「はあ、僕の親友はなんて一途なんだ!表向きはただの香水だが、その裏には彼の気持ちが込められているんだぞ……」透子は黙り込んだ。彼女は眉をぴくりと動かし、我慢できずに話を遮った。「彼が何も言わないのは、自分で買いに行かなかったからでしょう。今すぐ電話して、三人で話しましょうか?」翼は言葉に詰まった。彼女は、どうしてそんなに真剣に受け取るんだ。ただ感動してくれればいいのに。「何を今さら確認する必要があるんだ。僕は彼の親友なんだから、当然知って……」翼は笑ってごまかそうとした。「私は彼の親友じゃありませんから。公平を期すために、今すぐ彼に電話して確認してください」透子は無表情で、きっぱりと言い放った。翼は黙り込んだ。電話の向こうが沈黙したのを見て、透子は再び口を開いた。「藤堂弁護士。柚木社長が自らデパートにプレゼントを取りに行ったとおっしゃった時点で、もう矛盾だらけです。弁護士も彼が超多忙だとおっしゃっていたじゃありませんか。そんな時間があったら、数十億円の契約を一つ結べるでしょう」いや、それを引き合いに出して、彼の一途さをアピールしたかっただけなんだが……だが、透子がここまで真面目で理性的だとは。まさか直接対決しようとまで言い出すなんて。はあ、美人は数え切れないほどいるが、性格も千差万別だ。聡がこの人を攻略できないのも無理はない。初心者がいきなり一番厄介な、冷静で賢いタイプの女性に当たってしまったんだ。これはじっくり攻めるしかないな。しかも、透子は全く感動した様子がなく、翼の言葉を微塵も信じていない。これはつまり――透子は本気で聡に全く興味がないということだ。「お昼ご飯は遠慮させていただきます。お誘いありがとうございました、藤堂弁護士。また改めて、私からご馳走させてください」透子は言った。それを聞いて翼は心の中でため息をついた。これ以上、何が言えるだろうか。こうなっては、電話を切るしかなかった。レストランのボックス席。電話を切ったばかりの翼の背後から、足音が聞こえた。振り返ると、聡が来ていた。聡は翼の席の奥にちらりと視線を送る。その様子を見て、翼は言った。「彼女は来ないよ。僕一人だ」聡は黙り込んだ。「彼女」が誰を指すかは言うまでもない。だが、自分も別に……わざわざ探し
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