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満天の星 番外編 ~兄、大樹。家族の始め方~ SIDE  桃子 ②

ゴソゴソ。 背後から物音がした。 気にはなるけれど、振り返る事ができない。 「寝てる?」 幾分弱い声でたずねられ、 「いいえ。起きています」 素直に返事をした。 化粧も落とさずに寝た顔はかなり酷い物と思い、振り向くことにためらってしまう。 「すまない。飲ませすぎた」 「いえ、飲んだのは私ですから」 酔いつぶれて知らない部屋のベットで目覚めるなんて褒められたことでないのはわかっているものの、昨夜何もなかったのも自分が一番よくわかっている。 どちらかというと、迷惑をかけたのは私の方。 大樹先生は酔いつぶれた私を介抱してくれただけなんだから。 「すみませんでした。・・・忘れてください」 「あ、ああ」 昨日の私は本当にどうかしていた。 そもそも、夜に出かけるなんて何年かぶり。 私には今までそんな余裕がなかったから。 「君、一人暮らしなの?」 「いいえ」 「朝帰りして、怒られない?」 心配そうな声。 「大丈夫です」 大樹先生は、私が娘と2人暮らしだなんて想像もしてないんでしょうね。 別に、言う必要もないことだけれど。 私には9歳になる娘がいる。 今27歳の私が17歳で生んだ宝物。 名前は結衣(ゆい)という。 高校2年生で突然母になってしまった私の人生は、大きく変った。 それまで大学進学を目標に勉強をしていたのに、その道はたたれた。 高校中退、出産、育児。 10代の私には重すぎて何度も潰されそうになった。 そんなとき私を救ったのは結衣の笑顔。それだけが救いだった。 結衣の父親は2歳年上の大学生で、高校の先輩。 私のことも結衣のことも愛してくれたけれど、結婚は考えられなかった。 私の妊娠で、彼の人生が変ってしまうことが許せなかった。 悩んだ末、私は1人で結衣を育てると決めた。 それから10年。 実家に協力してもらいながら大検を受け、2年遅れで大学の看護学科に進学した。 大学を卒業して3年。やっと看護師として自立し、結衣と普通に生活ができるようになった。 結衣の父親も社会人となり、新しい家庭を築いている。 もう関係のない人のはずなのに結衣の
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-21
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満天の星 番外編 ~兄、大樹。家族の始め方~ SIDE  大樹 ①

「大樹先生お願いします」 「はいはい」 救急外来へ来た途端に声がかかるのは、いつものこと。 とりあえず緊急性を判断して、頭部外傷の患者に近づいた。 「事故?」 「工事現場での転落事故です」 ふーん。労災かあ。 「わかりますか?お名前言えますか?」 「うぅーん」 苦しそうにうなる中年の男性。 「意識ははっきりしてるから、まずはCTを撮りましょう」 看護師に指示を出し検査室に緊急検査の連絡を入れる。 それにしても平日の昼間なのに、忙しいなあ。 「状態の落ち着いてる患者は外来へ回した方がいいぞ」 側にいた救命医にぼやいてしまった。 誰だって急病や怪我は慌てるんだ。早く診て欲しいのもわかる。でも、救急はあくまでも救命科、専門医の診察は一般外来で受けるべきだ。 「それが理想ですね。ところで、この患者どう思います?」 俺の意見などサラッと受け流し、パソコンのCT画像を向ける高橋先生。 「出血があるけれど・・新しいものではなさそうだな。MRIを撮ってみたら?」 「そうですね」 ニコリともせずに、パソコンに向かい出す。 相変わらず愛想がないなあ。 ん? 高橋先生の横には、杉本さん。 何か言いたそうに立っている。 「MRIの結果次第では神経内科の先生にコールしてみるのもいいかもね」 「ええ、そうします。杉本さん、検査の説明をするので家族を呼んでください」 「はい」 そういえば、あの日以来杉本さんとは話してないなあ。 朝、ホテルの前で別れてから近づいても来ない。 院内ですれ違っても挨拶程度だし。 もしかして、避けられてるのか? 気にしているのは俺だけか? 「あの・・・杉本さん。お願いします」 コソコソと近づいてきた新人看護師。 「どうしたの?」 小声で聞き返している。 「森田先生が・・・」 ん? その時、奧の診察室から男性の怒鳴り声が聞こえてきた。 「だから、薬をくれって言ってるんだ。痛いんだよっ」 30歳くらいの男性は、診察をする研修医の森田先生を威嚇している。 「代わりますから、ここをお願いします」 新人看護師に言い、杉本さんは
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-22
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満天の星 番外編 ~兄、大樹。家族の始め方~ SIDE  大樹 ②

