配達員はしばらく地面でうずくまってたが、やがて起き上がった。体に痣ができてたけど、厚着をしてたおかげで、大事には至らなかった。綾は管理会社に電話した。廊下には監視カメラが付いている。管理会社は清掃員を連れてきて、床の泡をきれいに片付けさせた後、綾、高橋と配達員を監視カメラ室へ案内した。監視カメラ室にて。「見つかりました」担当者は該当の監視カメラ映像を切り出して、皆に見せた。監視カメラの映像には、7時前、向かいの家の男の子が廊下でシャボン玉遊びをしている様子が映っていた。男の子は5、6歳くらい。男の子は廊下を行ったり来たり走り回り、シャボン液を床一面にこぼしていた。そして最も腹立たしいのは、男の子が明らかに何度も故意にシャボン液を綾の家の玄関先に撒いていたこと。「この家の大人は何も言わないのですか?」高橋は怒って言った。「この家族に連絡して、謝罪させないといけません!」「ご安心ください。すぐに連絡します」管理会社はすぐにその家に電話をかけた。しかし、この家の男性の主人は出張中で、家で何が起こっているのか知らず、電話を切った。この態度は、明らかにこの件を真剣に受け止めていない。配達員は配達を急いでいたので、手を振って「もういい。自分が不運だっただけだ」と言った。そう言って、足を引きずりながら出て行こうとした。綾は彼の苦労を見て、「ちょっと待って」と呼び止めた。配達員は足を止め、不思議そうに彼女を見た。綾は家に戻ろうとして、配達員に、「謝礼を取ってくるから、少し待ってて」と言った。配達員は一瞬呆然としたが、すぐに「いえ、あのシャボン液はあなたがやったことではない。あなたの責任ではない!」と手を振った。「そうは言っても、もしあなたがそこにいなかったら、転んでいたのは私だったかもしれない」綾は彼に微笑みかけた。「私の代わりに災難を被ってくれたようなものだから、治療費として少しばかりが、渡すよ。そうすれば私も安心できる」配達員は少し恥ずかしそうに、大丈夫だと断った。「4千円だけだから、気持ちだけ受け取って」それを聞いて、配達員は「わかった」と言い、その場で待っていた。しばらくして、戻ってきた綾は彼に4万円の入った封筒を渡した。配達員は驚愕した。「これは多すぎる....
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