「違うよ」輝は即答した。「考えもしないで即答するなんて怪しすぎる」それを聞いて輝は何も言えなかった。「中島さんはいい人だよ。サバサバしてるし、よく突拍子のないことを言うけど、本気じゃないから。軽い女でもない。だから上辺だけで判断しちゃダメよ」「とにかく、私たちには無理なんだ」綾は眉をひそめた。「まさか、彼女の身分や職業が気になるの?」「そもそも彼女はまともな一般人とも言えないほど立場が少し敏感じゃないか。うちの事情も知ってるだろ?」正直言って綾は、そこまで考えていなかった。もし、そういう事情なら二人が付き合うのは本当に難しいかもしれない。輝は一人っ子で兄弟姉妹もいないわけだし、由緒ある家系だからこそ伝承が何よりも重要なんだろう。輝の恋愛は、彼だけの問題じゃないんだ。「祖父も両親も理解のある人で、普通なら結婚相手に注文をつけるようなことはしない。でも、だからといって、好き勝手できるわけじゃない。家柄が釣り合う相手じゃなくても、中島みたいな女はダメなんだ」音々の背景は複雑すぎる。「ごめん、配慮が足りなかった」「謝らないで」綾は輝を見つめ、唇を噛み締めてから、さらに言った。「でも、そんなに深く考えているってことは、もしかして、中島さんに惹かれていたこともあるってことじゃないの?ただ、彼女の立場を気にして一歩踏み出せないだけで」そう言われ、輝はきょとんとした顔になった。綾は輝の目を見つめた。「恋は理屈じゃないのよ。それに、あなたは女の子に手を出すような人じゃないでしょ。それから中島さんから聞いたけど、あなたから彼女にキスしたこともあるそうじゃない......」「ぶっ――」ちょうど水を飲んでいた輝は思わず吹き出し、激しく咳き込んだ。「げほっ、げほっ!」彼は慌ててティッシュで口を拭きながらこう言った。「一体、彼女は何を言ったんだ?」「あなたが強引にキスをしたあと、連絡を絶ったって言ってたわよ」輝は何も言えなかった。綾は唇を噛み締め、ため息をついた。「もし、彼女と付き合う気がないなら、あんなことしちゃダメだよ。中島さんは勘違いするでしょうし、私だって誤解をするところだったじゃない」それを聞いて、輝は恥ずかしさのあまり、穴があったら入りたい気分だった。「あの時はカッとなってたんだ..
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