「杉本さん、みんなで出前を取るけれど一緒にどう?」 「いえ、私は・・・」 「そうか、お弁当だったわよね?」 昼前になり少し落ち着いた救急外来で看護師の声が聞こえてきた。 「大樹先生、カレーとりますけれど一緒にいかがですか?」 「うーん、売店でおにぎり買うからいいわ」 「そうですかあ」 残念そうに消えて行く看護師。 「杉本さん、ちょっといい?」 師長が彼女を呼んでいる。 2人は処置室の片隅に向かった。 広い救急外来は基本的に大きな1つの部屋。 外来診察室や処置スペースに仕切りはあるものの、ほとんどが可動式でいつでも取り払えるようになっている。 その分、どこで何をしようと目に入る。 少し離れた場所にいる俺に声は聞こえないが、師長は何か注意をしているようだ。 時々彼女が頭を下げている。 「大体、態度がでかいのよ」 へ? 俺と同じように部屋の隅を見つめていた看護師の声が聞こえてきた。 「かわいげがないしね。いっつも馬鹿にしたように私達を見てるじゃない」 「まあ、仕事はできるんだけれどね」 「でも、さっきのは森田先生が・・・」 「それはそうだけれど、やり方の問題。あれじゃあ森田先生が師長に文句言うのもわかるって」 「でも・・・」 彼女にかばってもらった新人看護師は不満そうにしたものの、それ以上は言い返せなくて黙ってしまった。 なんだ? 森田先生が、師長に文句を言ったって事か? でも、元々森田先生が自分で処理できなかったのが一番の問題のはず。 それなのに、なぜ彼女が叱られるんだ? 俺は無性に腹が立った。 さすがに俺が師長に何か言えば事が大きくなりすぎる。 じゃあ、森田先生に。 そう思って見回すと、高橋先生と一緒にいる森田先生を見つけた。 「森田先生」 声をかけ、振り向いた顔を見て、俺の言葉が止まった。 ん? 「何か?」 森田先生ではなく高橋先生が聞いてきた。 「いや、あの・・・」 森田先生の顔を見て、叱られていたのがわかった。 「いいよ。高橋先生が話してくれたんならそれで」 「・・・すみません」 頭を下げる森田先生。 「まだ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-23
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満天の星 番外編 ~兄、大樹。家族の始め方~ SIDE  結衣 ①

