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5. 「あの日の僕ら」㉑

Auteur: 佐行 院
last update Date de publication: 2025-09-07 08:30:06

-㉑ 憧れ-

 4人が満喫したBBQから数日経ち、いよいよ夏祭りのシーズンがやってきた。守は中学生の頃からの夢を叶えるため、この日振り込まれた分を含めひたむきに貯めたバイト代をおろして松龍の前にいた。

 日差しが照り付け気温が高いので冷房の利いたカペンの中で待つことにした守、少年の頃から抱いていた「恋人が出来たら一緒に浴衣を着て夏祭りに行きたい」という憧れがもうすぐ叶おうとしているので興奮している。

 数か月前、守は好美を誘っていつものショッピングモールにある和装専門店へと向かった。2人に気付いた店長の女性が声をかけ、布地を数種類程サンプルとして提示した。

店長「お2人でご一緒にお祭りですか?いいですね。」

守「子供の頃から浴衣で祭りに行く事に憧れていたんです、良い物ありますかね。」

店長「そうですね・・・。」

 好美を交えた3人で並べられた布地を吟味していく、すると好美が紫をベースとした生地を手に取った。ゆっくりと開いてみると綺麗に開いた花火がデザインされている。

好美「これ・・・、これが良いです。」

店長「おや、どうやら彼女さんはお目が高い様ですね、こちらは当店自慢の1品となって
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  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   7. 「異世界ほのぼの日記3」350

    -350 功を奏す- 2人が付き合うきっかけとなったのは数日前の夜だった、イャンダは「王様(エラノダ)に呼ばれたから」という理由で海斗が呼び出されたあの日から数回程ピューアと共に働いていた。ピューア(当時)「ごめんねイャン、朝から働き続けているのに無理言っちゃって。」 この日の朝、夜勤を終えたナイトマネージャーが家へと帰る数分前から出勤していた店長の事をピューアは心配していた。イャンダ(当時)「別に構わないよ、店長をしている身として偶にはこうやって深夜の時間帯に顔を出さないといけないって思っていたんだ。」 本人は自分の事を気遣うピューアの事を考慮して「偶には」と言っていたが、ここの所週に何度も夜勤に入っている印象が強い。イャンダ(当時)「それにしてもさ、海斗の奴はどうしたってんだよ。」ピューア(当時)「確か・・・、電話では「熱が出た」って言ってた様な気がするけど。」イャンダ(当時)「アイツめ・・・、月に何回熱を出せば気が済むんだよ。」 イャンダの寒いジョークと共に時間が経つにつれて客足も退いて行き、空いているカウンターやテーブルが目立って来たので客席側に数個だけを残してある程度のウォーターピッチャーを回収して来たピューア。やはり好美の考えた営業形態が功を奏している様で辺りを見廻すとラーメンというよりは1人呑みを目的としたお客が目立っている様な気がした、ただ〆にラーメンを食べる客も少なくもないのでピッチャーを全回収してなくて良かったと胸を撫で下ろすばかりであった。イャンダ(当時)「それにしてもさ、今日俺が来てなかったらどうなっていたんだろうな。」ピューア(当時)「いつもの事よ、客足なんて大体いつもこんなんだから1人で回る時も少なくないの。まぁ・・・、後で海斗にお仕置きをする事は変わらないんだけどね。」 時計はAM2:00を示していた。ナイトマネージャーが先程の店長の物に比べたら大分マシなジョークをかました気がする中、カウンター席に座るお客が1人2人いるかいないかといった状態になっていたのでイャンダは汚れを浮かす為のお湯をシンクに溜めていた洗い場へと向かった。ピューア(当時)「あ、ごめんね。私がやるから置いといて。」イャンダ(当時)「こんなの気にしないでよ、元々厨房にいたのに洗い忘れていた俺が悪いんだよ。ピューちゃんは客席の方をお願い出来る

