「わかってます。私のことで会社に迷惑をかけました。でもこの件は、私一人の責任じゃありません。辰琉に一点の落ち度もないと断言できますか?」紗雪は理をもって反論した。全ての責任を一方的に自分に押し付けようとする美月のやり方がどうしても納得できなかった。そんなのは、あまりにも不公平すぎる。それに、彼女は本当に会社のためにたくさんのことをしてきたのだから。紗雪の言葉は鋭い刃のように、美月の胸を突き刺した。彼女はすぐさま立ち上がり、怒りに顔を歪めながら紗雪を叱責した。「彼はあんたの義兄なのよ!失礼な呼び方はやめなさい!」「私が今まで教えてきた礼儀や道徳は!?」紗雪は奥歯を噛みしめ、真正面から美月に反論した。「義兄?私とは一ミリも関係ないじゃない!」「別荘であの人の本性を見抜いたはずでしょ?なのに、まだ辰琉の落ち度を認めようとしないの?」紗雪は顔を背けて言った。「そんな男、クズ以外の何物でもない。そんな人を義兄なんて絶対に認めないから!」「バンッ!」と音を立てて美月が机を叩き、同時に立ち上がった。「紗雪、あんた、母親に反旗を翻すつもり!?」「私は間違ってない!」紗雪も声を荒げた。「会社の重要プロジェクト二つ、全部私が取ってきた。今は株価に影響が出てるけど、それだって全部私のせいじゃない。なんで私が謝らなきゃいけないの!?」美月は胸を押さえ、震える手で紗雪を指さした。「この親不孝者......!自分が何言ってるかわかってるの!?」「もちろんわかってる。ていうか、母さんも全部わかってるでしょ?ずっと知らないフリしてるだけのくせに!」紗雪がそう言い終えると、美月の胸を押さえる姿に少し不安がよぎった。彼女は慌てて駆け寄り、美月を支えようとした。しかし、美月は彼女の手を振り払った。「そんなに反抗心があるなら、私の体のことなんて気にしなくていいわ!」「どうせあんた、私のことなんて何とも思ってないんでしょ?」そう吐き捨てると、美月は紗雪を押しのけ、そのままオフィスを出て行こうとした。背を向けて去っていくその姿に、紗雪はふと立ち止まる。もしかして、自分が間違ってた?自分が大事にしてきたことって、そんなに意味のないことだった?でも......これは、自分が手に入れて当然のものだ
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