Semua Bab (改訂版)夜勤族の妄想物語: Bab 341 - Bab 350

377 Bab

5. 「あの日の僕ら」⑲

-⑲ 今日の夕食- 大財閥の筆頭株主は代表取締役社長からの電話に驚きを隠せずにいたが、次の瞬間ため息をついた。真希子「またあの2人かい、面倒くさい奴らだね。仕方ないから私が行くわ、結愛ちゃんはその場にいてな。」結愛(電話)「ではリムジンを。」真希子「それだと遅くなるよ、すぐ近くにあるから私の車で行くさね。」守「まさか・・・、な・・・。」 その「まさか」だった。電話を切ると真希子はスルサーティーに飛び乗ってエンジンをかけ、いつもより強めに空ぶかしをして長方形のヘッドライトを点灯させた。真希子「守、危ないからちょっと端に寄ってな。後今夜は申し訳ないけど、適当に何か買って食べておくれ!!」守「まさか・・・。」 どうやら2回目の「まさか」も当たってしまったらしく、真希子の愛車は出口に向けて勢いよく加速すると強烈なスキール音と共にドリフトして駐車場を出て行った。一瞬女性の「キャッ!!」という声がしたが、排気音がかき消してしまった様で守は気付かなかった。守「ゲホゲホ・・・、本当にあいつで行っちゃったよ。しかもまたここでドリフトして・・・。」 そう、守のいた駐車場を真希子がドリフトで出て行くという件は今に始まった事では無かったのだが、それによる土埃に慣れる事は無かった。 守がテールランプを見送ると、桃に会っていたはずの好美が歩いてやって来た。好美「守、今の車って・・・。」 「こうなりゃ仕方ない」と意を決した守は好美に打ち明けた。守「今の母ちゃんなんだ、走り屋でさ。実は今、急用が出来て飛び出して行っちゃったんだよ。」好美「そ・・・、そうなんだ・・・。」守「隠してて悪かった・・・。」 守は目の前の彼女の表情から驚いているのか、それとも引いているのか、好美の心境を汲み取る事が出来なかった。一先ず、話を逸らす事に。守「それで、どうした?桃ちゃんと会ってたんじゃなかったの?」好美「あのね・・・。」 好美はそう言うと無言で顔を近づけ唇を重ねた、数十秒ほどキスを続けた後に顔を離してから笑顔になった好美は話し出した。好美「あのね・・・、BBQ(バーベキュー)行かない?」守「え?BBQ?」 実は数時間前、約束通り桃の住む和多家へと到着した好美を和樹が誘っていた時の事。和樹「好美ちゃん、最近彼氏できたんだろ?お肉沢山あるから誘っちゃいなよ。」好美
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5. 「あの日の僕ら」⑳

-⑳ 暗号- 和樹の発言を聞いた好美は守に即座に質問した。好美「え、知り合いなの?」守「うん、小さい頃によく近所の河原とか公園に連れて行って貰ってたんだ。」和樹「お前美人さん捕まえて、羨ましい奴だな。それにしても真希子さんどうしたんだ、さっきやけに慌てた様子で出て行ったけど。いつものバンじゃなくて珍しくスルサーティーまで出しちゃって、よっぽどの事だったんじゃないのか?」 亡くなった通称「赤鬼」である渚の「エボⅢ」、その娘の光の「カフェラッテ」、そして通称「紫武者(パープルナイト)」であった真希子の「スルサーティー」はこの辺りでは有名で、近所の人達は排気音を聞くだけで誰の車か即座に分かる様になっていた。守「母ちゃん?「結愛の家でお茶」しに行った。」 この「結愛の家でお茶」というのは守・正・和樹の3人の間で「貝塚財閥で緊急事態が発生した」という意味の暗号となっていた、守と正はともかくだが和樹は真希子と同様に貝塚財閥の株主だったので情報を握っておく必要があったのだ。和樹「守、正、家から飲み物を取り出そうと思ってんだ、よかったら手伝って(中で詳しく教えて)くれ。」 和樹は3人で家に入るなり話し始めた。和樹「それで?何があったんだ。」守「元義弘派閥の奴らが今日の総会で可決された議案に改めて意義を申し立てたらしいんだ、それで結愛が母ちゃんを呼んだ訳。」和樹「茂手木と重岡か、確かにあの2人が出て来るとかなり面倒になるもんな。持ち株率を考えたら真希子さんでなきゃ対抗できないわ。」正「乃木建設のおっさんはどうなってんの?」守「一応母ちゃんと結愛に味方してるらしい、噂で聞いただけなんだけど義弘派閥の2人は結愛を社長の座から引きずりおろそうとしているらしいんだ。」 よく考えてみれば高校時代に「貝塚財閥全権1週間強奪券」を使用した後、義弘が逮捕されたが故にそのまま社長になった結愛の事を義弘派閥の2人が良く思っていないのも分からなくもない。正「結愛から全権を奪おうとしているのが見え見えだな、でもおばちゃん(真希子)がいるから大丈夫なんだろ?」守「勿論、あの会社に母ちゃんに逆らえる奴なんていないからな。」和樹「俺もわずかながら真希子さん達に協力するつもりだ、そう伝えておいてくれ。」 真剣な話をしている男たちに後ろから何も知らない女子たちが無邪気に声を掛け
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5. 「あの日の僕ら」㉑