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   7. 「異世界ほのぼの日記3」349

    -349 そろそろ目的を言わんか- 不意に思い出した過去が過去だったが故に兄から放たれた「朗報」という言葉をより一層信用出来なくなっていた弟、頼むからあんた達だけは順調に話を進ませてくれよ。イャンダ「まぁ遠い昔の事を責めても事実が変わる事は無いからもう水に流してやるよ、それで今日はどうしたってんだ?」 あらま、弟は大人になったみたいだな。俺も見習わなきゃ。ベルディ(電話)「そうそう、忘れてたよ。お前に「朗報」を持って来たんだ。」イャンダ「本当にその言葉を信じても良いんだよな。」 改めて兄の事を疑い始める弟、このままだと何時まで経ってもベルディの目的が果たされることが無い上に話が全くもって進まない。ベルディ(電話)「そう怪訝になるなって、お前がずっと待っていた情報を持って来たというのに。」 どの様な内容なのかは大体想像出来てしまっているが、ここまで引っ張られると流石に話の流れを楽しんでみるのも一興なのかもしれない。イャンダ「別に怪訝になっているつもりは無いけど、夜に向けての仕込みもあるからいつまでもこのまま兄貴と電話をしている訳にもいかないんだよ。」ベルディ(電話)「おいおい、そんなに冷たい奴だったか?兄ちゃんは悲しいぞ。」イャンダ「なぁ・・・、兄貴ってそんなキャラじゃなかったよな?確かに随分と長い間会っていなかったがその間に何があったってんだよ、俺の知ってるお前は何処に行ったんだ。」イャンダ「別に俺は昔から変わらないよ、それで何なんだよ。」 そうだぞ、いつまで話を引っ張るつもりだってんだよ。喧嘩までは行っていないみたいだが・・・、俺はいつまでも兄弟同士の言い争いに付き合うつもりは無いんだぞ?イャンダ「あぁ・・・、分かってるよ!!今までずっと無視してたのを良い事に横から茶々入れて来やがって・・・、ちゃんと兄貴の話を聞くから黙ってろって!!」 おいコラ・・・、結愛にも言ったがこの俺に偉そうにしても良いと思ってんのか?イャンダ「何だよ、姿形も見えないお前に何が出来るってんだよ!!」 言ったなこの野郎・・・、そう言うならやってやるよ・・・。覚悟しやがれ、『雷(ライトニング)』・・・。イャンダ「待て!!分かった、話し合おう!!謝るよ!!ここには見ての通り俺の全財産では決して買えない貴重な調理機器が沢山並んでいるんだ、頼むから許してくれ!!

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   7. 「異世界ほのぼの日記3」348

    -348 朗報は誰の為?- いつでも出来る様な何気ない日常会話を交わす兄弟、こうやってまともに話す事自体久しく無かったが故にずっと話していたいという気持ちも分からなくもないが兄・ベルディが電話をかけた理由はそんな物ではないはずだと思ってしまう。イャンダ「それで?今日はテレビ番組や競馬の事を話す為に電話をしてきたのか?」 俺の心中を察したかの様な呆れ顔で本題へと移行しようとするイャンダ、俺だって暇じゃ無いんだぞというアピールとも取れるが先程堂々と「忙しくない」と言ってしまっているので矛盾が発生してしまうのは避けて欲しいところ。ベルディ(電話)「おいおい、こうやって兄弟同士でまともに話すのは久々だってのにやたらと冷たくないか?」イャンダ「兄貴・・・、そっちだって接客業なんだからお客さんを放っておいてずっと電話をしてる訳にはいかないだろう?」 当然と言って良いのか分からないが年齢的にベルディの方が社会人としては先輩のはずなんだが、これでは立場が逆になっている様な・・・。イャンダ「今度またゆっくり酒でも呑みながらでも良いだろう?取り敢えず用事は何かを教えてくれよ。」 相手を傷つけない様に工夫する一面を見ると、「流石は大人だな」とつい俺も見惚れてしまう。それにしてもベルディ、早く本題に入れってんだよ(大体想像が出来るんだが。)ベルディ(電話)「お前に朗報を持って来たんだからそんなに急かすなって、人間生き急いだって良い事なんて無いぞ。」イャンダ「あのな・・・、兄貴の言う「朗報」が決して俺にとっての物じゃ無い事は兄貴だって知っているだろう?」 これは2人が魔学校の高等部に通っていた頃の事、突然ベルディが息を切らしながらイャンダのいる教室へと走って来た事があった。ベルディ(当時)「イャン、朗報だぞ!!」 家で作って来た弁当での昼食を済ませて友人と語り合っていた弟からすれば、兄の行動がどれほど恥ずかしい物だったか。イャンダ(当時)「何だよ・・・、今丁度良い所だったのによ。」ベルディ(当時)「それ所じゃねぇよ、今日は食堂のポテトパンが増量になっているらしいんだよ!!しかもいつもより安いしまだ在庫に余裕があるってさ!!」イャンダ(当時)「兄貴・・・、そんな事ならもう少し早く言えよ馬鹿!!」 当時から魔学校の食堂には安く販売されている定食などで腹を満たす

