物語: Bab 331 - Bab 340

377 Bab

5. 「あの日の僕ら」⑨

-⑨ 涙ながらの初めて- 2人同時での突然の告白に嬉しくなった好美には生まれて初めての感情が芽生えていた、何となく今言わないと後悔する気がしていた。好美「ねぇ・・・、「守」って呼んでいい?」 まだ付き合う事が確定している訳でも無いのにもうその気になってしまっている、ただ守も同じ気持ちでいた。守「俺の方こそ、「好美」って呼んでいい?」 先程から顔を赤らめていた好美に加えて守も顔を赤らめ出した。守「これから俺達、恋人同士で良いんだよな?」好美「それ以外にどう表現すればいいの?」 好美は涙を流しながら質問した、質問の答えに困った守は好美の手を掴み人気の無い場所へと誘導した。反射的に行動したが故にずっと考え込んでいたからか、静寂がその場を包んだ。守「大好きだ・・・。」好美「私も・・・。」 良い大人と言える年齢の大学生が2人もいるというのにちゃんとした感情の表演方法をずっと探していた、決意を固めた守は好美の手を掴んでいた方の逆の手で拳を握った。守「多分、これしか無いよな・・・。」 かなり深めの深呼吸をした守は好美の唇に自らの唇を重ねた、好美も目を瞑り応えた。 数十秒もの間、2人はずっと接吻を続けた。守「何となく、甘いな。こんな気持ち、初めてだ。」好美「私の「初めて」を奪っておいて感想がそれ?」守「ごめん・・・。」好美「何それ、謝罪なんて・・・、欲しくない!!」 好美は少し怒りながら無理矢理唇を重ねた、数分にも及ぶ先程以上の本気のキスだった。守「好美、大好きだ・・・。」好美「それが聞きたかったの・・・。」 そう言うと改めて唇を重ねた、今度は唇を重ねるだけでは無く舌を入れる「大人のキス」だった。2人共、初めての感情に動揺していたからか呼吸が荒かった。好美「嬉しい・・・、ボールペンを落としてからずっと守とこうなりたかった。」守「俺は松龍の前で目が合ってからずっとだ。」好美「ずっと覚えてくれてたんだ、嬉しい・・・。」 かつての記憶を取り戻した守に対して好美は涙を流しながら再び唇を重ねた、守は全力で好美を抱きながら応じた。 2人とも未だに呼吸が荒かった、ただ2人での「初めて」の時間は突然終わりを迎えた。橘(電話)「お前何処にいるんだ、授業始まるぞ。」守「分かった・・・。」桃(電話)「好美ー、皆が探してるよ。」好美「うん・・
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-08-26
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5. 「あの日の僕ら」⑩

-⑩ ある土曜日の昼過ぎ- 興奮しながらキスをし続けた数日後、好美は朝から松龍でのアルバイトに明け暮れていた。表情が何処か生き生きとしている、王麗に教えてもらいながらランチタイム用の餃子を1つひとつ丁寧に包んでいた。王麗「あら、上手いじゃないか。好美ちゃん、あんたセンスあるよ。」好美「本当ですか?私、褒められて伸びるタイプなんです。」 中国出身の王麗から本格的な餃子の作り方を手ほどきを受けながらニコニコして作っていた。 朝11時、開店の時間だ。好美が店先に暖簾を掛けると並んでいた客たちが一気に入っていた、学生たちに人気の「特別メニュー」は平日限定なので土日は別の年齢層の客たちで賑わっている。 土曜日、この時間のランチを好んで食べるのは40代と50代の男性が多いので餃子がどんどんと飛ぶように売れていた。 料理や水を運ぶ好美の表情は相も変わらず生き生きとしている。好美「いらっしゃいませ、A定食2つですね。龍さん、Aを2つお願いしまーす。」龍太郎「あいよ。」 ランチタイムにおけるこの店のA定食とB定食は日替わりで、両方共醤油味の鶏ガラスープと白飯を基本としていてメインのおかずが違っている。因みに今日はAが餃子でBがチキン南蛮、両方共この店の人気メニューだ。 メインのおかずは当日決まるのでお客は店に来るまでワクワクしながらいつも店に来る、店先の立て看板を見て食べて行くかいつも考えていた。 午後2時、激動のランチタイムを終えた好美達は息切れしながら水を飲んだ。好美「ランチタイムってこんなに疲れるものでしたっけ?」王麗「おかずを両方人気メニューにしたからこうなったんだよ、父ちゃんやらかしたね。」龍太郎「好美ちゃんが人気者になったからじゃないか、雇ってある意味正解だよ。今日はありがとうね、上がって良いよ。」好美「龍さん、「あれ」忘れてません?」 中華鍋を丁寧に洗いながら会話に参加する龍太郎、好美の事を本当の娘の様に可愛がっていた。龍太郎「悪い、忘れてたよ。」 客足が落ち着いたので、龍太郎は好美と約束していた炒飯を作り始めた。バイト終わりのこの昼食が何とも言えない位の美味さだった。 そんな中、守と橘、そして桃が松龍の前にやって来た。桃「そろそろ好美のバイトが終わる頃だと思うんだけど・・・、いた。ちょっと、1人炒飯食べてるじゃん・・・。」
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5. 「あの日の僕ら」⑪

