銀の髪がさらりと揺れる。 日に焼けてすらいない肌はとても白く、きめ細かい。目鼻立ちが整った人物は男か、それとも女か。どちらともとれる中性的な美しさをもっていた。 にこりと笑めば花が舞うかのように華やかで、とても儚げである。 白を中心とした薄紫の漢服は、袖が少しだけ長かった。襟、袖、腰には濃いめの紫の花が刺繍されている。 女性が着るような色合いの漢服ではあったが、着こなし方は男性そのもの。 それがより一層、この人物の性別をわからなくさせていく。 けれど身長は、百八十センチあろう爛 春犂よりも低い。 「──どうしたんですか?」 声は意外と低く、少しばかり嗄れている。ただ、声質は華 閻李に似ていた。 「……いや。何でもないよ」 眼前に立たれ、彼は少し戸惑う。 ──小猫が成長したら、こんな感じになるのかな? 優しくて、慈愛に満ちていて……それでいて、美しさを失わない。だけど何だろう。何かがひっかかる。 それを口にすることなく、愛する子供に似ている者へ笑顔を送った。 「それよりも、君は誰かな? あ、私は全 思風。で、こっちの目つきが悪い人が爛 春犂」 ともにいる男の紹介は雑そのもの。当然、そんな紹介を受けた彼は怒り、無言で全 思風の足を踏んだ。 「いってぇー! ちょっとあんた、何するのさ!?」
Last Updated : 2025-05-23 Read more