京弥はその言葉を聞いて、少し驚いた。このタイミングで、紗雪が美月のそばにいない?別の場所に行ってる?そうであるなら、結果はひとつしかない。紗雪が美月の件を知らないか。それとも、この件は彼女が原因で起こったことか。京弥は暗く沈んだ瞳でスマホを見つめた。どちらの可能性であったとしても、彼は今すぐに紗雪のもとへ向かいたかった。今の紗雪には、自分が必要だ。彼女一人に、こんなことを背負わせるわけにはいかない。そう思うと、京弥はすぐに紗雪に電話をかけた。だがしばらく待っても、相手は出なかった。自動で切断された音を聞いた瞬間、京弥の心臓が一瞬、重く沈んだ。これが何を意味するのか、彼はわかっていた。京弥は立ち上がった。「車を出せ、二川グループに行く」「かしこまりました」匠は突然立ち上がった京弥を一瞬だけ驚いたように見たが、すぐに状況を理解した。彼を止められない。いっそ従った方がいい。その方が互いにとって得策だ。余計な時間を無駄にせずに済む。「社長、私も同行したほうがよろしいでしょうか?」京弥はその場で一瞬立ち止まり、すぐに返事をした。「いや。彼女は君のことを知ってる」その言葉を聞いた匠は、同行するつもりを諦めるしかなかった。「わかりました。社長もどうか、お気をつけて」「ああ」京弥は短く応え、そして大股でドアの方へと歩き出した。今の彼は、紗雪が外に一人でいるということが、どうしても気がかりでならなかった。彼女がどこにいるかわからない以上、まずは二川グループに行くのが最善だ。万が一紗雪が既に事実を知っているなら、真っ先に戻ってくる場所はそこしかないはず。なぜか、京弥は、この推測に対して妙な自信があった。一方その頃、紗雪が京弥の電話を取らなかったのには理由があった。日向との電話を終えたばかりの彼女は、頭の中が真っ白で、どう反応していいかわからなかったのだ。もしも......本当にもしも、美月が自分のせいでショックを受けて入院したのだとしたら......そう思っただけで、彼女は自分自身を許せなかった。何がどうであれ、美月は自分の実の母親だ。こんなことになるなんて、自分は人間以下だ。そんな考えが頭をよぎり、紗雪はすぐに美月の秘書に
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