-⑪ 4人でお買い物- 龍太郎がほぼほぼやけくそ気味に鍋を振ったので少し焦げ気味になった炒飯を食べながら桃達はこれから向かう先で何を買おうか話し合っていた。桃「もうすぐ夏だし、新しい夏物が欲しいんだよね。」守「じゃあ、男女に分かれて買い物した方が良いんじゃないか?」 守の一言を聞いた好美が即座に反応した。好美「やだ、守に見て欲しいもん・・・。」 好美は少しいじけている様子でいる、桃は少しため息をついた。桃「好美、買い物後にお披露目するって形でも良いじゃない。」好美「やだ、守と一緒に買い物したい!!」 どうやら1秒でも長く守と過ごしていたい様だ、今日の好美は少し我儘になっていた。多分口いっぱいに炒飯を頬張っている様子を見られて恥ずかしかったのだろうか、ただ少しでも女の子らしさを見せたくて守に甘えようとしていた。守「と・・・、取り敢えず早く食べて4人で行こうよ。」 すると龍太郎が守の一言に逆らう様に山盛りになった唐揚げを持って来た、どうしても行かせたくないのだろうか。守「頼んで・・・、無いけど?」龍太郎「サービスだよ。さっきは言いすぎちまって・・・、あの・・・、悪かったな。」 素直になれなくて顔を赤らめる龍太郎の様子を見た王麗がそっと旦那の腕を引いた、少し顔が微笑んでいる。王麗「折角の休みなんだ、楽しませてやんなよ。」 少し優しめの言葉でのツッコミであった、十分に反省している龍太郎を褒めているつもりなのだろうか。 ただ好美が黙っていなかった、先程までの激務のお陰で炒飯の皿を空けても未だに空腹だったのだ。山盛りの唐揚げの皿を掴むと一気に口に流し込んだ。桃「好美・・・、あんた遂に女を捨てたのかい?」好美「そんな訳無いでしょう、早く行こうよ。」 3人は好美の着替えを待ってからショッピングモールへと向かった、早速夏物を数着手に取り吟味していく。桃「やっぱり、夏らしく水色なんてどうかな。」好美「このパンツと合わせてみるのも悪くなさそう。」桃「あれ?正と守君は?」 守達は数メーター離れた所でTシャツやサンダルを選んでいた、海にでも行こうかとしているかの様に。 それを見た好美は頬を膨らませ、サッと近づきポカポカと守の背中を叩きながら訴えた。好美「守!!何で!!見てくれないの!!守も!!見るの!!」守「あ・・・、はい・・・、分かり
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5. 「あの日の僕ら」⑫