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   7. 「異世界ほのぼの日記3」347

    -347 兄弟の会話と言えば・・・?- 『念話』による夫婦の話し合いが何時までも終わりそうにないと踏んだヤエルの鶴の一声により喧嘩になりかけた相談はやっと終結を迎えた、一先ず話し合いの結果を簡潔にまとめてみると魚龍(ヤエル達)や混沌龍(バハラ)が育てた野菜の一部を青果市場の卸業者が少し色を付けた卸値で買い取った後に貝塚財閥が学園の給食用として卸業者から野菜を買い付けるという事だ。ただ元々は好美の店にキムチや浅漬けを置けないかと言う話し合いだったはずだがかなり話が大きくなっている様な気がする、まぁ巨大財閥が絡んでいるから十分あり得る話かと納得する事しか俺には出来なかった(一応傍らから見ているだけの存在ですからね)。 そんなこんなで新副店長(バハラ)が女将(ヤエル)からキムチの製造技術を学び今に至る、ただ宣伝の為の試食の提供だけではなく認知度を上げる為の食べ比べを兼ねている上にかなりの時間をかけて話し合いを重ねた上で共同開発していたので決して在庫を切らしてはならないという好美の思いは強かった。このキムチを使った海斗特製の「キムチ炒飯」を含めていずれはこの「ビル下店」だけではなく3国を2台体制で走っている屋台、そしてこれから開店していくであろう新店でも販売出来たらと好美が密かに目論んでいるのは後の話・・・。 相も変わらずだが、またもや好美がオーナーとしての権限を振りかざして誰にも相談しない内に独断で物事を決めてしまっていた事に対して再び頭を悩ませるイャンダはこのまま新店に異動しても大丈夫なのだろうかと不安になっていた。ただそんな現店長の心中を全くもって察していないかの様に兄・ベルディから弟へ久々に連絡が入った、早かった様な遅かった様な・・・。イャンダ「お電話ありがとうございます、こちら「暴徒の鱗 ビル下店」、コロニーがお伺い致します。」 数年もの間ずっと言い続けていたが故に家で電話を受けた時でも言ってしまいそうな位の口癖になってしまった台詞を言ったイャンダ、流石は店長だなと褒めたくなるのは俺だけではないはずだ。そんな弟の声を懐かしみながらも、電話の向こうで兄は愉快に笑っていたそうだ。ベルディ(電話)「ハハハ・・・、イャンはすっかり店長職が板についているみたいだな。」イャンダ「その声は兄貴か・・・、まぁ今は別に忙しくないから良いけどどうかしたのか?」 逆に

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   7. 「異世界ほのぼの日記3」346

    -346 決まらない- この世界に来てからずっと積み重ねて来た汚点(?)を指摘されて凍り付く好美、しかし自分が店を経営するに当たって店長及び副店長の雇用条件に触れる程に一切曲げるつもりは無いと決めていた事なのでバハラにどれ程言われても今まで以上の生活を変えるつもりは無かった(因みにシューゴが承認しているかどうかは不明である)。好美(当時)「良いじゃん別に、経費の1部は私自身のお金を使っているんだから。」 好美はこう言っているが家賃収入や夜勤の給料、そして「暴徒の鱗」に「コノミーマート」の利益の事を考慮に入れたらどちらかと言うとプラスになっている為にそこまで意地を張る必要は無いのではと思ってしまう。 ただ今は好美の事をぶつくさ言っている余裕は無い、話を進めて行こうでは無いか。結愛(当時)「待ってくれ、運搬料を安くするから貝塚学園(うち)の給食センターにも白菜などの野菜を卸して貰う事は出来ねぇか?勿論その分の卸値は支払わせてもらうからよ。」バハラ(当時)「私は別に構わないよ、と言うより嬉しい位だ。子供達の教育支援に協力出来るなら喜んで卸させて貰うつもりだよ?ただ好美ちゃんやヤエルは良いのかい?」 今思えばバハラが世話をしている家庭菜園(畑)はかなり広大だ、そこで採れた白菜の殆どをキムチにして「暴徒の鱗」で販売するとなるときっとかなりの量となるので在庫管理等が大変になる事は目に見えている。第三者の俺からすれば悪くない話だがヤエルや好美がどう言うか・・・。ヤエル(当時)「社長さん・・・、ちょっと良いかい?」結愛(当時)「ヤエルさんだっけ・・・、俺の事は大層に「社長」なんて呼ばなくて良いよ。堅苦しいのが苦手だから「結愛」って呼んでくれや。」 2人の会話をさり気なく聞いていた好美は口で割り箸を割りながら答えた、何となくだがお行儀が悪い様な・・・。まぁ、今は良いか。好美(当時)「そうそう、気にせずそう呼んでよ。「フランクに行こう」ってのがあたしらのやり方だからね。」バハラ(当時)「好美ちゃん、あんたはフランク過ぎるんだよ。もうビジネスの話をするつもりが皆無だって一目で分かっちゃうのは私だけかい?」 いやバハラだけでは無い、左手に持っている小皿に大量の肉が積まれた様子からどう見ても「100%プライベート」が一目瞭然だ。バハラ(当時)「それでヤエル、何を