-㉑ 憧れ- 4人が満喫したBBQから数日経ち、いよいよ夏祭りのシーズンがやってきた。守は中学生の頃からの夢を叶えるため、この日振り込まれた分を含めひたむきに貯めたバイト代をおろして松龍の前にいた。 日差しが照り付け気温が高いので冷房の利いたカペンの中で待つことにした守、少年の頃から抱いていた「恋人が出来たら一緒に浴衣を着て夏祭りに行きたい」という憧れがもうすぐ叶おうとしているので興奮している。 数か月前、守は好美を誘っていつものショッピングモールにある和装専門店へと向かった。2人に気付いた店長の女性が声をかけ、布地を数種類程サンプルとして提示した。店長「お2人でご一緒にお祭りですか?いいですね。」守「子供の頃から浴衣で祭りに行く事に憧れていたんです、良い物ありますかね。」店長「そうですね・・・。」 好美を交えた3人で並べられた布地を吟味していく、すると好美が紫をベースとした生地を手に取った。ゆっくりと開いてみると綺麗に開いた花火がデザインされている。好美「これ・・・、これが良いです。」店長「おや、どうやら彼女さんはお目が高い様ですね、こちらは当店自慢の1品となっております。帯は黄色などいかがでしょうか。」 店長が布地の紫にピッタリはまる黄色の帯を見せた、好美は一目惚れしたらしく、この布地で作った浴衣をこの帯で締めて着たいと思った。店長「かしこまりました、では彼氏さんは白などいかがでしょうか。帯はそうですね・・・、赤がピッタリかと。」 守は綺麗に輝く布地に目を輝かせていた、どうやらこちらも一目惚れらしい。守「仕上がりまではどれ位かかりそうですか?」店長「そうですね・・・、短くて1ヶ月は頂戴する様になるかと思います。あ、ご料金はお渡しの時で構いませんので。」 そして店長から仕立てが完了したとの連絡が来たので今に至る、仕上がった浴衣を着た好美の姿を想像すると顔がニヤついていた。 いきなりだが、守は中学時代にテレビで偶然ある浴衣職人のインタビュー映像を見かけていた。 その映像でその職人は「浴衣を作る時、どんな気持ちで作っているか」と聞かれてこう答えていた。職人(回想)「そうですね・・・、着る女性の方々の魅力を活かせる浴衣を作る事ですね。やはり女性の方々は我々男には無い魅力を数々持ち合わせています、その沢山の魅力を私なんかが作った浴衣で
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5. 「あの日の僕ら」㉒