-⑫ 初めての贈り物- 好美は先程桃と選んだ衣服を手に試着室へと入った、先程守に言った食べ物を食べているときっと汚してしまうから先に済ませてしまおうという算段だ。守「俺、ちょっとトイレ。」桃「いいけど、早く戻って来なさいよ。」 思い浮かべたコーディネート通りに組み合わせて試着していく、数分後に試着を終えた好美が3人の前に現れた。ただ、先程お手洗いから戻って来た守には桃が目隠しをしていた。好美「どう・・・、かな?」桃「似合ってんじゃん、守君はどう?この着こなしの彼女とデート行きたい?」 桃が目隠しを取ると想像以上に好美が似合っていたので守は顔を赤らめた、そして財布を取り出してすぐさまレジへと向かった。守「店員さん、あの服合計でおいくらですか?」 守に声を掛けられた店員が電卓を片手に好美に近付いた、商品タグを確認して計算していく。店員「税込み18957円ですね。」 守は財布から1万円札を2枚取り出して店員に手渡した、店員は急ぎ足でレジへと向かって御釣りを持って来た。桃「嘘?即買い?」守「これが答えだ、プレゼントさせてくれ。」 守からの初めてのプレゼントを一生大切にすると誓った好美は店員に頼んで商品タグを切って貰った、着てきた服をレジ袋に入れるとそのまま買い物の続きへと向かったが今からいっぱい食べる予定なのに新しい服で大丈夫なのだろうか。 贈り物を受け取り本当に嬉しそうにしている好美を横目にした橘には疑問が1つ生じていた。橘「お前、そんな金何処にあったんだよ。」守「何処って財布だよ。」 勿論、橘が聞きたかったのはそう言う事では無い。守のバイト先である喫茶店の給料日は毎月20日で今日は17日、いわゆる「給料日前」というやつなのだ。今まで決して人から金を借りた事が無いのに、バイト代を前借したのだろうか。橘「我原さんがよく前借を許してくれたよな。」守「は?俺は前借なんてしてねぇよ、彼女が出来た時の為に貯めていたんだよ。」桃(小声で)「それでさっき「トイレ」って言ってた訳だ、守君やるじゃない。」 守は好美の嬉しそうな顔を見て本当に買ってよかったと思っていた、ただ嬉しくなり過ぎてその服で買い物を本当に続行している。どうやら女の子の行動力は舐めてはいけない様だ、新品の服を自慢げに着こなす好美を見た桃が橘の方向をギロリと見た。桃「ねぇ、私
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5. 「あの日の僕ら」⑬

-⑬ 買い物途中で見たあいつ- 古着屋の一角にあるアクセサリーのコーナーで、守は赤青両方のリンゴを模したイヤリングをずっと見つめていた。※この話から紛らわしくなってきたので「橘」の事は「正」と表記します。正「お前、さっきも好美ちゃんにプレゼント買ったのにまた買うのか?」守「いや、やめておくよ。さっき、かなりの高額を買っちゃったから財布と相談しながら買い物しなくちゃ。」桃「あの時の守君、格好良かったじゃん。ちょっと惚れちゃったかも。」正「え、嘘だろ。」 桃は冗談だと言うように正に微笑みかけながら踵を返した、少し離れた高級ジュエリーショップで好美が何かのショーケースを見ていた。 好美の意図を察し、与した桃が好美の元へと向かって行った。 その途中、テレビで見覚えのあるどこかの社長らしきスーツ姿の女性が親戚と思われるもう1人の女性とカフェで紅茶を飲んでいるのを見かけた。女性①「ねぇ、ここの紅茶には何が合うか知っているかしら?」女性②「確か・・・、チョコデニッシュが人気の組み合わせだと聞いていますが。」桃「ふーん・・・。ああいう人でもこういう庶民的なお店でお茶するんだ、もっと高級な喫茶店のイメージしてたけど。」 そこから数歩歩いた店舗に好美がいた、3人程の店員達が皆他の客の相手をしていた事から桃は高校からの同級生の心情をわずかながらに汲み取っていた。桃「好美、守君にかまってほしかったのよね。素直じゃないんだから。」好美「だって・・・、さっきからずっと1人でいるか正君と買い物しているんだよ。寂しくもなるよ、誰と買い物に来ているか分かってんのかな・・・。」 先程から恋人がいない事に気付いた正が辺りを見廻すと、2人が少し離れた高そうな店にいる事に気が付いた。正「おい守、あそこはちょっとまずいかも知れんぞ。」守「えっ・・・、いや待てって・・・。」 眺めていたイヤリングを戻して店へと向かった守と正は途中のカフェで結愛らしきスーツの女性が親戚らしきもう1人の女性とカフェで温かな珈琲を飲んでいたのを見た。結愛「こちらの珈琲はお口に合いますか?」女性①「うん・・・、悪くないわね。」守「あれ・・・、多分結愛だよな。大人になってしっかりビジネスしてるっぽいな。」正「何か、違和感が無い様な。ある様な。」 そこから数歩歩いて店に到着し、好美の見ていた
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5. 「あの日の僕ら」⑭

