伶は全身をソファに預け、完全にリラックスした姿勢のまま、淡々と彼を一瞥した。「で、何が言いたい?」史弥は得意げに口を開いた。「彼女がお前と一緒にいるのは、父親のためだ。孝之の体調じゃ、とても牢獄生活には耐えられない。父親を救うためにお前と寝てるだけだ」伶はスーツのパンツに包まれた長い脚を、前のテーブルに悠然と投げ出した。「それで?」史弥は冷笑する。「まだ分からないのか?悠良はお前に何の感情もない。お前は利用されている」伶は眉尻をわずかに吊り上げ、まるで鼻で笑うような仕草を見せた。「だからどうした。君がこんな大騒ぎしてるのも、結局は彼女に屈服させたいからだろう?だが残念だな。彼女は白川じゃなく、俺に助けを求めた」彼は悠良に利用されていることを、むしろ甘んじて受け入れているようだった。その態度に、史弥は逆に心を乱され、奥歯を噛みしめる。「たかが一人の女のために、そこまでやる必要があるのか?俺たちこそ血の繋がった家族だろう」伶の眉骨は鋭く、声には冷たさが宿る。「俺はとっくに白川家から除名された。いつ俺たちが『家族』に戻ったんだ?」脳裏によみがえるのは、あの過去。世間体を守るために、白川家は彼という「私生児」を見捨てた。十歳の子どもを、国外へ追いやってまで。孤独な異国の日々。一方その頃、白川家の人間はそろって温かい団らんを楽しんでいた。彼にとって、その記憶は決して癒えることのない傷だ。史弥は、伶の力をよく理解している。正面からぶつかれば自分が損をするだけだ。だから唯一の望みは、悠良から彼を引き離すこと。できれば、関係を完全に壊す前に。「叔父さんも分かってるはずだ。あの頃、白川家は苦しい時期にいたんだ。もしあの時叔父を受け入れていたら、一家ごと潰れていたかもしれないんだ」だが伶は、その言い訳を一蹴した。「白川家が無能で、自分本位だったのが原因だ。決して『仕方がなかった』なんて理由にはならない」漆黒の瞳が細められ、一瞬、鋭い光が走る。「今度こそ、俺が守りたい人間を守って見せる」その言葉に、史弥の胸も重く沈む。「つまり......俺の忠告なんか聞く気はないし、悠良と離れるつもりもない、と。その先にどれだけの困難が待ってるか、分かってるはずだろう?」伶の素
Baca selengkapnya