だが今日、講堂での京花と鳴の振る舞いこそが、笑い者になるようなものだった。「夕月さん!」数人の保護者たちが近づき、夕月を取り囲んだ。「私たち全員の決定で、橘京花を保護者会の会長から解任することにしました。そして、あなたに年長組の保護者会会長を引き受けていただきたいと思っています。いかがでしょう?」夕月に声をかけたのは、普段から親しくしている保護者たちばかり。いつも京花と一緒にいる「奥様グループ」の姿は見当たらなかった。「私は娘のケアで精一杯です。皆さんのお気持ちは嬉しいのですが」夕月は丁寧に断った。瑛優と悠斗が入学した当初、夕月は保護者会の役員に立候補しようと考えていた。そうすれば子供たちの助けになる機会が増えると思っていたのだ。自信を持って選挙用プレゼンを準備していた時、冬真が告げたのは:「大奥様が京花に会長を務めてほしいと言っている。お前の作ったプレゼン資料、京花さんに使わせてやれ」「どうして?私だって京花さんに負けない能力があるわ」彼女がそう言うと、男は眉をひそめた。彼から漂う苛立ちを感じ、夕月は息を詰めた。「お前は橘家の跡取りの母親だ。悠斗一人を育てることだけに専念すればいい!余計な精力を使って、保護者会の会長なんかやってる暇があるのか?」今、その職位が目の前に差し出されても、彼女はもう望んでいなかった。「会長職は選挙制なんですよね?」雲可が小さな声で尋ねた。他の保護者たちが頷いた。「ええ、でも今、急に京花さんが解任されて、私たちも難しくて……」京花が学校での影響力を失ったとはいえ、誰が彼女の後任になるかで頭を悩ませていた。京花の後釜に座る者は、必ず彼女の標的になるだろう。多くの保護者の中で、夕月だけが京花に立ち向かう勇気を持っていた。だからこそ、この厄介な役職を夕月に押し付けようとしていたのだ。雲可の声はさらに小さくなった。「わ……私、挑戦してみてもいいですか?」彼女の丸い瞳には、やる気の光が宿っていた。保護者たちは顔を見合わせた。この発表会で雲可が年長組の子どもたちのダンス練習を手伝っていなければ、多くの保護者は彼女の存在すら忘れていたかもしれない。「時雨ちゃんのお母さん、本当に会長を引き受けられるんですか?」他の保護者たちは雲可の性格では、この役職を
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