-⑭ ランチをきっかけに- カフェを通り過ぎてから数歩の所にあるパワーストーンの専門店に着いた4人、その時守と正の携帯が同時に鳴った。2人は嫌な予感がした。守・正「ま、まさかな・・・。」 今は出来たばかりの彼女とのデート中な上に、カフェの周りの客がそうしていた様に自分達も赤の他人のフリを決め込んでいたのだ。 2人が携帯を確認すると同時に送信してきたらしき1通のメッセージが、送り主はやはりあの結愛だった。結愛(メッセージ)「おいお前ら、堂々とWデートとは良い御身分じゃねぇか。この俺を無視するとはいい度胸だな。」 守と正は苦し紛れの返信を行った。守(メッセージ)「お前仕事中だろ?流石に悪いと思ってさ。」正(メッセージ)「そうそう・・・、お前社長だから邪魔する訳に行かんだろ。」結愛(メッセージ)「何処が仕事だよ、迷惑なクソババァと無理矢理お茶させられてんの!!正直助けてくれよ、コーラ持って来てくれ。」 2人は何となくだがとにかく逃げたかったのでそそくさに退出する事にした。守(メッセージ)「あ、彼女呼んでるから行くわ。じゃあな。」正(メッセージ)「俺も俺も、じゃあ。」 好美に腕を引かれるがままに店に入った守は、過去の自分とは無縁の空間に違和感しか感じなかった。守「おいおい、ここで何すんだよ。」好美「ピアス、開ける。」 恋人からのまさかの一言に驚きを隠せない守、正直自分は巻き込まれたくないなとその場を離れようとした正を桃が捕獲したので正も覚悟を決めた。正直この場から逃げると今度はイライラしている結愛に付き合わされる事になる、それだけは絶対に避けたい。桃「あたしらも開けよ。」正「はい・・・、分かりました。」 4人は各々違う色の石が付いたピアスを選ぶと料金を払って順番に店員にピアッサーで穴を開けて貰う事にした。4人「いっ・・・!!」 声にならない声をあげた4人はそれぞれの色のピアスを装着した、ただ「恋人の証」と言うより「仲良しグループの証」みたいになっているが誰も気にしていなかった。 少し小腹が空いたので4人はフードコートへと向かった、好美が宣言通り守の金でアイスを2個とホットドッグを4個平らげてしまった。ただ新しい服は綺麗なままだった、守「うそ・・・。」桃「あ、言ってなかったっけ。この子もたまにとんでもなく馬鹿食いする時有るから
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5. 「あの日の僕ら」⑮

-⑮ 母の素性と彼女の意見- 守は真希子に好美を会わせる事に少し抵抗していた、理由は真希子の素性である。 これは2人が付き合いだしてからまだ間もないある水曜日の事だった、教員免許取得に必要な単位となる授業のテストに向けて教え合いながら一緒に勉強していたが故に守と正は松龍に入ったのがランチタイム終了ギリギリになってしまった。 ピークタイムが既に過ぎてしまっていたのか、好美はお冷を持ってきながらチラチラとテレビを見ていた。どうやら、流れているニュースが気になっているらしい。 守がテレビに目をやると、「有名大手ファンド、元本割れと多額の借金により倒産」とあった。 テレビのキャスターによると、とある印刷会社の重役が会社の利益から3割程を自らの所有する口座に横流ししていた事が発覚したためその会社の株が大暴落したのが今回の事件の発端だという。好美「私、投資家とかギャンブラーとか言う人達の気が知れないんだ。正直言って今でさえこうやってアルバイトしているからそうなんだけど、必死に働いて稼いだお金をもっと自分の為に使えないのかなって思っちゃって。それにこの辺りって走り屋も多いって言うでしょ、ああ言う人達もわざわざお金使って騒音とかで他の人に迷惑かける様な車を作るなんて私から見るとガラの悪い人ばっかりだなって。」 すると、好美の言葉を聞いた龍太郎が黙っていなかった。龍太郎「好美ちゃん、それはちょっと違うな。確かにこの辺りにはバイクの暴走族や違法改造の車を走らせるガラの悪い走り屋も居たりするけど、逆に警察に協力して自ら山へ出向いて悪い奴らを一掃してしまう良い走り屋も居たりするんだぜ。それにそいつらはボランティア活動に積極的で、定期的に山の上やそこら辺の公園を掃除している所を見かけるからな。ほら守、覚えてるか?伝説の何てったかな・・・。」正「「赤鬼」じゃね?ほら、数年前に峠から車ごと落ちて亡くなったって言う奴だろ。そう言えば、お前んちの近所に住んでいなかったか?」 近くすぎる、お隣さんだ。龍太郎「今は娘の光ちゃんが意志を継いで走ってるって聞いたけど、守は何も聞いてねぇのか?そう言えば守・・・、お前のか・・・。」守「好美、のど乾いたから水のお代わりくれ。」好美「う・・・、うん・・・。」龍太郎「おいおい、話を逸らすなよ。」守(小声)「ごめん、ただ好美に母ちゃんの
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5. 「あの日の僕ら」⑯