-㉒ ドキドキの試着- 折角の浴衣を汚す訳にも行かないので先にアイスの件を済ませる事にした守、1階の自動ドアから入って直接アイスクリームショップへ向かうと早速店員が好美を誘惑した。店員「いらっしゃいませ、今ならダブルの料金でトリプルに出来ますがいかが致しましょうか。」 好美は目を潤ませながら守の顔を見た。守「はぁ・・・、仕方ないな。」好美「勿論、ダブルでお願いします!!」 楽しそうにアイスを6種類選ぶ好美、先程炒飯を5人前平らげた様には全くもって見えない。 選んだアイスを受け取りニコニコしながら食べる様子から見るに、「女性にとってデザートは別腹」という言葉が嘘では無いらしい事が分かる。 アイスを6個とも平らげてしまうと勢いよく立ち上がり守の腕を引っ張って今回の目的地へと向かった。 和装専門店に着くと先日お世話になった店長が笑顔で出迎えた。店長「いらっしゃいませ、あ、お待ちしておりました。お二方の分、出来上がっておりますよ。宜しければご試着されますか?」好美「はい勿論、早速させて下さい。」店長「では彼女さんは私とこちらへ、彼氏さんは私の部下が参りますので少々お待ちください。あ、申し遅れました。私この店で店長をしております、安富と申します。」 安富が好美を障子で仕切られた部屋へと案内した数分後、奥の部屋から法被を着た店員が笑顔でやって来た。店員「いらっしゃいませ、大変お待たせいたしました。」 店員はゆっくりと丁寧に守に着付けして行った、帯を「貝の口」と呼ばれる形へと結んでいく。 帯が結ばれた時、採寸されたサイズがぴったりだったのか、それとも何処か身の引き締まる思いがした。 店を仕切っていた障子の向こうから2人の笑い声が聞こえた。好美「店長さーん、くすぐったいです!!」安富「ほら、悪い様には致しませんので!!嗚呼・・・、浴衣をお着付けさせて頂くこの時が一番興奮します。」 どうやら安富はある種のド変態らしい、正直中で何が行われているのかを想像したくはない。店員「申し訳ございません、本当に申し訳ございません!!」守「あはは・・・。」 守が引き笑いをし続ける中、好美の着付けが終わったので安富が合図を送った。店員が障子を少し開けて確認した。店員「おお・・・、やはりお似合いかと私も思っておりました。」 守も好美の姿を見ようとしたら
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5. 「あの日の僕ら」㉓

-㉓ 憧れた浴衣姿- 何処からどう見ても作務衣にしか見えない姿の正とラムネ片手に松龍の前で彼女たちを待っていた守は団扇を強めに仰いで暑さを凌ごうとしていた、屋外でずっと待っている2人を見かねた龍太郎が店内へと誘導した。龍太郎「お前ら、汗かいて余計に暑苦しいぞ。中に入れ、ラムネのお代わり位はくれてやるからよ。」守・正「駄目だ!!」龍太郎「綺麗にハモってんじゃねぇ、何でそんなに暑い屋外に拘るんだよ!!」守・正「我慢した分、彼女が綺麗に見えると思ったからだ!!」龍太郎「サウナ後のビールか!!」 珍しく龍太郎がツッコミに回っていた時、障子で隔てられた店内の座敷席で王麗が女子2人を着つけていた。王麗「まさかあんた達の着付けをさせて貰えるとは夢にも見なかったよ、綺麗になっちゃって羨ましいもんだね。」桃「それにしても王麗さんが着付けできるなんて思いませんでしたよ、何処かくすぐったいですけど。」王麗「私も日本は長いからね、何でも出来る様になっておくのも良いかと思ってね。」好美「本当に助かりました、モールにあるお店の店長さんってド変態なんですもん。桃が言った通りくすぐったいですけど。」 好美の言葉を聞いた王麗は両腕を組んで何かを思い出そうとしていた。王麗「モールの店長・・・、ド変態・・・。」好美「どうしました?」王麗「好美ちゃん、もしかして安富って人の事かい?」好美「そうです、何で知っているんですか?」王麗「知っているも何もありゃ私の妹だよ、着付けも私が教えたんだ。」好美「えっ!!」 先程から王麗の手付きが安富に似ているなと思っていたので心の隅で不信がっていたのだが、これで理由が発覚した。どうやら姉の癖が妹にそのままうつってしまったらしい。 しかし、器用な知り合いがいて本当に助かったと思っていた。王麗「ほら、出来たよ。私らも今日は店を閉めて祭りに行くつもりだよ。店片付けたら行くからね、向こうで合流して皆で花火を見ようじゃないか。」 王麗は障子を少し開けて龍太郎に合図をした、店長が障子を少し開けて確認すると勢いよく鼻血を出してしまった。王麗「何やってんだこのド変態、あんたの汚い鼻血が浴衣に付いたらどうすんだい!!」龍太郎「こんなに生きてて良かったって実感したの初めてだ・・・。」 ドクドクとした鼓動を打ちながら未だ鼻血を出す龍太郎を離れ
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5. 「あの日の僕ら」㉔

