冷蔵庫から小さなお茶のペットボトルを出して、晴翔に手渡す。
「良かったら、どうぞ」
「お茶まで、ありがとうございます」
晴翔が二つの大福を理玖の前に並べた。
「中身の餡が違うみたいなんですけど、答え、言っちゃってもいいですか」
晴翔の問いかけに、理玖は激しく首を振った。
「ですよね。どっちがいいですか?」
理玖は二匹の兎を真剣に見比べた。
「空咲君は、どっちも食べてみたい? 半分こしたい?」
兎から目を離さずに聞いてみる。
色味から察するに、片方は白餡だ。もう一つは、順当なら黒餡だが、違う気がする。
「そうですね。先生は兎を半分に切るの嫌だろうから、好きな方を選んでください」
理玖は驚いて、思いっきり晴翔を振り返った。
「どうして、わかったの? ていうか、パクってしたらどうせ半分になるだろ、とか思ってない?」
晴翔が笑いを噛み殺しながら首を振った。