-⑯ 友の本気と親子の危機- 真希子のパソコンがある小部屋から好美のいる居間まで距離があるからか、それともつけっぱなしになっていたパソコンの画面に各企業の株価ががっつり映っていたのを目撃したからか、守は息切れしていた。好美「汗だくじゃん、何でそんなに辛そうにしているの?」守「気のせい・・・、です・・・。」 勿論気のせいなどでは無い、玄関を開けた瞬間に小部屋に駆け込みパソコンを強制終了してから居間までダッシュしたからである。好美「取り敢えず、何食べようか。そう言えば、何も買ってきてなかったね。」守「さっき聞いたんだけど、母ちゃんがハヤシライス作ってるみたい。」 居間には深めの鍋いっぱいに入ったハヤシライスの良い香りが漂っていた、守は好美が来ている事をさり気なく報告した。守(メッセージ)「今日彼女来てんだけど、ハヤシライス一緒に食って良い?」 時間的にも株主総会直前なので即座に返信した真希子、携帯の扱いには慣れている様だ。真希子(メッセージ)「この前言ってた子かい?構わないよ、好きなだけ食べて行きなと言っといてね。」守(メッセージ)「了解。(好美に)好きなだけ食ってけって。」好美「やった、ハヤシライス大好きなの!!」 親子2人は1時間後、自らの発した言葉を後悔する事をまだこの時点では知らない。 鍋を火にかけ、炊飯器から皿に白飯をよそって食事を始める2人。数分後、ハヤシライスを楽しみながら好美がゆっくりとした口調で話し始めた。好美「実はさ、桃の事なんだけどね・・・。」 時は数日前に遡る、この日午前中の授業を終えた好美は桃と近所のイタリアンレストランで学生限定のパスタランチを食べていた。因みに授業の関係上、守と正は数人の友人達と学内の食堂で済ませていた。 スパゲティミートソースを注文した桃がフォークにパスタを絡ませながら突然切り出した、何気に1口で食べる事が出来ない位の量が絡まっている。桃「私と正ってね、正直言えばその場のノリで付き合い出したんだけどね。最近思うんだ、正がいなきゃ寂しいなって。正無しの人生を想像できないなって、この前皆でショッピングに行った後に家に帰った時特にそうだった、直前まで会ってたというのにまた会いたくなっちゃってんのよ。大学にいる時もバイトしている時も気付けば正の事考えてる自分がいるのね、こんな気持ち生まれて初め
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-01
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5. 「あの日の僕ら」⑰