-㉔ 大人になった- 花火大会から数か月が経ち、正・桃・好美の3人は20歳を迎えていたが誕生日が1番遅い守の為に初めての飲酒を我慢していた、と言っても最長で5日だったのだが。 そして守の誕生日の夜、各々の店長にお願いしてバイトの休みを合わせた4人は松龍に集まった。 龍太郎は念の為に学生証で年齢を確認し、涙を流しながら初めての酒として4人に瓶ビールを注いだ。龍太郎「お前ら・・・、成長したな。親として俺は嬉しいぜ、今日は店からの奢りだから好きなだけ呑んでくれ。」王麗「そうかい、じゃあ大黒柱として次の小遣いは無しでいいね。」龍太郎「母ちゃん・・・、それはないだろう?」 涙を一層流しながら母の後を追う父を見ながら娘の美麗が4人のいる座敷席にやって来た、偶然ながら美麗も今日が20歳の誕生日だった。桃「美麗ちゃん、誕生日おめでとう!!一緒に呑もうよ!!」美麗「うん、うれしい!!」 小中高一貫の私立学園に通い、4人と違う大学に通う美麗は両親を手伝いながらちょこちょこ店に顔を出す4人と仲良くなりたいと機会を伺っていた。 嫁に似て綺麗な大人に成長した娘に父親がビールを注ぎ、涙を流しながら祝福した。龍太郎「生まれて来てくれて感謝してるよ、今日はまだ仕事中だからダメだけど今度お前と盃を酌み交わさせてくれ。」美麗「パパ・・・、大好き!!」 親子は抱き合いながら涙を流した、しかし数秒程続いた感動のシーンは一瞬にして呆気なく終わってしまった。王麗「んん゛・・・、父ちゃん!!3番卓に麻婆炒飯定食の注文が入ったよ!!」龍太郎「わ・・・、悪い・・・。」 龍太郎はそう言うと何処か残念そうに調理場に向かった、旦那と交代する様に王麗が美麗と抱き合った。王麗「元気に成長してくれてありがとう、成人式の振袖姿を見るのが今から楽しみだよ。」美麗「母ちゃん・・・。」 やたらと仲のいい親子の会話に聞き覚えのある女性の声が割り込んだ。女性「ねぇ、私もお祝いしても良いでしょ。」王麗「春麗(シュンリー)、いつの間に来たんだよ!!」好美「あ、店長さん!!」安富「あら、皆さまお久しぶりです。お見苦しい物をお見せし大変申し訳ございません。」 訳が分からないまま4人は注がれたビールをいつ呑もうか悩んでいた、その空気を春麗が汲み取った(ここからは「春麗」と表記します)。春麗「あら
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5. 「あの日の僕ら」㉕

-㉕ 意外な一面-  5人が大いに吞みまくってから数日後、守達の大学では異学部学科との交流を目的とした球技大会が行われた。守と正は大学から少し離れた川辺にあるグラウンドで行われるソフトボールに出場していた、因みにこの球技大会の競技は全て男女混合で行われる事になっていた。正「これに勝てば決勝戦だ、気合入れるぞ!!」全員「おー!!」 試合が7回裏まで続いた時、相手チームの応援で数人の女子がやって来た。その中に好美と桃がいた。好美「頑張れー!!」桃「ぶちのめしちゃえ!!」 守備に回っていた守と正が涙ながらに叫んだ。守・正「嘘だろ、そりゃ無いよー!!」 恋人たちはその声を聞いて彼氏たちの存在に気付いた。好美・桃「無かった事にしてー!!」相手チーム「どういう意味だ・・・、あいつらか!!」 2人の彼氏たちが自分達の敵になっている事に気付いた相手チームのメンバーは気合を入れなおした、どうやら好美達は学科の男子たちにとっての憧れの的らしい。好美「ここで三振取ったらキスしてあげるって桃が言ってたよ!!」桃「えっ・・・?!」 好美の言葉を聞いた相手チームのメンバー達は興奮し、気合を入れた。正「誰にもさせるか!!桃のキスは俺のだけの物だ!!」 正は他のメンバー以上に気合を入れた、それにより桃の彼氏の正体が相手チームのメンバー全員にバレてしまった。男子①「あいつ・・・、俺達の桃ちゃんを独り占めしやがって!!」男子②「調子乗ってんじゃねえ!!」正「桃はお前らのじゃねぇ、俺の女だ!!」 それから数十分間、球技大会らしからぬ不純な会話が大声で繰り広げられた。その間、桃はずっと顔を赤くしていた。 その時、相手チームのメンバーの1人がとある事を思い出した。男子②「お前ら、桃ちゃんの彼氏がいる学科って事は好美ちゃんの彼氏もいる可能性があるぞ!!」男子①「きっとあいつだ!!」 守はこの場から逃げ出したくなったが、まだ試合中なのでそういう訳にもいかなかった。 相手チームのメンバー全員がやけくそ気味に気合を入れ始めた、特に正と守が打った球には女子メンバーも川に飛び込んでしまう位に必死に飛び込みキャッチしていた。女子①「認めない!!好美と桃だけあんなカッコいい彼氏がいるなんて認めない!!」女子②「ウチの学科ろくな男子いないんだもん!!」相手の男子達「
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5. 「あの日の僕ら」㉖

