「苦難をともにした仲」という一言が、みんなを呆然とさせた。そこには、もちろん私も含まれている。私の印象では、浩賢の性格は控えめで謙虚で、普段も礼儀正しい。なのに今の浩賢の言葉はとげがあり、表現はあまりにも露骨で率直で、私たちの抱いていたイメージとはまるで違っていた。しかも、これだけ多くの同僚の前で。そしてわざわざ強調したのだ、「苦難をともにした仲」と。この言葉には、ある意味、少し曖昧なニュアンスさえ含まれていて、だからこそ、みんなは短い困惑のあと、思わずため息のようなざわめきを漏らした。そのざわめきが、私に妙な緊張感と居心地の悪さを与えた。けれど、結局のところ浩賢は私のために言ってくれている。だからこの場で反論や否定をするのは、どちらにしても適切ではない。浩賢は私の内心を見抜いたのか、すぐに付け加えた。「ほら、あの屈強な運送会社の男たちがこっちへ追いかけてきたとき、水辺先生は命懸けで俺を守ってくれたんだ。俺はただ、そのお礼に一杯奢っただけ。それがもし昔だったら、身を捧げる覚悟が必要だろ?」冗談めいた一言が場をまた笑いで包み、さっきまで張り詰めていた空気が少し緩んだ。看護主任がすかさず口を開いた。「はいはい、じゃあ優月ちゃんは藤原くんに大恩があるらしいし、あとでお酒の代わりにお茶でもいいから、優月ちゃんに何杯か多めに敬意を表しなさいよ」「了解です」浩賢は気持ちよく答え、視線を私に落とした。「こき使われても構わないさ」相変わらず半分冗談の調子。しかし、その黒い夜空のような瞳が、なぜか私の胸を一瞬、不安にさせた。私は慌てて視線を逸らし、視界の端で――八雲の硬い表情を見てしまった。その目の奥には、薄い嘲りが宿っている。明らかに私を笑っているのだ。そんなの、もう慣れている。私は黙って視線を戻し、ウェイターに酒と料理を運ぶよう指示した。料理が運ばれたあと、豊鬼先生がウェイターに酒を注ぐよう伝えた。最初の一杯はもちろん、主賓である八雲へ。「紀戸先生が普段お酒を飲まないのは皆知っていますので、ではこうしましょう。今夜は紀戸先生はご自由に。いつものようにお茶でも構いません」豊鬼先生がそう言い、続けて手慣れた口調で笑って添えた。「大事なのは気持ちですから。ね、紀戸先生、いかがでしょう?」豊鬼先生が八雲への持
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