苑はぐっすりと眠り、目を開けた時には外はすっかり明るくなっていた。昨日は本当に疲れ果てていて、しかも結婚前夜もほとんど眠れなかったから、こんなに長く眠ってしまったのだ。ただ、今日は天城家に嫁いで最初の朝だというのに、こんな時間まで寝ているのはさすがにまずい。慌てて体を起こそうとしたその時、だらけた声が聞こえた。「もう少し寝よう」苑は一瞬で緊張した。蒼真はまだ起きていなかったのか?深く息を吸い、彼女はそれでも体を動かしながら言った。「もう朝ですよ。そろそろ起きた方が……」突然腰にぎゅっと腕が回され、男の裸の腕が布団越しに彼女の腰を抱いた。それだけで苑の全身が熱くなり、彼女はぴたりと動けなくなった。「早く起きる方が良くない」蒼真の声がさらに近くに感じられた。背を向けていても、彼との距離が昨夜よりずっと近づいているのがはっきりわかった。苑はそっと目を閉じた。「ご両親がきっと何か……」「早起きしたら逆に言われるさ……」蒼真の低い声がまるで首筋に触れるように響いた。「昨夜、ちゃんと頑張ってなかったんじゃないかって」「……」蒼真はそれ以上何も言わなかった。もう眠ってしまったのかもしれないが、この長い腕がどうにも落ち着かなかった。「えっと、ちょっとトイレに行きたいんですけど……その腕、少しどけてもらえます?」背後からの返事はなかった。もしかして本当に寝てしまったのか?苑は仕方なく彼の腕をどかそうとしたが、その瞬間、その腕が思いのほか重いことに気づいた。力を入れて押しのけようとした途端、腰がぐっと引き寄せられ、苑の身体はくるりと回されて、蒼真の胸元へと抱き寄せられた。苑は目を見開いた。鼻先が触れそうなほど近くにいる蒼真に、心臓が跳ね上がるほど激しく鼓動した。昨夜は何もなかったけれど、まさか今やるつもりなのか?彼女は全身を強ばらせたまま動けなかった。覚悟はしていたものの、真っ昼間という状況にはまだ慣れない。窓の外からカーテン越しに柔らかな陽射しが差し込み、苑の頬に恥じらいの色を映し出していた。彼は何をするでもなく、ただ彼女をじっと見つめていた。その視線だけで苑の鼻先には汗がにじむ。けれどそれでも、彼を突き放すことはできず、怯えるようにじっと見返すしかなかった。蒼真の顔立ちは彫りが深く、もともと鋭い印象を
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