-㉖ 執念- 好美のまさかの一面を目撃してしまった球技大会の夜、大学周辺の居酒屋は打ち上げと称して呑んでいる学生達で一杯となっていた。中華居酒屋である松龍も例外ではなく、その影響で曜日的には休みだった好美は龍太郎に呼び出されて臨時で出勤していた。王麗「うちの変態店主がすまないね、今日は8時までで大丈夫だからね。終わったら店のビール呑んで良いからね、そうだ・・・、瓶ビールを今からキープしておいても良いよ。」好美「良いんですか、では早速。」 王麗の言葉を聞いた好美は早速守にメッセージを送った、守からの返信はすぐにやって来た。守(メッセージ)「じゃあいつものメンバーで呑もう、8時前に3人で行くよ。」 そのメッセージを見た好美は関係者以外立ち入り禁止の調理場内にある瓶ビールの入った冷蔵庫を開け1本取り、ラベルに油性マジックで大きく「好美」と書いて分かりやすい場所に置くと意気揚々と仕事を始めた。 好美の仕事が終わる8時前、新たに瓶ビールの注文が入ったので冷蔵庫の方へと向かうと「学生たちのもう1人の母」と呼ばれ学生たちに愛される王麗の怒号が響いた。王麗「成樹!!あんたここで何してんだい、あんたは出禁にしたはずだよ!!」成樹「うっせえ、ババァ!!」 成樹というその男子学生は普段から素行が悪く、何度も警察のお世話になっていた為大学関係者も頭を悩ませていた。 成樹は冷蔵庫を自分勝手に開け、中の瓶ビールをラッパ呑みしていた。王麗「あのね、ここは関係者以外立ち入り禁止だよ!!ルールを何も守らない奴に売るビールなんてこの店には1本も置いていないね、そこの壁に「ラッパ呑み禁止」とも書いてあるだろう!!」 学生の悪酔いによる吞み過ぎの防止とまた食品衛生の観点から松龍では瓶ビールのラッパ呑みが禁止されていた、店の壁という壁にこの内容が書かれた紙が貼られている。 ただそれだけだったら警察に通報する事で終わるはずなのだが、新たな問題が発覚した。 成樹が無断で呑んでいた瓶ビールにはあの大きな「好美」の文字が、それを見た好美が震えだした。 丁度松龍で呑んでいた陸上部と柔道部の男子学生達が携帯電話を片手にしてその様子を証拠としてカメラで撮影して警察に通報した、成樹は出入口にいた好美を押しのけた。陸上部「おい、まずくないか?」 丁度3人で好美を迎えに来ていた守が好美の肩
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-09
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5. 「あの日の僕ら」㉗

