莉子が現れたとき、まだ半分眠そうな顔だった。椅子に腰を下ろし、史弥に問いかける。「お義兄さん、こんな時間に一体なんの用......?」史弥はすっかり酔いも醒め、鋭い眼差しで莉子を射抜く。「まだ俺を義兄と呼ぶなら答えてくれ。五年前、君が突然寒河江のマンションにいたことがあったな。あれは姉に頼まれたのか?それとも本当に寒河江と何かあったのか?」莉子の唇が震えた。まさか、あれほど前のことをまだ覚えているとは思わなかったのだ。彼女は視線を逸らし、どこか逃げ腰になる。「もう何年も前のことじゃない。今さら蒸し返しても......」言葉は止めるように聞こえるが、その調子は逆に好奇心をかき立てるだけだった。史弥の眉間はさらに深く寄り、身を乗り出して拳を固く握る。「はっきりしろ!本当のことを言えば、まだ君を助ける余地がある。だが黙っているなら......数年前に君が姉を陥れた件を公にするまでだ。その意味が分かるな?」その一言で、莉子の顔色は一瞬にして蒼白になる。「な、何を言ってるの......!?お義兄さんと呼んでるのに、そんな濡れ衣を着せるなんて......」史弥は冷笑し、引き出しから一枚の書類を取り出して彼女の前に投げ出した。「これを見ろ」莉子は手に取った瞬間、指が震えているのに気づく。あれは雪江に唆された結果だった。彼女が何度も焚きつけなければ、こんなことはしなかっただろう。思い出すだけで後悔が押し寄せる。しかも、当時使った人間が今どこにいるのかも分からない。生死すら不明。まるで時限爆弾のようだ。書類には、その人物への送金記録と、二人が会っている写真がしっかり残されていた。「こ、こんな写真があっても、私だって証拠にはないれないわ!」史弥は鼻で笑い、軽蔑の色を隠そうともしない。「莉子、往生際が悪いぞ。俺がここに持ち出してきた時点で、証拠が揃っているに決まってる」莉子は歯を食いしばり、動揺と恐怖で瞳を揺らす。沈黙が続くのを見て、史弥は時間を無駄にしたくなかった。「言わないつもりか。なら警察に任せるしかないな」スマホを取り出し、通報しようとするその手を、慌てて莉子が押さえた。「待って!お義兄さん......正直に話すから!」彼女は五年前の出来事を一字一句もら
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