メッセージを送ると、すぐにほむらから返信があった。今は家にいないから、後で直接レストランの前で会おう、という内容だった。結衣はOKのスタンプを返し、今からレストランへ向かい、六時頃には着くと伝えた。レストランの前に着くと、ちょうどほむらと鉢合わせになり、二人は一緒に店の中へ入った。その頃、路肩では。涼介は目を閉じて休んでいたが、助手席に座っていた直樹が、不意に遠くを見て「あれ?」と声を上げた。涼介が目を開ける。「どうした?」「いえ……何でもありません。たった今、汐見様をお見かけしたような気がしたのですが、おそらく見間違いでしょう」どういう心境の変化か、このところ涼介は仕事に没頭するあまり、結衣を気遣う言葉もめっきり減ってしまった。直樹は涼介の真意が読めず、彼の前で結衣の話題を出す勇気もなかった。しかし、意外なことに、涼介は玲奈を解雇したのだ。玲奈は会社に二度ほど怒鳴り込んできたが、その後、涼介に警告されたかどうかは分からないが、ぱったりと来なくなった。涼介は眉をひそめ、冷たい声で尋ねた。「どこで見た?」一瞬ためらった後、直樹は道端のレストランを指差した。「あのレストランに入って行かれました。ですが、後ろ姿だけでしたし、きっと見間違いです」実は、直樹は結衣の横顔をはっきりと見ていた。しかし、彼女が楽しそうに談笑しながら男性とレストランに入っていくのを見て、それを言い出せなかった。今の彼には、涼介が結衣に対してどういう気持ちでいるのか、皆目見当がつかなかったからだ。突然、直樹は後部座席のドアが開く音を耳にした。驚いて振り返ると、そこには車を降りてレストランへ向かう涼介の後ろ姿があった。直樹は一瞬呆然としたが、慌てて車を降りて後を追った。……一方、結衣とほむらはすでにレストランの席に着き、ウェイターが二人の前にそれぞれメニューを置いた。「汐見さん、伊吹さん。当店のおすすめの前菜はフォアグラのソテーとエスカルゴのオーブン焼きでございます。スープは黒トリュフのクリームスープとオマール海老のビスクが人気で、メインディッシュはドライエイジングビーフステーキと鴨のコンフィがおすすめでございます」結衣はメニューを開き、一通り目を通してからウェイターに言った。「フォアグラのソテーと、
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