「結衣ちゃん、カラオケ行く?」 「えー?」 声をかけた希良々(きらら)ちゃんを睨んでしまった。 「行こうよ」 「うーん」 本当はカラオケって、あんまり好きじゃない。 どこか静かなところで本を読んでいる方が好きなんだけど・・・ 私は杉本結衣、9歳。小学3年生。 駅から少し離れた住宅街のアパートにママと2人暮らし。 隣を歩く希良々ちゃんは中学1年生。私より4歳年上の友達。 「あっ?」 希良々ちゃんの声。 見ると、あああ、お巡りさん。 とっさに腕を引かれ、物陰に隠れた。 時刻は午後11時。小中学生の出歩く時間じゃない。 見つかったら大変なことになる。 「行ったわね」 「うん」 ドキドキした。 フフフ。顔を見合わせて笑ってしまった。 その時、 「こらっ」 逃げ込んだ路地をのぞき込む人影。 私も希良々ちゃんも固まった。 10分後、駅前の喫茶店。 「どうぞ」 と声をかけられても、手が出せない。 「大丈夫、毒なんて入ってないから」 そんなことはわかっています。 このサンドイッチを作ったのはこの店のマスターだし。 優しく笑いかけるのは、目の前のスーツを着た男の人。 それもかなりのイケメン。 「どうしたの、お腹すいてるでしょ?」 でも・・・さすがに、知らない人にご馳走になるのは良くないと思う。 「結衣ちゃん、大樹先生は大丈夫。お医者さんだから」 へ? 「僕はね、希良々ちゃんのお母さんの主治医なんだ」 「ふーん」 「君は、結衣ちゃんって言うの?」 「うん」 2人にすすめられ、サンドイッチをほおばりオレンジジュースに口をつけた。 「ねえ、お家の人は何も言わないの?」 「え?」 急に真面目なことを言われ困っていると、 「うちも結衣ちゃんちも母子家庭で、ママは夜も仕事に出るから」 希良々ちゃんが答えてくれた。 「それに、家に1人でいてもつまらないし」 希良々ちゃんが言った言葉に、私も頷いた。 「そうかあ・・・」 大樹先生が、困ったなあって顔をしてる。 「あのね、僕にも妹が2人いるんだ」 「妹?」 「そう、手のかかる妹」 ふーん。 私も希良々ちゃんも兄弟がいないから、よくわかんない
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-24
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満天の星 番外編 ~兄、大樹。家族の始め方~ SIDE  結衣 ①

「結衣ちゃん、カラオケ行く?」 「えー?」 声をかけた希良々(きらら)ちゃんを睨んでしまった。 「行こうよ」 「うーん」 本当はカラオケって、あんまり好きじゃない。 どこか静かなところで本を読んでいる方が好きなんだけど・・・ 私は杉本結衣、9歳。小学3年生。 駅から少し離れた住宅街のアパートにママと2人暮らし。 隣を歩く希良々ちゃんは中学1年生。私より4歳年上の友達。 「あっ?」 希良々ちゃんの声。 見ると、あああ、お巡りさん。 とっさに腕を引かれ、物陰に隠れた。 時刻は午後11時。小中学生の出歩く時間じゃない。 見つかったら大変なことになる。 「行ったわね」 「うん」 ドキドキした。 フフフ。顔を見合わせて笑ってしまった。 その時、 「こらっ」 逃げ込んだ路地をのぞき込む人影。 私も希良々ちゃんも固まった。 10分後、駅前の喫茶店。 「どうぞ」 と声をかけられても、手が出せない。 「大丈夫、毒なんて入ってないから」 そんなことはわかっています。 このサンドイッチを作ったのはこの店のマスターだし。 優しく笑いかけるのは、目の前のスーツを着た男の人。 それもかなりのイケメン。 「どうしたの、お腹すいてるでしょ?」 でも・・・さすがに、知らない人にご馳走になるのは良くないと思う。 「結衣ちゃん、大樹先生は大丈夫。お医者さんだから」 へ? 「僕はね、希良々ちゃんのお母さんの主治医なんだ」 「ふーん」 「君は、結
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-24
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満天の星 番外編 ~兄、大樹。家族の始め方~ SIDE  結衣 ②