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   7. 「異世界ほのぼの日記3」345

    -345 経費の行方- いつの間にか光の座るテーブルで呑み食いを再開させていた好美の姿を見て拳を握りながら明らかにイラついているのが見て取れる結愛、この後の状況が怖くなりそうな気がしてならないのは自分だけだろうかと思う俺をよそに好美は口をもごもごさせながら平然と話を進めていた。因みに右手にはおつまみの卓上キムチ、そして左手にはマッコリを握っていたのでもう仕事の話をまともにする気などさらさら無い事が見て取れる。好美(当時)「貝塚運送(結愛の所)って最近大型と小型の冷蔵車を導入したって言ってたよね、それって使えないの?」結愛(当時)「全く・・・、何処でそれを聞いたんだよ・・・。確かにそうだけどさ、お前顔が赤い上に口に入ってるものを飲み込んでから言えよな。何処からどう見ても女を捨てた様にしか見えんぞ。」好美(当時)「何でよ・・・、結愛には言われたくないもん。」 誰か、コイツに「1度自分の姿を鏡で見てみろ」と言ってはくれないでしょうかね・・・。結愛(当時)「誰が捨てたってんだよ!!俺は何時でも自分が女である事を忘れない様にしてんだぞ!!」 あの・・・、すみませんけどヒートアップしている場合じゃないと思うんですが?結愛(当時)「コイツが冷静に対処している事が癪に障るが仕方がねぇ、それで俺達にどうしろと?」好美(当時)「だからね、さっき言ってた冷蔵車でバハラさんの白菜やヤエルさんのキムチを運んでくれれば良い訳よ。勿論お金は払うから頼むよ。」結愛(当時)「当然だ、こっちはボランティアでやってるつもりは無いんだからな。」好美(当時)「流石は経営者の鑑だね、尊敬しちゃう。」結愛(当時)「馬鹿・・・、そんなに褒めても何も出ねぇぞ?運送料2割引きが限界だ。」好美(当時)「やりぃ・・・、その言葉を待ってたの。」結愛(当時)「げぇっ・・・、これが本音(狙い)だったか・・・!!」 何となく結愛のチョロさが垣間見えた所で商談に戻る好美達、2人だけで盛り上がるのは良いが龍(ドラゴン)達がいる事を決して忘れるなよな。好美(当時)「一応大型の冷蔵車でバハラさんの畑で採れた白菜の内4割を「ビル下店(私の店)」に、そして別の4割をヤエルさんの家まで運んで欲しいのよ。それで出来上がったキムチの1部を小型でここに運び直して欲しい訳、勿論ヤエルさん自身が作ったキムチを小型で運ん

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    -81 病床で- ベッドから落ちてから何時間が経っただろうか、そんな事を思いながら守はゆっくりと目を開けた。自分のいた病室とは全く違う色の天井、そして鳴り響く電子音といつの間にか自分に取り付けられた呼吸器。どうやら救急治療室へと運ばれたらしい。守「今、何時だろう・・・。」 時計を見ようと体を起こそうとしたが体に力が入らなかった。 そんな中、守が目覚めた事に担当の看護師が気付いた。看護師「あ、おはよう。宝田君、やっと気が付いたのね。」守「おはようございます・・・、今何時ですか?」看護師「朝の7時だけどどうしたの?」守「昨日の麻婆豆腐食いそびれたな・・・、って。」看護師「そんな

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