-⑰ 静かな時間に包まれた幸せ- 桃は2人きりの状態になっている階段の踊り場の真ん中で突然立ち止まった、頭を下げて深呼吸した桃の肩が小刻みに震えていた。正「おい、どうしたんだよ。」桃「ねぇ、私の事好き?」正「勿論だ、世界で一番愛してる!!一時も桃の事忘れた事なんてない!!」桃「じゃあ、私が今したい事分かる?」正「確か食事に・・・。」 すると、正のいる方に突然くるっと振り返り目に涙を浮かべながら訴えた。桃「もう、いつまで待たせる気?!」 大声を発した桃は正の顎を掴み、無理矢理唇を重ねた。それから数十秒ほど、ずっと静寂がその場を包んでいた。2人はずっと、目を閉じていた。 長いキスを交わした後、顔を離した桃は右手で唇周辺を拭った。桃「上手いじゃん、本当に初めてなの?」正「初めて・・・、だよ。桃とのキスってこんなに甘い物なんだな。」 それを聞いた桃は再び顔を近づけた。桃「これからずっとしてあげる、そして正を幸せにしてあげる。」正「馬鹿か、俺が桃を幸せにするんだろうが。」 正が桃の肩に手を回して再びキスを交わした、先程よりも長く・・・、長く・・・。遠くから聞こえるBGMと柔らかな明かりにより何となく良い雰囲気になった2人はずっとキスをしていた。2人が顔を離した時、桃が再び涙を流した。正「また、泣いてんのかよ。」桃「嬉しくて、温かくて。泣きたくもなるよ、女だもん。」 桃の涙を受け止める様に正が桃を抱いた、桃も正に応える様に自らの体を正に寄せた。 すると、2人をずっと包んでいた静寂が突如消え去った。子供「ママーあの人達抱き合ってるー。」母親「もう、見ちゃいけません。本当に、すみません・・・。」正・桃「あはは・・・。」  何となく気まずくなった恋人たちは引き笑いをしながら親子を見送った。桃「子供か・・・、行こうか。」正「うん。」 優しい光が照らす階段から歩いてすぐのレストランコーナーへと繰り出した2人、因みにこのショッピングモールは各階に飲食店が散らばっていたので迷いに迷った。 2人の様にこのモールの階段でキスを交わすカップルは少なくなく、「このモールの階段で長くキスを交わしたカップルは結ばれる」という都市伝説がある位だった。桃「お腹空いちゃったね、何処行こうか?美味しいお店知ってる?」 正は返答に困った、先程のキス程
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-01
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5. 「あの日の僕ら」⑱

-⑱ 母からの贈り物と緊急事態- 宝田家でゆっくりとした時間を過ごした好美が桃と会う約束があると伝えて一旦帰宅してから数時間後のPM5:00頃、いつもなら株主総会に行った真希子が帰って来る時間なのだが影すらも見えない。 1時間後、日が傾き西日が差し込み始めたPM6:00。いつものリムジンではなく聞き慣れない排気音(エキゾースト)が近づいて来たので守は駐車場に出た。 一瞬隣のアパートに住む光が帰って来たのかと思ったのだが本人の愛車であるカフェラッテの姿も無い、その代わりと言ってはなんだが見覚えの無いクーペタイプの軽自動車が1台止まっていた。守「カペンだ・・・。」(うん、権利的な問題はなし。) 守がこう呟くと電子音と共に屋根が自動で開いてトランクらしき部分にすっぽりと入っていった、ただ驚くのは次の瞬間だった。車内にいたのが真希子だったのだ。守「母ちゃん、どうしたんだその車。」真希子「「どうしたんだ」って、あんた用に買ったんだよ。入学祝い兼免許取得祝いさね。」 そう言って真希子が守に鍵を渡した。真希子「今まで忙しすぎてろくに誕生日のプレゼントとか出来ていなかっただろ、せめてもの償いをさせておくれよ。」守「償いだなんて・・・、本当にありがとう。」 初めての愛車に涙する息子を運転席へと誘導する母、守が覗き込んだ黒を基調とした車内には本革張りのシートが2つ並んでいた。真希子「車屋に言って特別にいじって貰ったのさ、あんたが「楽しく乗れる」様にね。」 守は真希子の放った「楽しく乗れる」という言葉に疑念を持ちながら運転席に座った、ステアリングも社外パーツを使用しているらしい。よく見れば足回りにも細かく拘った6MTの走り屋仕様になっていた。 守はやっぱりかと思いながら言葉を飲み込んだ、目の前で真希子がニコニコと笑っているからだ。 守は車から降りて改めてお礼を言った。守「本当に、ありがとう。」真希子「何を言ってんだい、これからこいつであんたも一緒に山を攻めようじゃないか。それに2人乗りだから出来たばっかりの彼女と2人きりでドライブ行きな。」 真希子が守の予想通りの発言をした時、守は心中である事件を思い出していた。そう、先程の「ハヤシライスすっからかん事件」だ。真希子「それにしてもお腹空いたね、良い時間だから夕飯にしようね。」 家の中に入った真希子
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