大樹先生に会ってから、夜出歩くのは我慢していた。 時々希良々ちゃんの家に行くことはあっても、なるべく家にいるようにしていた。 でも、今日は無理。 今日は学校で嫌なことがあった。 もうすぐ父の日だねって話になって、「結衣はパパいないから関係ないね」って。 「そんなことない、パパはいるよ」って言っても、嘘つきだって言われて、「結衣のママは不良だった」なんて言われたから喧嘩になった。 悔しくて悲しいけれど、ママには言えない。 こんな日は1人で家にいるのが嫌で、街にでかけた。 コンビニに行ったり、24時間営業のドラッグストアを覗いたりして11時を回った頃、 「ねえ君」 急に声をかけられた。 そこにいたのは、お巡りさん。 マズイ。そう思っても体が動かない。 どうしよう、どうしよう。 頭の中が空回りしている。 その時、 「結衣ちゃん」 遠くの方から名前を呼ばれた。 あ、大樹先生。 「こら、1人で行くなよ。迷子になるぞ」 ええ? 「すみません。うちで預かっている子なんです。僕は」 と、名刺を差し出す。 「ああ、そうだったんですか。小さな子が1人でいたので驚きました」 お巡りさんはすぐに去って行った。 「お腹すいた?何か食べる?」 「いらない」 なんだかとても恥ずかしい。 居心地が悪くて逃出したいのに、大樹先生は側を離れずついてくる。 他に行くところもなくて、仕方なく近くのベンチに座った。 ああそうだ。ママのおにぎりを持ってきたんだった。 「食べますか?」 「うん、ありがとう」 「いただきます」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-25
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満天の星 番外編 ~兄、大樹。家族の始め方~ SIDE  大樹

久しぶりの救急当番。 救急外来にやって来てまず探したのは彼女の姿だった。 最後にまともに会話をしてから1ヶ月近くがたった。 救急に呼ばれることは珍しくないけれど、何度声をかけても仕事以外のことは一切話そうとしてくれない。 この1ヶ月で俺の方にも話さないといけないことがあるんだが、さすがにお手上げ状態だ。 「杉本さん、お願いします」 救命部長の声。 「はい」 離れたところにいた彼女がかけてくる。 あれ? 顔が赤くないか? 救急搬送されてきた患者の診察をする部長についた彼女。 テキパキと仕事をこなしているように見えた。 しかし、 ガチャンッ。 金属のトレーが床に落ちる音。 「すみません」 慌てて拾う彼女。 よく見れば足元がふらついている。 「杉本さん、大丈夫?」 師長が手伝いに入った。 「すみません、大丈夫です」 ったく強情な奴だ。 しばらくして、廊下に出て行く後ろ姿を見て後を追った。 「杉本さん」 「はい」 周りに誰もいないことを確認し、俺は彼女の腕を掴んだ。 そうでもしなければ逃げられてしまう。 「具合悪いんでしょ?」 「いいえ、大丈夫です」 言いながら、うつむき目を合わせようとしない。 「熱は?」 「・・・」 額に手を当てることもなく、熱はありそうだ。 「受診は?」 「・・・」 「薬は?」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-26
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満天の星 番外編 ~兄、大樹。家族の始め方~ SIDE  桃子

本当にもう。 職場の人間の前でまで、ドクター面はやめて欲しい。 ただでさえこの前のことが気になっているのに。 ああ、今日が暇な日で良かった。 昨日から体調不良で寒気がするし、食べられないし、食べてないから余計にフラフラして。こんな日に大樹先生に絡まれて焦ったわ。 「あれ?多恵ちゃん彼氏できたの?」 「はい」 新人も先輩も楽しそうに休憩してる。 まあ、たまにはいいわよね。 こんな日だってないと。 「この前の人は?」 「もう、別れましたよ」 「えー、何で?かっこいいって言ってたじゃない」 「やっぱり同業者はダメです。色々見えてしまって」 「へー」 今日は随分盛り上がってるな。 フー、私も近くの椅子に腰を下ろした。 良かった、やっと休める。 そういえば、結衣はちゃんと学校に行ったかな? 今朝はどうしても起きられなかったから、「ママ、自分で食べるからいいよ」って言ってくれて助かった。 いつの間にか大きくなったのよね。 ん? 視線を感じて顔を上げると、同僚達がコソコソと私の方を見ている。 何ですか?と見返すと、視線を外しみんな散って行く。 はあー又だわ。本当に面倒くさいんだから。 「目が怖いぞ」 え? 大樹先生、いつの間に隣に来ていたんだろう。 「お前、鏡見たことある?」 「はあ?」 「体調が悪のに喧嘩売ってどうするんだよ」 「そんな」 つもりはないけれど。 愛想笑いをする気にならないだけ。 「はい」 差し出されたのは体温計。 え?何で今? 「杉本さん
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-27
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満天の星 番外編 ~兄、大樹。家族の始め方~ SIDE  桃子

