人の姿をした化け物。そう云われても否定できない何かが、今の魏 宇然にはあった。 勇ましく剣をふり、敵とみなした者たちを薙ぎ払う。持ち前の脚力や腕力を生かし、鳥の紋様を持つ者たちを斬り刻んでいった。 剣を下から上へと走らせ、相手の体を朱く染める。片足で鳥の紋様部分を蹴り、横転させた。 槍が眼前に迫れば剣の柄で弾く。矢が飛来すると、視線だけを動かして軽々と避けていった。 美くしいけれど、どこか冷めた視線の男。それがこの禿王朝始まりの皇帝、魏 宇然である。 「──なぜ貴殿たちは、あのような男の元に下った!?」 低く、覇気すらある鬼人のごとき強さを発揮した彼は、声をはり上げて問いかけた。 一瞬だけ、鳥の紋様の兵たちは怯む。けれど、数秒後には何事もなかったかのように武器を構えていた。 「……何だ、こいつらは?」 ──おかしい。明確なことはわからんが、違和感がある。 普通の人間。けれど何かが、普通ではない。そんな気がしてならなかった。そのとき── 「……っ!?」 体を剣で斬られた兵が、ゆらりと立ち上がる。 土気色になった肌に血管が浮かび上がっていた。 血走った眼球に黒目はなく、どこを見ているのかすらわからない。 口からはだらしなくよだれが垂れているが、それすらも気づいていないようだった。 さらには、一体や二体ではない。鳥の|紋様
Last Updated : 2025-05-31 Read more