-㉗ 男だから分かる事- 先程の出来事により一躍ヒーローとなった貢と金上を含めた5人は好美達にとってお馴染みとなっている「いつもの座敷」で呑んでいた。金上「いや、それにしてもあんな場面に出くわすとは思いもしなかったな。」貢「お前、走り出した時に震えてたもんな。」金上「お前も人の事言えないじゃんか、足がガタガタ言ってたぞ。」 そんな2人を眺めながら桃が微笑んだ。桃「でも、2人共かっこよかったじゃん。」好美「本当助かった、ありがとう。」貢「でもよ、倉下も鹿野瀬も彼氏いるんだもんな。俺らも彼女欲しいよな。」 桃は大きくため息を吐く2人の英雄達を宥める様に空いたグラスにビールを注いだ。桃「あ、私の事は桃で良いよ。」好美「私も好美で。」 そんな中、少し離れた所で守が王麗の応急処置を受けていた。塗り薬と湿布で痛みを和らげようとしていた。王麗「あんた立派だったよ、ちゃんと好美ちゃんを守ったじゃないか。いい男に見えた。」 ただ守は王麗のこの言葉を聞いて複雑な心境でいた。その気持ちを汲み取ったのか、少し手の空いた龍太郎が守を手招きして調理場の奥にある小さな裏庭に案内して出てすぐのベンチに座る様に促した。少し離れた草むらで数匹の蛍の光が瞬く中、龍太郎は蓋の開いた瓶ビールを渡した。守「どうも。あ、グラス・・・。」龍太郎「ここは店の外だ、そんな事気にすんな。」守「頂きます・・・。」 守が受け取ったビールを煽ると、龍太郎は煙草に火をつけて燻らせ始めた。座敷で楽しそうに呑む5人と違って俯く守の表情は決して明るい物では無かった、龍太郎は煙草の煙を深く吸い込み一気に吐き出した。龍太郎「守、1つ聞かせてくれるか?」守「うん・・・。」 俯きながら守は小さく頷いた。龍太郎「お前、本当は悔しかったんじゃないのか?成樹を殴る事で好美ちゃんを守ろうとしたけど出来なかったから悔しかったんじゃないのか?」守「くっ・・・。」 声を必死に殺す守に龍太郎は続けた。龍太郎「でもな、俺はお前の事を誇りに思っているんだ。どうしてか分かるか?」守「いや・・・。」 守は俯いたまま首を小さく横に振った。龍太郎「あのな、お前からすればうちの母ちゃんが止めたからだとは思うが「殴らなかった」からだ。行動するには勇気がいるが、やめるにはもっと勇気がいる。ただお前があの時成樹を殴って
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-09
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5. 「あの日の僕ら」㉘

-㉘ 孤独だった幼馴染- 好美に手を引かれながら合流した守を含めた6人は改めて乾杯した、先程まで互いを貶し合っていた2人の英雄が今度は互いを褒め称え合っていた。貢「やっぱり金上が上から抑え込んでくれたから逮捕できたんだよ、ありがとうな。」金上「いやいや、貢の全力走りでなきゃ追い付かなかったさ。俺の方こそ感謝してるぜ。」 テーブル上の空いたグラスにビールを注ぎながら照れくさそうにしている2人、その光景を見ていた好美はずっと微笑んでいた。好美「でも本当にありがとう、2人とも頼もしかったよ。」貢「いやいや、頼もしかったのは高校時代に柔道部の主将だった金上だよ。」金上「お前だって陸上部の副キャプテンだったんだろ?」 好美の隣で桃が芋焼酎のロックを氷の音を鳴らしながら楽しんでいた、酒のつまみにしようとしているのか、悪気の全くない表情で興味本位の質問をぶつけた。桃「ねえ、金上君はどうして柔道をやろうと思ったの?」 桃に質問された金上は持っていたグラスを置き、少し声のトーンを落として聞いた。金上「とてもじゃないが酒のつまみにならない話だけど良いのか?」桃「大丈夫、肴ならまた注文すればいいし。」金上「暗い話だぞ?」桃「まぁ、話してみてよ。」 金上はグラスのビールを呑み干してゆっくりと話し出した。金上「これは俺が小学校1年生の時の話だ、実は俺は双子でもう一方である姉とは別のクラスで姉のいる教室の前を通るたびに何故かそこの男子達に睨まれていた。きっと俺みたいな奴が弟だという事自体が気に食わなかったんだろうなと思ったんだ、何かしら恨まれる様な事をした覚えが無かったからな。 当時、俺のクラスには「みぃちゃん」って呼んでた幼稚園時代からの幼馴染がいた。一緒に遊んでいた時いつも「一緒に結婚しようね」と言ってた位の仲だった。 そんなある日の休み時間、おれはフザけた同じクラスの男子に皆の前で服を脱がされた。自分の見た目がみすぼらしくて、情けなくて仕方なかった。その男子が同じ日の放課後に俺の家に直接謝罪に来たけど脱がされた時思ったんだ、「皆に嫌われた」って、特にみぃちゃんに。だからそれから卒業するまでの6年間ずっと声を掛ける事も出来なかった。 訳あって別の中学校に進学したから、もう10年以上話していない事になるな。」桃「好きだったんだ、そのみぃちゃんの事。」
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