「杉本さん、ちょっといいかしら?」 「はい」 体調不良で早退してから1週間。 幸いインフルエンザではなかったため、私は1日だけ休んで勤務に戻ることができた。 大樹先生にはメールでスープのお礼を言っただけで、まだ会うチャンスがない。 何しろ周囲の声がうるさくて、今は何もできない状態になっている。 本当に女子って噂話が大好きで、困ってしまう。 「杉本さん。悪いけれど、先日のお休みの代わりに明日の勤務お願いできないかしら?」 え? 「明日ですか?」 「そうなの」 明日は土曜日か。 困ったな。 こんな不規則な勤務でも、私は今まで土日のお休みをもらっていた。 せめて学校がお休みの日には結衣と一緒にいてあげたくて、無理を言っていた。 それに、明日は映画に行く約束の日。 結衣だって楽しみにしているはず。 「代わりに勤務に入ってくれた人に休みをあげたいし」 「はあ。でも、明日は」 「代わりに今日の夜勤は私が変るから。お願いできないかしら?」 ここまで言われると断れない。 普段から師長には無理を聞いてもらっているし、元々私の早退と突然のお休みがすべての原因。そう思ったら何も言えない。 「わかりました」 そう答えるしかなかった。 結衣には謝って映画を別の日にしてもらおう。 その代わりに、今日は何か結衣の好きなものを作ってあげようかな。 まずは買い物に行って、夜勤で帰ってこないと思っている結衣を驚かせなくちゃ。 さっきまで明日の勤務でブルーになっていたくせに、夜勤がなくなって結衣と過ごせるとわかった途端ウキウキしている私。 単純だな。なんて思いながら、私は足取りも軽くロッカールームへと向かっていた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-28
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満天の星 番外編 ~兄、大樹。家族の始め方~ SIDE  大樹

あれ? こんな時間に、彼女が通用口を出るのが見えた。 最近、彼女の勤務シフトをチェックしている俺は今日が夜勤なのを知っている。 ってことは・・・もしかして、また体調不良か? 俺は、ためらうことなく彼女に電話した。 『もしもし』 不機嫌そうな声。 「もしもし、どうした?」 『何がですか?』 「もしかして、また具合が悪いの?」 『いいえ』 「じゃあ」 『あの、先生は私を見張ってますか?そんなに気にしていただくような者ではありませんので、お気遣いなく』 ッたく、冷たいな。 「たまたま帰るのが見えたから」 『夜勤が中止になったんです』 「何で?」 『この前お休みした分を明日の勤務に出ることになって。代わりに夜勤を師長と変ったんです』 「へえ」 『先生は当直ですか?』 「いや、もう帰る。飯でも行くか?」 『いいえ、行きません』 相変わらず、あっさりしてる。 「おごるぞ。なんなら、娘さんも一緒に」 「え?」 驚いている。 「いいだろう?俺の方も話しておきたいことがあるし」 『でも・・・』 「駐車場で待っていて。とりあえず送るから。いい、動くなよ」 「・・・」 かわいくない彼女は、ハイとは言わなかった。 でも、きっと待っていてくれるはずだと確信があった。 彼女には話したいことがある。 伝えたい気持ちも、確認したいこともいくつかある。 でも、その前に結衣ちゃんのことを言うべきだろう。 大人として、保護者である彼女に黙っておくべきじゃないと思うから。 でも、本当は結衣ちゃんの口から言わせたい。 さあ、どうしたものかなあ。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-29
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