SNSは完全にダウンしていた。シェリーは一線目前の中堅女優。それだけに、この騒ぎはまさに破格の注目度だった。芸能記者が最初に公開したのは結安と章真がマンションへ入っていく写真だった。だが、世間の反応は意外なほど薄い。「大物実業家と女優」――そんな組み合わせはもはや珍しくもないからだ。ところが、その直後に公開された一枚が一気に流れを変えた。駿と結安が並んで写る写真だった。結安は目を真っ赤に腫らし、バス停のベンチに座っている。少し離れた場所に立つ駿はただ静かに彼女を見つめていた。その距離感、その視線――まるで恋愛映画のワンシーン。切なさをまとった男女の主人公そのものだった。その写真を見た時点で、章真の機嫌はすでに最悪だった。それでも彼は予定どおりH市へ向かうことを選ぶ。帰ってから片づければいい――そう思っていた。しかし、専用機に乗り込んだ直後、芸能記者は決定的な一枚を投下した。深夜、小さな戸建てから並んで出てくる駿と結安。駿の腕の中には、四、五歳ほどの幼い少女が眠っていた。愛らしい顔立ちを見れば、一目で結安の娘だと思えてしまう。――その瞬間、SNSは完全に機能停止した。【『蒼穹の花』主演シェリー、極秘出産か】【エリート男性の正体とは】【耀石グループ社長、他人の子を育てていたのか】【謎の少女は財閥の後継者?それともこれはエリート男性の策略?】……耀石グループの専用機内。章真の顔色は青白く、険しくこわばっていた。彼は最後の一枚から目を離せない。結安とあの男が子どもを抱き、真夜中に病院へ向かう姿。駿のことは知っている。高校時代の同級生だ。あの男のために、結安は吐き気をこらえながら自分に尽くしていた。あの頃の結安は、少し触れただけでも顔を真っ赤にするような、あんなにも初々しい少女だった。それなのに――すべては、あの男のためだったのか。昔、彼女は「藤堂という名字の人は好きじゃない」と笑っていた。その言葉を自分は信じていた。だが現実には、二人の間には子どもまでいる。自分だけが、滑稽な勘違いをしていたのだ。この数年間、二人は幸せに暮らしていたのだろうか。彼女が最初に心も身体も許した相手は、駿だったのだろうか。そう考えただけで、胸の
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