-139 燈台下暗し~救世主はすぐそこに~- 行列をなしていた客足がやっと落ち着いたので、合間を見てこまめに水分を取りながら皿洗いをしていた2人は汗だくになっていた。息切れしつつずっと鍋を振り続けていたのだ、そうなっても決して不自然ではない。 2人はずっと辺りを見回していた、まるでいなくなった猫を探すかの様に。イャンダ「こんなに皿が積まれるのは久方ぶりだな、俺ら明日生きているかな。」 ふと調理場内の掛け時計を見ると22時を指していた、アルバイトの帰る時間だ。今からは夜勤のピューアも有休なので2人でずっと対応する事になってしまったのだが注文された料理を作ろうにも器が無いので出せない、そんな中でデルアは通路を挟んで隣接する「コノミーマート」の方を見ていた。イャンダ「なぁデル、この世界に救世主って・・・。」デルア「いた。」 デルアは最後の力を振り絞り藁にも縋る思いで救世主の元へと向かった。 丁度その頃、「コノミーマート」ではバイトを終えたスライムのプルが携帯を片手に店から出て来た。プル「お疲れさんです、お先に失礼します。」イェット「お疲れ様、明日は休みだったね。ゆっくりしなよ。」プル「はーい、ん?光はんからや、何やろ・・・。」 プルがふと携帯の画面を見ると光からメッセージが届いていた。光(メッセージ)「「暴徒の鱗」の屋外テーブル席で呑んでます、バイトが終わり次第プルもおいで。」プル「何やて、すぐに行かな。ふふふ・・・、ビールビール。」 その時、息切れしながら「暴徒の鱗」店内で1人にやけが止まらないプルを必死に引き止める声がした。「暴徒の鱗 ビル下店」の副店長、デルアだ。 デルアが必死にプルを引き止める横でイャンダが必死に中華鍋を振っている、伝票の勢いは落ち着いてきたが未だに注文が来ているのは間違いではない。ただ今言えるのは1つだけ、デルアの見つけた「救世主」とはプルの事だったのだという事。デルア「プルちゃん・・・、助けてくれ!!皿洗いが追いつかない、頼めるのはプルちゃんだけだ。無理も承知なのは分かってる、勿論給料色付けて出すから頼むよ。」プル「えっ?!でも私今から光はんと呑むんです。」 すると、未だに中華鍋を振っているイャンダがとあるチケットを懐から出した。その光景を見たプルは目を輝かせていた。イャンダ「折角呑みに来ているのを無理
Terakhir Diperbarui : 2025-08-18 Baca selengkapnya