星は笑って言う。「病院には介護士さんもいたし、仁志の友人たちも手伝ってくれた。だから思ったほど大変じゃなかったの。むしろ時間ができて、絵も描けたし」ちょうど今日、澄玲のところの人が星の絵を受け取りに来た。入院中に二枚。それに、仁志が怪我をする前、家で時間つぶしに描いた一枚。合わせて三枚、相手に渡した。誕生日当日。彩香と奏に加え、しばらく顔を見なかった影斗も、怜を連れてやって来た。影斗の眉間には影が落ち、厄介な悩みを抱えているのが一目でわかる。それでも星の顔を見るなり、口元だけはわずかに緩んだ。影斗がプレゼントを差し出す。「星ちゃん、誕生日おめでとう」隣の怜も、両手で包みを差し出す。「星野おばさん、お誕生日おめでとう」星は笑って受け取った。「ふたりとも、ありがとう」影斗の沈んだ様子に気づき、星は声を落とす。「影斗、どうしたの?おばあさまの容体、悪化した?葛西先生はいまM国にいるけど、診てもらう?」影斗は首を振る。「違う。祖母は今のところ安定してる」祖母ではないとなれば――雪美の件だ。星は以前、影斗のために動いていた。だが仁志が怪我をしてからは、意識のすべてが彼に向き、その件は一旦止まっていた。星がさらに何か言おうとした時、雅臣が翔太を連れてやって来る。雅臣と翔太もそれぞれプレゼントを差し出した。「星、誕生日おめでとう」「ママ、お誕生日おめでとう」傍らの怜に気づいた翔太は、唇を少し尖らせる。けれど、結局何も言わなかった。しばらくして、凛と澄玲も到着。瑛と晴子は公演のため不在で、プレゼントは澄玲が預かってきたという。主役の星は、彩香・凛・澄玲に囲まれて談笑していた。一方、雅臣と影斗。以前に少々行き違いはあったが、深い確執はない。二人は途切れ途切れに、ビジネスの話を交わしていた。ふと影斗が、何か思い出したように言う。「航平は?今日は来てないのか?つい最近までM国にいただろ。そんな早く戻れるとは思えないが」雅臣の目がわずかに険しくなり、影斗を一瞥する。影斗は意味ありげに笑った。「それにな。ずっと気になってた。お前の親友の航平、いつから星ちゃんとあんなに親しくなった?」雅臣が低く問う。「いつ気づいた」互いに頭が切れる。何を指しているか、言わなくても伝わる。影斗ははぐらかさない。「M国に来る頻
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